(最初の話はこちら)



○電話にて(夜)



「してないよ、浮気なんか」



「どうだか」



「してないって」



「口じゃなんとでも言えるけど、

 電話切った途端、何してるかなんてわかんないもんな」



「ねぇ」



「あ?」



「なんで最近、何かにつけて

 浮気してる、浮気してるって言うの?」



「そうか?」



「ホントにしてないって。

 同期の相談に乗ったのは事実だけど、

 一緒にお茶を飲んで、それだけだよ?」



「ふん」



「もし、そういうことすら気になるっていうなら、

 同期と二人っきりで会うのもやめるよ。これからは」



「まぁ、別にそこまでしなくてもいいんじゃない?」



「だって、

 そうでもしないと信じてくれないじゃん」



「いや、信じてるよ。

 信じてるけど、ちょっと心配になっただけだよ」



「そうなの?

 ホントに信じてくれてる?

 心配してくれてる?」



「してるって。

 マジ、マジ



「でもさ、でもさ」



「なに」



「ちょっと思うんだけどさ……」



「なんだよ、早く言えよ」



「うん……」

○電話(夜)



「もしもし」



「おう」



「うん」



「今日、遅かったな。仕事?」



「あー、えっと、ううん」



「飲み会? にしては早いか」



「友達の悩み相談みたいのにのってた」



「誰、友達って」



「友達っていうか、会社の人。

 同期なの」



「男?」



「うん」



「男なの?」



「そうだけど……」



「……」



「……」



「友達だから何もないんですよ、ってか」



「ホントに何もないのよ。

 恋愛のことで悩んでたから、話聞いてあげただけ」



「どうだか。

 悩み相談から恋愛に発展するパターンって

 よくあるんだろうしな」



「そういうんじゃないんだって……」



「はぁあーあ

 オレは今日も仕事して疲れて、

 だけどお前と早く話がしたくて真っ先に帰ってきたのに、

 お前は男と遊んでたとはな」



「ごめんなさい」



「いいよ、謝らなくて」



「……」



「なぁ」



「うん?」



「浮気してるんだろ? 正直に言っちゃえよ」

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○カフェ



「好きじゃなくなった理由?」



「うん。

 あ、ホント、私はこう思うってだけだから、

 実際は違うかもしれないよ?」



「わかってるって」



「前カノさん、

 好きって気持ちに耐えられなくなっちゃったんじゃないかな」



「誰の?

 オレの?」



「そう。

 向こうは一生懸命好きでいてくれるのに、

 私はそこまで思えない、みたいな」



「……」



「気持ちに応えられないなら、

 相手に悪いから付き合っていられないって」



「別にそんなのいいじゃん。

 どっちがどれだけ好きかなんて」



「でも、

 ハッキリ物事決めたがる人なんでしょ?」



「うん。そうだった。

 白か黒かって感じ」



「そういう子って、そうしたがるところあるよ」



「うーーーん」



「もしかしたら違うかもしれないよ?

 恋愛よりも集中したいことができたから、ってこともあるだろうし」



「ふぅ……」



「……言わなきゃよかったかな?」



「いや、なるほどな、って思った」



「うん……」



「じゃあ、オレの付き合い方は

 相手にそう思わせてしまうってことなのかな?」



「人によるんじゃない?

 私だったら、自分に一生懸命に来てくれる人がいいって思うもん」



「……そうだ、やっぱり夢に出てきたんだ」



「なに?

 朝、彼女を思い出した理由?」



「そう。初めて二人でデートに出かけたときの夢。

 あいつ、ファミレス行ったらテキパキと注文するし、

 映画なんて、前もって前売り券買って、席まで予約してるし。

 しっかりした子だなぁって思ったんだよ」



「それはしっかりしてるわ(笑)」



「でも、オレはそういうところ見て好きになってさ。

 ぜってー、こいつといつまでも仲良くいたいわって思ったんだ」



「うん」



「初デートのとき、そう思ったんだよね。

 そういえばそういう夢だったよ。

 今朝見た夢は」

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○カフェ(夜)



「本気で好きだったのに、どうしてダメだったかって?」



「うん、まあ」



「束縛してたんじゃないの? 

 で、束縛嫌いの彼女だった、とか」



「わからないけど、

 彼女がして欲しいって言ってくれたことはしたと思うし、

 嫌がることはしなかったと思う」



「ふーむ」



「大事だったから」



「好きだったんだ」



「まあ」



「へえ」



「なに?」



「そういう付き合い方してたとは知らなかった。

 彼女がいたことと別れたことは聞いてたけど」



「ああ、まぁ、ね」



「別れるとき、理由は聞いたの?」



「聞いたけど、教えてくれなかった」



「全然?」



「いや、一応、

 好きって思えなくなったとは言ってたけど」



「思えなくなったねぇ」



「なんかさ、とりあえずオレは今、好きな人っていないんだけど」



「うん」



「すげぇ、相手を思いやって

 大事にして恋愛してたつもりなのに、

 好きって思えなくなったなんて言われるんじゃさ、

 今後どうしたらいいのか、というか」



「困るよね」



「うん……。ねぇ、ホントに(笑)」



「その、前カノの気持ちは前カノさんにしかわからないけど。

 私は、

 私は、ね。

 こう思うんだ」



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○カフェ



「困った?」



「ああ、なんつーか、なんで別れたんだろ、っていうか」



「わかった。引きずっちゃったんだ」



「どうなのかな。

 だって急に思い出したんだぜ?

 今まで全然考えなかったのに」



「そっか。じゃあ、違うのかな。

 前カノと別れてどのくらいだっけ?」



「もうちょっとで1年だね」



「1年かぁ……

 やり直したい?」



「うーーん」



「どう?」



「うーーん」



「悩むってコトは、やり直したいというわけじゃないんだ」



「いや、

 どっかでやり直したい気持ちはある」



「お、じゃあ、良い機会なんじゃん?

 連絡取ってみたら?」



「でも、向こうがイヤだって言うと思うから」



「あれ。もしかして振られたの?」



「そうだよ」



「そっかぁ……」



「でもさ。

 向こうはハッキリしている性格だから、

 これはもう、やり直せないんだってわかってるところがあって」



「うん」



「そこはもう仕方ないって」



「うん」



「だけどね、

 オレは彼女と付き合ってたとき、ホントに好きだったんだよ。

 大事にしてたとも思うし。

 少なくともオレにとっては」



「うんうん」



「それでもダメだったわけじゃん?

 それはどうしてなんだろって、

 なんか、そんなことを考えちゃうんだ」



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