チューリップも満開ですね。

 さて、スルガ銀「乱脈融資」問題について、こんな見方も、というお話を。

 

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 報道されているところでは、スルガ銀行が行っていたシェアハウス向け融資について、

 

①シェアハウス大手が破たんし家主に対するサブリース料支払いが滞る

②融資元のスルガ銀が審査過程で借主の預金残を水増しするなど書類の改ざんを行っていたことが発覚

③実態解明のため第三者委員会を設置(2018.5.18日経に委員会委員長のコメント記事)

④金融庁は2018年4月から立入検査を実施

 

 いつかシェアハウス大手の家賃支払いが滞ることが解っていながらずさんな融資を繰り返していたのではないか。「保証家賃支払をするのは業者だし、借主はウチに返済義務があるし最低限不動産担保はあるし」という安易な姿勢で貸したのではないか。

 

 背景には、①金融検査マニュアルの廃止(2019年3月予定)と②銀行独自の「目利きを」という金融庁の指導(2014年7月の金融モニタリング基本方針)があります。

 

 金融庁はバブル期以来の検査方針を最近転換しています。

 

 「いままでのように画一的な、『これは不良債権』『これは正常』という統一基準は設けない。各銀行の目利きに基づいて『いける』と思えば融資していきなさい」という方針です。したがって各金融機関は顧客に対し「金融庁がうるさいのでしたくても融資できない」という言い訳をできない立場になっています。

 

 スルガ銀行の「シェアハウスという新たな融資分野の開拓をする」という方針は決して悪いことではないと思います。ただし、書類の改ざんがなければ…

 

 どんな融資でも書類の改ざんまでして実行するのは乱脈融資です。

 

 例えば、逆の立場で客側が改ざんした書類を持込み融資を依頼し、融資実行後その改ざんが明らかになった場合は銀行側は「騙された」として詐欺罪で刑事告発、民事で賠償請求、という流れになります。(よくある、粉飾決算して…というレベルではなく、実在する公共工事の架空の発注書を偽造して添付する、など悪質な場合)他人にやられたら訴訟するレベルのことを銀行自らがしてしまったわけです。

 

 今回のスルガ銀行のように銀行側が改ざんをしてしまったら…?その責任を問うのは?

 

 金融庁、しかありません。

 

 (スルガ銀問題の前、商工中金でも書類改ざんによる不正融資問題が発覚しました。このケースでは不正融資の動機になったのはノルマの達成。商工中金の立場はちょっと特殊で株式会社化を果たしたものの、財務省と経済産業省が主務官庁となっており普通銀行と違い金融庁直接の監督を受けていません。処分も、株式会社商工組合中央金庫法第59条を根拠に経済産業大臣・財務大臣・金融庁長官名で出ています)

 

  過去を振り返れば、

 

 「ノンバンク目線で普通銀行が融資できない先に『銀行として』融資する」という触れ込みだった日本振興銀行。

 

 「既存の銀行の貸し渋りを解消する」ということで設立された新銀行東京。

 

 それぞれ不明朗な融資を積み上げ、今は形は残っていません。

 

 「積極的な融資」と「乱脈融資」の差は紙一重です。

 

 この件は事業性評価など「目利き」力をつけ融資をつけるアクセルと、融資規律が緩んでいないかという検査のブレーキ。マイナス金利下の金融行政の難しさを表していると思います。

 

 このスルガ銀行の一件を横目で見ている各金融機関は、

 

 「踏み込んだ融資をしようにも…」「とりあえず従来通りの運用で」と感じているのではないでしょうか。

 

 今回の一件も、シェアハウス大手のビジネスモデルについてスルガ銀が「良い!」と思えば、シェアハウス会社本体に対する融資やファンドを活用して資本投入する、劣後ローンを出す、など打つ手はあったのではないかと思います。

 

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