その日の夜には早速、ナオミの歓迎会が開かれる事になった。


普段は仕事に追われている営業所ではあるが、


歓送迎会、忘年会、期末の打ち上げなどの区切りの際には


飲食店経営者の期待に応えるかの様にキッチリと


飲み会がひらかれる事になっていた。


「さぁ、先に行っとくか」 隣の席に座っている同期入社の


藤沢の独り言とも呼びかけともとれぬ声を合図に


ナオミも含めた私たち若手の6人は先に会社を出ることに


なった。


これまで仕事以外に一緒に遊びに出かけることも多かった


このメンバーにナオミが加わるのは間違いないだろう。


今回の幹事役でもある藤沢を先頭に私たち6人は


何でもない話に華を咲かせながら会場に向かっていた。


この時はもちろんナオミと私は完璧な先輩・後輩であり、それ以外の


何者でもなかった。


私には大学卒業間際からつきあっている彼女がいたし、ナオミにも


同じ会社の広島営業所だかの彼氏がいるはずだった。


私は彼女に満足していたし、他に何かを求めている訳ではなかった。


                *


ただ、暑い夏はもう始まっていた。


                *


この夜もナオミと私の最後を暗示するかのような暑さだった。


昼の間遠慮なく太陽の光を浴び続けたアスファルトの道路が


その身では消化しきれない何かを叫ぶように吐き出しているようだった。


太陽の光に焼かれ、無機質な排気ガスに耐え、何度踏み敷かれようとも


だまって耐えていた鬱積(うっぷん)を吐き出しているようだった。


留め続けることなどできないと叫んでいた。

ナオミを初めて目にしたのはいつごろのことだったのだろう。


私が医療メーカーに勤めて3年目のころであったのは


間違いないのだが、目をとじて深く記憶を遡っても思い出すことが


できない。


いわゆる一目惚れという類のものではなかったのだろう。


しかし、私はナオミを愛していたはずだ。


一気に燃え上がる炎のようにではなく、


まるで太陽が地平線から顔を出し、辺りをゆっくりと


その光で照らし出すように


ゆっくりと しずかに そして確実に心惹かれていったのだった。



最後には太陽が沈み暗闇が訪れる事も知らずに・・・・。


                   *


3年目の夏、神戸の三宮にあった営業所の閉鎖により、ナオミは


大阪の長堀にある私の通う営業所へ異動となった。


それまでも1年後輩であるナオミとは同じプロジェクトで仕事を


する事や仕事帰りに若手有志で飲みに行くことなどがあり


気心の知れたものだった。



「吉見さん、今日からよろしくお願いします」


休憩室でタバコを吸っていた私に


ナオミは少し緊張した顔で話しかけてきた。


昨年、入社したばかりで仕事にも、人間関係にも慣れ


さぁこれからという時期に初めての転勤ともなれば無理も無い。


「こちらこそ宜しく」


「でも知ってる顔も多いやろし神戸から大阪の近場の転勤で


よかったなあ。同期の子もいるし」


閉鎖された神戸の営業所から他県へ転勤していった者も


多数おり、何も知らない土地へ行く事を比べたら


今回の彼女の異動はちょっとしたクラス替えの様なものだ。


「そうなんですけど、こっちは年配の方も多いんでやっぱり


緊張しますよお」


「しかも、こっちの所長は数字に厳しいっていうし」


やや困った顔で鼻にしわを寄せながら彼女は笑って答えた。


確かに この営業所には神戸の営業所にはなかったはずの


【目指せ!GOAL TO 900億】と書かれた今期末までの


目標が営業所長の背後に高々と張り出されていたのだった。


それを思い出し私も苦笑せざるを得なかった。

写真を整理してると去年の今頃訪れた宮古島のダイビング


写真が出てきました。


離島ダイバーの私は石垣、沖エラブ、屋久島なども


潜りにいきましたが宮古を越える海にまだ出会っていません。



また、行きたくなってきたなぁ・・・




PS:私の離婚ヒストリーを【過去~現在~未来】で小説風に振り返ってみようかな

  と思ってます。

  これから結婚を考えてる方は参考になればいいなぁ