元旦の新聞広告
お正月、元旦発行の新聞広告には、毎年、通常の商品宣伝広告ではなく、各企業のメッセージ(理念)広告が目立つ。
読売新聞、朝日新聞の元旦紙面から興味深い企業広告を集めてみた。 出版社系の広告が多い。新聞と出版社は同じ活字媒体ということで相性が良いからか?
ちょっとうれしいって、すごくしあわせ
あけましておめでとうございます。
きょうは始まりの、ちょっと特別な日。
でも、すぐ当たり前の毎日になって
あわただしく過ぎて。
泣いたり、怒ったりもあるけど、ふと笑みがこぼれるとき……。
ちょっとしたことに、しあわせだなぁって感じるんですよね。
毎日のささやかな喜びを大切にしたい。
今、私たち花王も思いを新たにしています。
暮らしに笑顔をつくる、モノづくり。
毎日生まれる、小さなうれしさは次に向かうこころを
やさしく、強く変えてくれると信じているから。
いちにち、一日に。 ひとり、一人に。
たくさんのうれしいが生まれて、いっぱいあふれますように。
さぁ、2012年のスタートです。
花王 (朝日新聞)
こころが動く。すべてが動く。
こころが動く。一瞬で笑みが生まれる。
こころが動く。踏み出す一歩になる。
こころが動く。今日が新しい一日に変わる。
こころが動く。すべてがはじまる。
こころが動く。その力を誰よりも信じたい。
こころで、見つめ、考え、動きながら、
世界になかった生き方を、あなたとつくりたい。
それが、百貨店。
それが、ひとつになった三越伊勢丹ひとりひとりの、こころ。
三越伊勢丹 (読売新聞)
新年、あけましておめでとうございます。
一年の計は元旦にありと申しますが、今年の計画はもう立てられましたか?
中には、夢のような計画をお立てになった方もいらっしゃるでしょうが、
せっかく立てた計画です。
夢で終わらせないためにも、きちんとした方法を見つけることから始めましょう。夢見たことを正夢にすることも不可能ではないのです。
その前に、まずは今夜、良い初夢を。
今夜、この広告を枕の下に敷いておやすみください。
よい初夢がみられるかもしれませんよ。
AGA エージーエー (読売新聞)
動く、講談社。
心が動く。おもしろくて、ためになる出版物を! 講談社はいつも考えています。
講談社 (読売新聞)
「助けあいの心」と、「絆(きずな)」で、幸多き一年になりますように。
都民共済は「助けあいの心」から生まれた生活協同組合です。
人と人が「絆」で結ばれ、幸多き一年となりますよう、お祈り申し上げます。
都民共済 (読売新聞)
はじまりは、いつも、チャンスだ。 今日から、少しずつ、はじめよう。
はじまりは、ゼロで、まっ白。だから、どんどん吸い込んでいけるんだ。
ゆっくりでもいい。少しづつ、回りはじめた歯車は、大きく、力強く、回り続ける。
うまくいかなくていい。迷ったら、戻りながら、確かめる。
同じ間違いを、二度と、繰り返さなくなる。全体を見渡せば、新しい方向が見えてくる。
覚えたこと、そのままではなく、その意味を深く理解して、自分なりに考え、答えを出す。
自由に、工夫して、楽しみながら、自分で考える。それが、チャート式。
わからなかったこと、できなかったことを、考えるチカラで乗り越えていけるようになる。
それは、人生だって、豊かにできるチカラ。
答えの用意されていない問題が、どんどん出てくる。
それでも、どんどん乗り越えていける。自分で考える人になる。
数研出版 (朝日新聞)
夢よ、集まれ。いまこそ、集英社。
想像するチカラが、時代の扉を開く一年になる。
人が人間らしく生きるためには、「夢」が必要です。
自分や家族についての、ささやかな夢でもいい。
社会や地球を飲み込むくらい、大きな夢でもいい。
人は夢を抱くことで、どんなに困難な時も、未来を信じて前を向いて生きることができるのです。
いま、進むべき方向がはっきり見えにくくなったこの時代に、
ひとりひとりが生きるチカラを取り戻すために、集英社は、
読む人の想像力を刺激する本を創りたい、と考えています。
読むことで、これからの夢がさらに大きく膨らんでいく本を創りたい。
信じられる言葉が、活字の力が、ますます必要とされる今だからこそ。
夢よ、集まれ。2012年、集英社はここから始めます。
集英社 (読売新聞)
智恵よ、集まれ。いまこそ、集英社。
未来へと進んでいく言葉を、みんなが求める一年になる。
今、何が本当か。何が正解か。みんなが迷い、信じられる言葉を求めている時代に。
丸谷才一さんは著作の中で語ります。
「現在という時間を強く意識して未来へと進んでゆく勇敢さ、そのときの人間の
生き方の花やかさ、それを尊ぶことこそ、わが文学の伝統でありました」と。
集英社は、智恵ある言葉で本を創りたいと考えています。
読むことで、進むべき道を照らし出す本を創りたい。
明日のために、智恵よ、集まれ。2012年、集英社はここから始めます。
集英社 (朝日新聞)
いい顔になろう
笑っている顔。びっくりしている顔。夢中になっている顔。ドキドキしている顔。
ちょっと得意げな顔。
知らなかったことや好きなことを学ぶ度に、子どもはみんな、イキイキとした表情になっていく。
新しい世界を知るうれしさが、新しい自分と出会う楽しさが、その子だけのいい顔をつくっていく。
学習雑誌や自動書を通して、子どもたちに学ぶ喜びを届け続けてきた。
さぁ、2012年、今年も、夢や未来をたっぷりつめこんだ一冊で、子どもたち
をどんどんいい顔にしていきます。
読む子は育つ
小学館 (読売新聞)
これまでも これからも 人と寄り添い 人を励ます 本を届けたい 小学館の小説
小学館 (朝日新聞)
こころ ことば いのち
科学が人間の知恵のすべてであるもののように考えることは、一つの錯覚である……
物理学者であり、すぐれた随筆家としても知られた、寺田寅彦の言葉です。
寺田は、関東大震災後、『震災予防調査報告』の執筆及び『普及講座 防災科学』
の編集をし、小社より刊行しました。
次の天災への備えを怠らぬこと、そのために、災害の恐ろしさと、被害を最小限に
防ぐための知識の普及、意識の啓発に力を尽くしたのです。
日本社会は、昨年3月11日を境に大きく変わりました。
巨大地震と大津波、そして原発災害は、私たちを深い悲しみと大きな不安の中に置きました。
「3.11は我々の日付になった。何かが完全に終わり、全く違う日々が始まる」
(池澤夏樹『朝日新聞』2011年4月5日)
私たちはもはや昨日のように生きることはできません。
近代化の道を歩んで140年、日本は今その内実が問われています。
この危機と混迷の時代にあっては、人間の力量そのものが問われているとさえいえるでしょう。
岩波書店は、今年創業99年を迎えます。
3万点を超える書物を通して、時代の課題と格闘しながら、読者の皆さんと共に歩んできました。
創業者岩波茂雄は、正義心と向上心にあふれた熱情の人でした。
私たちは、創業者の素志を継ぎ、出版という形を通して日本の再生に向けて全力を注ぎたい。
現代の課題に応える仕事をこれからも続けたい……創業百年を来年に控えた、私たちの年頭の希いでです。
岩波書店 (朝日新聞)
日本人よ、勇気をもちましょう ドナルド・キーン
かつて川端康成さんがノーベル文学賞を受賞したとき、多くの日本人が、こう言いました。
「日本文学が称賛してもらえるのは嬉しいが、川端作品は、あまりに日本的なのではないか」
日本的過ぎて、西洋人には「本当は分からないのではないか」という意味です。
分からないけれど、「お情け」で、日本文学を評価してくれているのでは
ないかというニュアンスが含まれていました。
長年、そう、もう70年にも渡って日本文学と文学を研究してきて、私がいまだに
感じるのは、この日本人の、「日本的なもの」に対する自信のなさです。
違うのです。「日本的」だからいいのです。
昨年、地震と津波に襲われた東北の様子をニューヨークで見て、私は、
「ああ、あの『奥の細道』の東北は、どうなってしまうのだろう」と衝撃を受けました。
あまりにもひどすぎる原発の災禍が、それに追い打ちをかけています。
しかし、こうした災難からも、日本人はきっと立ち直っていくはずだと、
私はやがて考えるようになりました
それは、「日本的な強さ」というものを、心にしみて知っているからです。
昭和20年の冬、私は東京にいました。
あの時の東京は、見渡すと、焼け残った蔵と煙突があるだけでした。
予言者がいたら、決して「日本は良くなる」とは言わなかったでしょう。
しかし、日本人は奇跡を起こしました。
東北にも同じ奇跡が起こるのではないかと私は思っています。
なぜなら、日本人は勁いからです。 私は今年6月で90歳になります。「卒寿」です。
震災を機に日本人になることを決意し、昨年、帰化の申請をしました。
晴れて国籍がいただけたら、私も日本人の一員として、日本の心、日本の
文化を守り育てていくことに微力を尽くします。
新しい作品の執筆に向けて、毎日、勉強を続けています。
敬虔なるみなさん、物事を再開する勇気をもち、自分や社会のあり方を
良い方向に変えることを恐れず、勁く歩を運び続けようではありませんか。
新潮社 (朝日新聞)
未来へ
未来は待っているものではなく、つかまえに行くものです。希望は探すものではなく、
つくり出すものです。
2012年。私たちは顔を上げ、まなざしを先へ向けよう。
ものづくりの原点に、しっかりと根を下ろしながら。暮らしを支えるということ。
それは技術を通じて、どこまでも人を思うことです。
社会のいちばん礎から、夢を見続けることです。
そんな想いを確かめ直して、日立は、安心して暮らせる今日と、
待ち焦がれずにいられない未来をつくりたい。
今こそ、ものづくりの力を結集して、社会にひとつひとつイノベーションを
起こしてゆくのです。
日立グループは、今日を支えて未来へ伸びる、大きな一本の樹へ。
それは、あなたのもとへのびていく樹です。
日立 (読売新聞)
笑う門には福来たる 2012年元旦
サントリー (読売新聞)
私たちは、もう一度、「幸せ」について、考えました。
人は誰でも「幸せを求め続ける、その日々の中で。
私たちは改めて、振り返り、考える体験をしました。
「何と、何と、何と」の足し算ではなく、引き算して最後に残る「幸せ」の答えは何だろう。
多くの人が「家族」や「人の絆」と答えを言いました。
家づくり、街づくりを本業とする積水ハウスは、その答えに、大きくかかわる仕事をしています。
「わが家」ということばに、「家族と「住まい」の二つの意味を込めた、この日本で。
変えてはならないもの、変えてゆくべきこと。
積水ハウスは、育てて頂いた感謝と、未来への責任と、住まいづくりの原点を決して忘れません。
積水ハウス(読売新聞)
Re Born Fun To Drive AGAIN
♪こんなこといいな できたらいいな、という観点から、トヨタは真面目に
「クルマのドラえもん化」を進めています。
トヨタ (朝日新聞)
不動心
ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手が愛する野球への思いを書きつづった「不動心」(新潮選書)が2月17日に発売された。
左手首骨折という大けがから再起するまでの心の内、さらには野球を通して学んだ大切なことを、率直な言葉でつづっている。
渡米前に聞いた松井の生の声とつづられた印象的な言葉を紹介する。
◆コントロールできない過去よりも、可能性ある未来にかけます。”松井の思い”一冊に
2006年5月11日。
スライディングキャッチを試みた松井の左手首があらぬ方向に曲がった。
左手首骨折。
松井が誇りとしていた連続試合出場記録は1768試合で途切れてしまう。
それから125日。手術とリハビリを乗り越えてヤンキースタジアムに戻ってきた松井を、ニューヨークのファンはスタンディング・オベーションで迎えた。
声援に応えるかのように松井は4安打を放ち、ファンを歓喜させた。
松井は本書にこう書く。『やはり、骨折はショックな出来事でした。しばらくはクヨクヨしていました』
そんな松井を励ましたのは一本の電話だった。
「松井、これから大変だけどな。リハビリは嘘をつかないぞ。頑張るんだぞ。いいな、松井」
声の主は、自身が脳梗塞のリハビリに励んでいる長嶋茂雄さんだ。
- 松井 秀喜
- 不動心
左手首には太いボルトが7本埋め込まれたままだ。
松井はその事実を客観的に受け入れ、その手首で結果を出すために、リハビリ中から打撃フォームの改造に着手した。
『いつか現役を引退する時、左手首を見つめて「おい、あの時骨折してよかったなあ」と語りかけてやりたい』
こんな言葉も。『僕は困難に直面した時「今、自分にできることは何か」と自問します。悔やみ、落ち込むしかないのでしょうか。多くの場合、そんなことはありません。きっと、前へ進める選択肢があるはずです』
「こんなことを書いてはいますが、実はできていないことも多いんですよ。つまり自分を叱咤するために書いたメッセージだと理解していただくと助かります」と松井は照れる。
本書を読んで強く感じるのは、松井には、どんな苦境に置かれても「人間万事塞翁が馬」と考えられるある種の楽観主義と、良いところも悪いところも全部ひっくるめて自分を客観視する勇気があるといいうことだ。
「自分に対して最も厳しい批評家であろうと意識しています。客観的に自分を見つめなければ、何が足りないのか分からないじゃありませんか。足りない部分を自覚し、それを補うために階段を一段ずつ上ってゆく。それが僕のやり方です」
松井の人生哲学がもっとも強く現れているのは次の言葉だろう。
『悔しさは胸にしまっておきます。そうしないと、次も失敗する可能性がでてきてしまうからです。コントロールできない過去よりも、可能性ある未来にかけます』
松井は、自分でコントロールできることとできないことを峻別する。
「メディアや人の心、そして過去も自分ではコントロールできません。しかし、自分の未来ならコントロールできる。インタビューで、感情をあらわにしないことに不満を持つ方もいるようですが、過去に引きずられたくないから決して口にしたくないんです」
最後に本書のセールストークを頼むと、考え込み、こう口を開いた。
「心の交通整理が必要な時に、役立つことがあるかもしれません」
松井らしい謙虚な言葉だった。
(2月19日付産経新聞 より)
提供: 株式会社スタートライン
ホーム転落救出劇の再現
◆ホーム転落、3人で救出 6年前と同じ日 上野駅で
「あの李さんたち、力を貸してくれた」
◆東京・台東区のJR上野駅で1月26日深夜、線路に転落した男性を3人の乗客がホームに抱え上げるという救出劇があった。
6年前のちょうどこの日、JR新大久保駅では、同じように救出活動にあたった 韓国人留学生 ら二人が、電車にはねられら死亡する事故が起きている。
今回、救助に加わった男性の1人も、この事故を題材にした 映画の 原作
を読んだばかりで、「あの時の留学生たちが力を貸してくれた気がしてならない」と話している。
◆上野消防署などによると、上野駅京浜東北線のホームで1月26日午後11時45分過ぎ、さいたま市内の男性(65)が電車が走り去った直後、バランスを崩して線路に転落した。
近くにいた台東区の服飾資材販売業、山本勲さん(57)がホーム上から声を掛けたが、返事がない。
山本さんは線路に飛び降り、続けて降りてきた2人と共に男性を抱え上げた。
同時、電車は7分間隔で運行しており、あと4,5分遅ければ危険だった。
男性は心肺停止の状態で、日本赤十字社などで救護ボランティアを務めている山本さんはすぐに心臓マッサージを施した。
男性は今も意識不明だが、この処置のおかげで命をとりとめることが出来たという。
この時、山本さんは、2001年の同じ日、新大久保駅で線路に転落した人を救出しようとして写真家の関根史郎さん(当時47歳)と共に命をおとした 韓国人留学生、李秀賢 (イスヒョン)さんの 映画
「あなたを忘れない」の原作
を読み終えた直後だった。
「李さんたちの思いが、男性をホームへ押し上げようとする私たちに力を貸してくれた気がしてならない」。
山本さんは、「救護ボランティアに携わる者にとって、6年前の事故は忘れられない」とも続けた。
上野消防署では、山本さんと一緒に救助活動をした練馬区の会社員(29)と、横浜市戸塚区の会社員(27)の計3人の行動をたたえ、2月1日、感謝状を贈ることにしている。
(2月1日付読売新聞 より)