「ねぇねぇ、愛とお金、大事な方はどっち?」


「大事な方ねぇ」


「どっちしか取れない、って言ったらどっちを取る?」


「そりゃあ、愛でしょ」


「どうして」


「お金ばっかりあっても、誰かと楽しさを分かちあえなかったら意味がないっしょ


「でも、お金がなかったら生きていけないよ?」


「なんとかなるっしょ。自分たちで畑作ったりして」


「畑作っちゃうの!?(笑) でもほら、服とか住むところとか」


「確かに大変だけど……」


「やっぱりね、お金は大事よ。

 お金よりも愛情って言うかもしれないけど、

 でも、お金が無かったら生きていくことだって大変なんだから、

 そのことを忘れて、『愛』って言っちゃいけないと思う」


「なるほどね。うん、一理あるよ」


「くだらねぇ」


「なんでよ」


「愛もお金も、どっちも大事に決まってるじゃないか


「そうだけど……」


「両方無かったら、生きててもつまんないだろうが。

 愛とお金、両方大事!」


「そんなまた、身もフタもない……」

「不倫しちゃってますっ!」


「はあ?」


「いや、だから、最近の恋愛どうよ?っていうから、

 不倫しちゃってますっ!」


「お前、この前までホストクラブにはまってたじゃねぇかよ」


「あー、はまってたねぇ」


「その次は不倫か!」


「ねぇ」


「お前、あの、なんつーか、

 あのよ、

 不倫もいいけどさ」


「おっと、説教ですか? はい。ちゃんと聞きます」


「いいよ、座りなおさなくて」


「だってさぁ、みんな怒るんだよねー、不倫なんかするなって」


「別に怒ろうってわけじゃないよ。

 ただ」


「ただ?」


「不倫は結局報われないから」


「やっぱし?」


「そう思うよ」


「そうだよねぇ。それは感じるよ。

 ていうか、あたしは絶対不倫なんかしないと思ってたんだよ」


「みんな同じ事を言うよ。不倫したやつは」


「やー、でもねぇ。

 不倫だけはしないって思ってたんだけどねぇ」

「じゃあ、別れる?」


「……」


「……」


「……」


「ハァ……」


「……」


「……」


「……」


「オレは別れたい」


「……私は、イヤ」


「オレもイヤだよ。別にお前のこと嫌いになったわけじゃないし、続けたいとも思うよ」


「……」


「でもお前、マジメな話をすると、すぐそうやって、だまっちゃうじゃん」


「……」


「……」


「……」


「何でもいいからさー、『あなたのこういうところが嫌い』とかでもいいからさ、

 とにかく何か言ってくれよ。

 そうじゃないとオレは、どうしたらいいかもわかんないよ」


「……」


「……」


「(泣いている)」


「……」


「(涙をふいている)」


「ハア……」


「……」


「あのね、オレはね、恋人とは『わかりあいたい』と思ってる。

 いいと思ってることも、悪いと思うことも、全部含めて

 お互いの気持ちをちゃんと言い合って、わかりあいたい」


「(うなずく)」


「だから、オレは、お前の思っていることを、もっともっと言ってもらいたいんだよ。

 どんなことでも、ちゃんと聞くから。

 否定したり、バカにしたりしないからさ。

 な?」


「……」


「な?」


「……」

「ねぇねぇ、恋と愛の違いってなんだと思う?」


「likeかloveか、って違いだろ?」


「それはそのままでしょ」


「わかるぜ、オレ」


「なに?」


「下心があるのが恋。

 真ん中に心が愛」


「どういう意味?」


「ほら、恋って漢字と愛って漢字を見ると、心の位置が違うだろ?」


「そんなのさー、そうかもしれないけど、ただのこじつけじゃん」


「じゃあ、教えてあげよっか。恋と愛の違い」


「うん。言ってみてよ」


「恋はね、気持ちだけなの。恋心って言うでしょ? 自分の中だけのことなのよ」


「愛は?」


「愛はね、行動がともなうの。相手のことを思えるところが恋との違い。

 恋は自分さえよければいいけれど、

 相手のためを思って、行動を起こして、初めて愛なのよ」


「ははーん。なるほどねー」


「くだらねぇ」


「なんでよ」


「愛が何で、恋が何なんて、どうでもいいじゃん、別に。

 どっちがどうだって、大した違いなんかねぇよ!」


「そんなまた、身もフタもない……」

「返信メールがさ、なんつーかさ」


「大好きなあの子からの返信メール?」


「そう」


「メールやりとりしてるんだぁ。

 どう? うまくいきそう?」


「最初の頃は、こっちが送って、向こうが返してきてってのが

 3往復ぐらい続いてたんよ」


「うん」


「でも、最近は、

 こっちが送って、向こうが返して、それにオレが返事して、で終わり」


「ふ、ふーん……」


「ああ、やっぱダメなのかなって思う」


「でもさ、メールの回数ぐらいじゃわかんないじゃん?」


「だけど、向こうからメールしてくれたことないんだぜ?」


「そっかぁー。まぁ、でもねぇ、メール苦手な子かもしれないし」


「そりゃあ、そうかもしれないけど……」


「とりあえず、やりとりしてるんだからいいじゃん。

 これから、ちょっとずつ仲良くなっていけば」


「でもなぁ……」


「ね?」


「……はぁぁぁ。

 ダメ。 めげそう」


「そんなこと言わずに」


「なんかさ、すげぇ、情けないって思うんだけどさ」


「うん」


「返事の数も減ってるんだけど、メールの文章も短くなってるんだよ。

 最初は画面分ぐらいの行数書いてくれてたのに、

 最近は、3、4行しか書いてくれないし」


「うん」


「でも、長いとオレのこと好きで、短いとどうでもいいって思ってる、ってわけじゃないじゃん?」


「そうだよ」


「わかってんだけどさぁ。

 返事が返ってきて喜んで、メール開いて、前よりも短いメールになってることに

 いちいち落ち込んで」


「そっか」


「今回は題名が入ってた、って言って喜んで。

 今回は顔文字が入ってない、って落ち込んで」


「うん」


「つーか、かっこわる。

 そんなことで喜んだり落ち込んだりしてる自分が、ホントやだ」


「そんなことないよ」


「そんなことあるって」


「みんな、そうだよ。 誰でも、そうだから」