札幌市から6月10日に新たなコロナ対策融資制度が発表されました。

 

 新型コロナウイルス緊急資金

 

 

 

 

 

 

 既存のコロナ対策保証との違いを表にしました↓

 

 

 ブログタイトルでは2500万円になっているのに表は500万円?

 

 間違いではありません。

 

【制度の概要】

 札幌市が金融機関に直接損失補償を行う(融資が回収不能となったときに札幌市が損失の補償をする、つまり実質保証する)ことで金融機関からの融資を出しやすくする、という趣旨です。

 

 全体の融資額の5分の1まで、保証協会付融資との組み合わせが前提です。

 

 札幌市が損失補償を行う額の上限は500万円。逆算すると上限は、「保証協会付融資2000万円」+「本件損失補償付500万円」=2500万円となります。

 

【組み合わせができる保証協会付融資は】

 言葉がまぎらわしいのですが、もともと札幌市が設けていた制度で「新型コロナウイルス対応支援資金」という制度がありました。

 

 対象は、

 ①売上が前年同期比△10%の企業

 ②セーフティネット(SN)保証4号該当 …※売上が前年同期比△20%の企業で市町村の認定を受けた企業 

 ③危機関連保証該当

 

 の事業体、となります。

 

 ①と②の条件がわかりにくいのですが、「原則前年同期比で売上が△20%ならSN4号該当で対象。札幌市内の事業体で△10%の会社でも札幌市の認定書をつけるので保証がつけばOK」ということだと思います。

 

 この、「新型コロナウイルス対応支援資金(保証協会付)」を8割、「新型コロナウイルス緊急資金(札幌市損失補償付)」を2割で組み合わせる、という趣旨です。

 

【既存の保証枠】

 SN4号、SN5号、危機対応保証は合わせて上限5億6千万円となっています。これは必ずその金額まで保証を付ける、ということではなく、企業規模や財務内容を見ながら保証を付けていくのですがその最大限の金額が5億6千万円、ということです。実際には「1億円までしか」「がんばって1億8千万円まで付けますけど2億はムリ」などという話になることが多いと思います。

 

 それに加えて、表の中にもありますが「国準拠」「道特別」という枠があります。これは元になる保証がSN4号でもSN5号でも危機関連保証でも良いのですが、回収に問題があったときに国や道がその補填をするので保証協会は気にしないで保証を付けなさい、という制度です。つまり、保証協会が考える、この企業はこの金額まで、という枠に6000万円が別枠で追加される、というということです。

 

 ↓以前のこのブログでも解説しています。

 

「民間金融機関における無利子無担保の3000万円融資」とは?/裏になるほど、な仕組みがあります

 

 

 

 そして今回の札幌市の新制度融資。

 

 その企業の保証利用額がすでに上限についている場合、札幌市が損失補填するとなっても保証協会が保証枠を追加で出すか?というところが少しネックになるかもしれませんが、別枠でなんとかおカネを企業に流したい、という気持ち、姿勢が感じられる仕組みです。

 

【余談ですがもし、返せなくなったときのネックは】

 この札幌市の補償付というところ、実は事業再生のフェーズでは大きな重荷になります。

 

 いっそ、返せないまま破たんなら良いのですが、債務の一部カット、特に特定調停など私的整理に向かおうとすると、「他の金融機関と足並みを合わせて」というところが非常に難しくなります。札幌市議会の承認が必要だからです。そもそも、来月末には金融機関団の承認を得たい、というときに市議会の会期中でなければそれだけでアウト。

 

 市議会議員だからと言って再生に詳しいわけではないと思います。

 

 他の金融機関がすべて〇割の貸倒計上に同意していたとして、議会が「札幌市民の税金を使う話だ、民間と同じに扱うな」という流れになれば終りです。同意は成立せず、企業は再生から整理に向かうことになります。

 

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