陰謀論の正体。①八百万の神と善悪二元論 | 縄文家族|天竜楽市

縄文家族|天竜楽市

天竜川流域に岩宿、縄文の昔から連綿と続く山暮らし。

大祖先から受け継いだ五万年持続する森と共生するサスティナブルライフを未来の子供たちへ伝えましょう‼️



陰謀の正体ぢゃないよ「陰謀論」の正体だよ(o゚□゚)o

AD5世紀初頭、西方へ移動した匈奴、華北へ南下した鮮卑に代わってモンゴル高原で柔然(じゅうぜん、nyunyen)が勢力を拡大しました。

柔然は、鮮卑、烏丸と同じく東胡(のちの契丹、蒙古も含まれる)の一派であり、遼河文明~商(殷)王朝の流れを汲み文化水準は相応に高かったと思われ、当時の西アジアや東欧にはない鋼製の鎧兜、馬にも金属の鎧を着せた重装鉄器兵を装備していました。

鮮卑拓跋部は華北に北魏を建国し、漢民族と同化していきましたが、柔然も北魏から穀物や漢方薬の他、書物も輸入し中国文化を取り込んでいったようで、永康、太平など独自に元号も立てています。

拓跋氏は中国に進出して皇帝になり、のちに姓も元氏と改めましたが、柔然郁久閭氏は可汗を君主号に用い、北魏に対等な外交を要求しました。

北魏は再三、これを拒否していましたが、のちに漢が匈奴に(皇帝の印と同等の)玉璽を贈った故事に倣い対等な立場での外交(形式上は柔然が北魏に朝貢)を認めています。

隋、唐も北魏の体制を継ぐ鮮卑系の王朝で、突厥沙陀部の五代(後唐、後晋、後漢)~宋、契丹の遼、女真の金、蒙古の元まで代わる代わる北方民族が中国を支配する時代が千年以上続きますが、モンゴル高原も継続して支配していた大元ウルス以外の支配層は南下すると祖先の地に残った遊牧民を蛮夷と見下すようになっていきます。

柔然はモンゴル高原北方のテュルク系諸族(高車)を従属させ、高い鍛鉄技術を持っていた突厥部を鍛鉄奴隷としていましたが、契丹や北斉と争った柔然が衰えると突厥は自立し555年に柔然を滅ぼしました。

モンゴルを追われた柔然の人々は西魏、勿吉(もつきつ、かつての粛慎、挹婁、のちの靺鞨~渤海、女真~満州)へ亡命しますが、一部は遠く西方へ移りアヴァール人と呼ばれるようになります。

柔然は天神、鬼神を祀り、シャーマニズムによる政治を行っていたとされますが、モンゴル系共通のトーテムである狼の他に、蛇を意味する語(モンゴル語でAbarga)を民族の自称としており、アヴァールの国名はそこから来たと云われています。

中国北方の“蛮夷"であったアヴァール人は、(当時の東欧と比較して)卓越した技術力と武力でヨーロッパに地盤を築いていきます。

561年までにイラン系遊牧民族サルマタイの一部族であるアラン人(中国名は阿蘭)の仲介で東ローマ(ビザンツ)帝国と同盟し、北カフカスからドナウ川下流域へ勢力を広げ、567年にはランゴバルド人と同盟してゲビド族を滅ぼしアヴァール可汗国を建国。

アヴァールに圧迫されたランゴバルド人がイタリア半島に退いてランゴバルド王国を建国すると、アヴァール可汗国はハンガリー平原からカフカス地方に及ぶ広大な地域を領有しました。

一方、柔然に従属する一部族に過ぎなかった突厥ですが、柔然(アヴァール)をアランの地に追いやりつつ558年にはサーサーン朝ペルシア(ゾロアスター教を国教とする)と同盟し、エフタル(アルタイ山脈付近にいたテュルク系民族がキダーラ朝=大月氏後裔に代わって中央アジアに勢力を築いた)を攻撃、567年にエフタルを滅ぼすと、

翌年には支配下に置いたソグド人(シルクロード交易を担ったペルシア系農耕民、ゾロアスター教徒)使節団を東ローマ帝国に派遣、絹貿易とサーサーン朝対抗(突厥とサーサーン朝の関係は悪化していた)を公約に同盟を結びます。

突厥可汗国と同盟した東ローマ帝国は、アヴァール可汗国と断交しますが、バルカン半島に攻め込まれ、574年には一転してアヴァールへ貢納を支払うことに…

すると激怒した突厥可汗国が576年クリミア半島の東ローマ領を征服。

その後、アヴァールはスラブ諸族と共に東ローマに侵攻、アヴァールはサーサーン朝と同盟して東ローマと対抗し、突厥は東ローマと同盟してサーサーン朝と対抗し、一進一退の攻防を繰り広げ、一時サーサーン朝はエジプト全域を占領、コンスタンティノーブルを包囲するなど大攻勢をかけますが、やがてイスラーム勢力が台頭してきます…

突厥は独自の突厥文字を持ち、古くは5世紀の碑文が残されています。
信仰はシャーマニズムでしたが、タトバル可汗(在位572-581)が仏教に帰依したと突厥碑文に記されています。

突厥は元々武芸に秀でた傭兵集団でもあり、牧畜、製鉄の他、農工業まで多岐に渡った産業を持っており、急激に勢力を拡大するポテンシャルが備わっていたようです。

のちのセルジュク朝、オスマン朝トルコも突厥系のテュルク系モンゴロイドが先祖であると考えられています。

建国から30年程で突厥の版図は遼河流域からアラル海に至り、シルクロードを制する世界帝国を築いたのです。

突厥支配層はテュルク語を話していましたが、シルクロード交易を担ったソグド人によるソグド語が広大な突厥可汗国の共通語となっていきました。

ソグド人はアケメネス朝(BC550-BC330)の時代からシルクロード交易をほぼ独占してきましたが、突厥可汗国が勢力を拡大すると安全が保障される範囲が広がり、交通の便が格段に良くなったと思われます。

ヨーロッパ、ペルシア、中国…そして倭国にも頻繁に渡って来るようになったようです。

ペルシア系のソグド人は前述のようにゾロアスター教を信仰していましたが、後漢代に中国へ仏教を伝え、中国や遊牧民にマニ教、キリスト教ネストリウス派(景教)を伝えたのもソグド人とされており、ソグド人のゾロアスター教は、サーサーン朝とは異なり、独自色が強く、特に仏教との習合が進み、偶像崇拝が信仰の中心になっていました。

また、ソグド人は八百万神(パンテオン)も受容し、柔軟な宗教観を持っていたようです。

推古天皇の時代、飛鳥を代表する仏師であった鞍作止利(くらつくりのとり)をソグド人とする説もあり、

日本書紀孝徳五年の「吐火羅国の男女、日向に漂着」斉明三年「都貨邏国男女、筑紫に漂着」にあるトカラ人をソグド人(トカラ人とは、ソグディアナに近いオアシス国家トカロイを拠点とした大月氏系交易民ですが、漠然とトカラ地方の住民としてソグド人も含まれていた)とする説もあります。

また、法隆寺と正倉院にはソグド文字の書かれた香木があるそうです。

ソグド人の遺物は山東半島~インドへの海洋ルート上からも発見されており、越、黄支、そして倭人など海洋交易民との繋がりがあったのでしょう。

海洋ルートの交易民にとっては、突厥の成立でソグド人の内陸ルートが活性化したことは打撃だったかもしれません。

倭国が海洋交易の連合国家から稲作律令国家の日本へ転換していく時期でもありました。

日本の仏教でソグド文化の影響と考えられるのは、盂蘭盆(うらぼんえ)がペルシア語で霊魂を意味するウルヴァン、死後に霊魂と一体化する守護神を意味するフラヴァシから来ているとされています。

お盆の迎え火、送り火も火炎崇拝を根本とするゾロアスター教(拝火教)と関係ありそうですね。

真言密教における護摩焚きは、ゾロアスター教の影響と考えられています。


もう少し言えば、八百万の神を受容し、ゾロアスター教と仏教が習合し、マニ教、景教のエッセンスを取り込んだ偶像崇拝を中心とするソグド人の信仰とは、日本の仏教そのものです。

ソグド文字は、アラム文字から派生しており、ソグド人も紀元前はアラム文字を使用していました。

アラム文字はフェニキア文字から派生しています。

水窪石にはフェニキア文字らしき文様が刻まれていますね…


交易をしながら出逢った文化を否定せず受け入れていく、倭人とソグド人に共通する寛容な精神は、
広く世界を巡り、ムダに争うことなく、細く長く商いを続けていく交易民には必然的に求められる気質と言えます。

日本人にとっては、アッラーフもヤハゥエもゴッドもゼウスも神様に違いはありません。

然し、一神教においては信じる神以外は全て邪神となります。

敵の崇拝する神を破壊することで、敵は力を失うと考えられました。

敵の神を貶め破壊するのは正義でもあったのです。

元々、アヴァールのようにアジアにルーツのある民族の多くは多神教、太陽崇拝、神託を基本としていました。
神様に悪い神がいるなどとは考えたこともなく、天には神がいて、人は死ねば地下の黄泉へ行くのです。

死後に天国と地獄へ振り分けられるという発想はありませんでした。

最初に善神と悪神、善悪二元論、天国と地獄、終末と最後の審判という「対立」や「選別」を産み出す過激な思想を唱え、素朴な人々の心にある純粋な「信仰」を、

現代まであらゆる対立の要因になる悪魔的な「宗教」に変えてしまったのはゾロアスター教の開祖ザラスシュトラ(ツァラストラ)でした。

それでも、ソグド人のように寛容なゾロアスター信者の概念であるうちは、問題にはならなかったようです。

元々、生きていくための思想であったブッダやイエスの教えが仏教、キリスト教という体制に変容していくときに、ゾロアスター教の善悪二元論、天国と地獄、終末と最後の審判という異教徒と異教徒、民族と民族、思想価値観…あらゆるものの対立を煽るシステムが取り込まれていきました。

アヴァールに従属して東欧へ移動したブルガール、西突厥がアヴァールが最初に西方の拠点とした北カフカスに送り込んだハザールも、最初は多神教のテュルク系部族でした。

多神教、アニミズム、天王を崇拝する寛容なハザールが、イスラームに追われたユダヤの民を心よく受け入れたときには、よもや後々まであらゆる陰謀論の主役となるアシュケナージユダヤとして世間を戸惑わせる存在になるとは、思いもよらなかったでしょう。

ハザールマフィア、アシュケナージユダヤ、ロスチャイルド、イルミナティ、フリーメーソン、ディープステート…あらゆる陰謀論の起源(陰謀の起源ではなく「陰謀論」の起源であることに注意⚠️して下さい‼️)は、心優しいハザールの親切な行いに端を発してしまったのです…

②につづく…(  ̄ー ̄)ノ