○カフェ(夜)
「コーヒーで良かった?」
「うん、あ、ありがと」
「ここのねぇ、豆がいいんですよ」
「カフェなんてどこのチェーン店も一緒なんじゃないの?」
「微妙に違うのよ、それが」
「そうなんだ。
あんまりこういうところ来ないからわかんなくて」
「男の人はそうかもね」
「女の人はよく行くよね」
「よく、かどうかはわからないけど、行く方なのかな」
「……」
「月がキレイだった、とか?」
「へ?」
「あそこにいた理由」
「はは。違うよ」
「そんなロマンチックな理由じゃないか」
「ロマンチックっていうよりは、
センチメンタルな感じかな」
「ていうと?」
「いや、大したことじゃなくて。
今日起きたときに、前カノのことを思い出したんだ」
「なんとなく?」
「うん。もしかしたら夢に出てたのかもしれないけど」
「それで?」
「そっから、今日一日、ずっと前カノのことを思い出すというか、
考えちゃってて」
「うん」
「そしたら、どうしようもなく困っちゃうんだよ」