「ホントさぁ、ずるい」


「また?(笑)」


「だって、こっちは毎日試験勉強して、時間割いて、

 それでやっと70点だよ?」


「うーん。だからさ、いつもやってる小テストは、あの子より上じゃん?」


「じゃあ、なんで期末は彼女の方が上なわけ?」


「ねぇ(笑)」


「しかも、勉強したっていうならわかるよ? 全然やらないで、

 『ヤマが当たった』なんて浮かれてさ。92点ってなによ。

 ヘラヘラ笑って、少しはこっちの気持ちも考えろっていうんだよ」


「勉強したんじゃないの?」


「そんなわけないじゃん! あの子が勉強すると思う?」


「思わない」


「…ホントさ、ずるいよ。こっちは一生懸命頑張ってるのに、

 向こうはちょろっとやるだけで、私よりもいっつもおいしい思いしてさ。

 いるんだよね、ああいう要領が良いっていうか、生まれもってツイている人っていうのがさ」


「じゃあ、さ」


「うん」


「あの子みたいになりたいと思う?」


「……」


「生まれもって、ツイてて、それで努力することも知らずに適当に人生乗り切って。

 ヘラヘラ笑いながら、『ラッキー』って言ってる彼女みたいになりたい?」


「それは」


「どう?」


「……なりたいとは、思わない」


「じゃあ、いいじゃない」


「……」


「努力して、結果を積み重ねるの、嫌いじゃないんでしょ」


「まぁ、うん」


「毎回毎回、一生懸命勉強して、ちゃんと結果出して。

 私はそっちの方が偉い、って思うよ」

「だって、向こうは好きだって言ってくれてるんでしょ?」


「うん」


「で、あなたも好きなんでしょ?」


「うん」


「じゃあ、いいじゃない」


「そうなんだよなぁ」


「何も問題ないじゃん」


「でも、気になっちゃうんだよ。しょうもないことだってわかってるんだけど」


「何を?」


「あいつに、昔彼氏がいたこと」


「そりゃ」


「前にも彼氏がいて、その彼氏と笑いあって、キスして、Hしてきたんだなって。

 それがたまらなく悔しくなるんだよ」


「でも、それがあるから」


「今の彼女がいる、って? 

 わかってるよ。そんなこと。

 わかってるんだけど、悔しいんだよ。

 どんなに熱っぽくキスしたって、前の彼氏ともこんな風にキスしたんだろなって思ってしまったり、

 誕生日プレゼントをもらっても、前の彼氏には何をあげたんだろうかなって思ったり、

 そんなことばかり気にしちゃうんだよ」