すたんこお嬢さん→すたんこ奥さんのブログ -3ページ目

新生活開始のこと

たいへん長い間、じつに3年半近く、ブログをお休みしておりました。
その間、お嬢さんにはいろいろなことがありました。
その中で最も大きなできごとは、お嬢さんが結婚をして奥さんになったことです。そのため、ブログの題名もお嬢さんから奥さんに変更いたしました。

しかしながら、一人称をお嬢さんから奥さんに切り替えることには、まだなにか慣れません。お嬢さんという表現が心身の状態や気の持ちようを表すものであるのに対して、奥さんという表現はどちらかといえば相対的な関係を表すものであるように思われます。そのようなわけで、当分のあいだ、一人称はお嬢さんのままでいることにしました。

お嬢さんの結婚相手は、このブログが軒をお借りしているまうかめ堂さんです。まうかめ堂さんは、お嬢さんがブログを更新しない間もゆっくりゆっくりページを更新して来られましたが、変わらず元気でおります。お嬢さんはこれからまうかめ堂さんといっしょに暮らすことになりますので、これからは記事のひとつとしてまうかめ堂さんのことも出てくるものと思われます。

写真は、結婚披露宴の高砂飾りです。新郎新婦が席をあけている時には、ふつうは熊などのぬいぐるみが高砂席で代理をつとめるのですが、こちらはお嬢さんの郷里の郷土玩具で、下半身におもりが入れてあって倒しても勢いよく起きて来ます。こんなふうであればよかろうと思って置くことにしたものです。

そのようなわけで、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

野菜料理のこと

郷里から戻ったあと、お嬢さんの許には、郷里から数度荷物が届きました。

一度目の荷はたくさんのぶどうでした。早い時期に収穫される、固く種のない大きなぶどうが6房と、新高と呼ばれる品種の梨が4つ5つ入っていたように思われます。

次の荷にはたくさんの玉葱とばれいしょ、そして大きな夕顔を胴切りにしたものが入っていたように思われます。夕顔は切ってしまうと非常に足が早く、お嬢さんの許に着いたとき、残念ながら夕顔の半分ほどは溶けかかっておりました。

最近の荷には、丸のままの小ぶりな夕顔がひとつと米茄子が4つ5つ、長茄子が4、5本、日持ちがよいように改良された卵形の小さなトマトが赤黄とりまぜて1袋、きゅうりが1袋入っておりました。

帰京してからのお嬢さんはひどく忙しく、送っていただいた野菜のうちのいくつかは調理することなく寿命を終えてしまいました。しかしながら、忙しい時にあえて調理に時間を使うことは何かの解消にもなります。ふだんよりていねいな下ごしらえや、ふだんより時間をかけてこしらえたお皿や保存食は、お嬢さんの食生活や冷蔵庫の中をたいへん豊かにしておりました。

先だっての週末は茄子と挽肉と柿のドライカレーをこしらえました。これは、まず柿でチャツネをこしらえ、しかるのちに茄子のピュレをこしらえ、さいごに挽肉や香辛料と共に煮合わせてこしらえるもので、パンにもごはんにも合うようになっております。こしらえ方は少し長くなりますので、おって書くことにいたします。

写真は、郷里のいわゆる「古い街の地域」にある商家の一角です。高価な製品を扱っているので、店舗にあたる部分と倉庫にあたる部分は漆喰で堅牢に仕上げてあります。

菌の春秋のこと

お嬢さんの家では、30年ほど前からヨーグルトの菌が飼われていました。

この菌は、父親の兄が北海道で仕事をしていたころ、仕事先から持ってきて下さったものです。父の兄は児童福祉施設を大学の同窓生と運営しておりましたが、菌はその福祉施設に代々飼われており、北海道の新鮮な牛乳でヨーグルトをこしらえては子供達と食べていたのだそうです。まだ小さかったお嬢さんが自分も飼ってみたいといったところ、ある年の冬に持ってきて下さいました。

お嬢さん一家がすこし大きな街に引っ越ししてからも、菌はのんびりと飼われておりました。引っ越してきたばかりのお嬢さん一家は、菌をある種のコミュニケーションツールにして近隣に知り合いを増やし、いつのまにかあたり一帯で菌を飼うことが流行しました。菌の飼育に適した脂肪分の濃い牛乳があちこちで売り切れたことを覚えています。

菌を飼いはじめてから10年ほどたったある年の春、祖父が病気にかかり、祖母が看病のために家をあけるようになり、父親が単身赴任で家を出るようになると、家族の食欲も減退したのか、菌はあまり顧みられなくなりました。この菌は定期的に牛乳に放つことによって代替わりを繰り返すのですが、ある時ふと反応をやめてしまいました。冷蔵庫に数カ月おきっぱなしにしていた菌に、もう体力は残っていなかったと見えます。

この夏、帰郷して冷蔵庫をあけてみたところ、冷蔵庫には昔の菌が飼育されていました。これはどうしたのですかと母親にたずねたところ、赴任に際して菌を携えていった父が、その後も飼育に成功し続けて現在に至ったものが里帰りしたものだということです。父親は農業高等学校を卒業しておりますので、生き物の飼育は得意であるようです。父の官舎には、ヨーグルト菌のほか、甘酒の菌、なにかの酵母菌などが仲良く共存しているとのことでした。

帰京の日、お嬢さんは赴任先に帰る父の車に同乗して新幹線の駅まで向かいましたが、そういえば家から菌をわけてもらうのを忘れたと話すと、父は官舎に立ち寄って、大きなガラス瓶に詰めた菌をわけて下さいました。ガラス瓶で飼育すると、牛乳パックで飼育するより菌の質がよいのだそうです。お嬢さんのところでも菌はよく育ち、帰京して一週間になる現在、3度目の代替わりに入ったところです。

お嬢さんの家のヨーグルト菌は酸味が弱く、つるりとした感触があります。カルピスの濃縮液をふりかけていただくのが最もおいしいですが、同量の牛乳と少量の水を加えて撹拌したラッシーが現在のお気に入りです。

写真は夕顔の販売風景です。帰京の前日、家族で野菜直売所を訪れた時に撮影しました。