○レストラン(昼)
「街を歩いていると、キレイな女の人とすれ違うときがあるっしょ?」
「うん」
「めっちゃ、へこむ」
「なんで?」
「すごい、キレイだなって思うんだよ? キレイな人だなって」
でも、『ああー、こんな人とオレは付き合うことないんだろうな』って思ってへこむ」
「そんなこと考えるの?」
「こんな気分になるなら、すれ違わなければよかったのにって
不幸な気分になる」
「私はあれだな、干したばかりの布団に飛び込んだとき。
ばふって。
もぅねぇ、いい匂いがするし、ふかふかだし、
くぅーーってなる」
「で、そのまま寝ちゃったりするんだろ?」
「そうそう! まだ夕方だったりするのに」
「やだよ、そんなの」
「なんでー?」
「不必要に睡眠を取るなんて、自己嫌悪に陥る」
「でもさぁ、そういうささやかな幸せってのが
一番ステキなことなんじゃないの?」
「いい」
「いい?」
「ささやかな幸せなんていらない。
1つ、どでかい幸せがあればいい」
「ふーん。
それで毎日楽しいの?」
「楽しくなくてもいい」
「そう。
でもね、ささやかな幸せを、幸せだなぁって思えたら、
楽しい気分になるでしょ?」
「まぁ」
「楽しい気分でいられたら、もっと幸せなことが舞い込んでくる気がするの。
そんな小さなことを積み重ねていくと、
気がついたら、どでかい幸せになってるんじゃないかな」
「んー。それはそうかもしれないけど、でも」
「私はそう思うな。
とりあえず毎日楽しいしね」