リング禍防止・JBC役員会報告vs現場の意見 | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

日本ボクシングコミッション(JBC)は、2月19日後楽園ホールで発生した八巻裕一(野口)選手のリング事故を受け、試合役員会にて緊急会議を開 きビデオ検証を行い、その報告を明らかにしている。大竹マネジャーと、その報告レポートについて話し合った。


【JBC  平成22年3月6日試合役員会報告】


日本ランカー同士の対戦にしては実力差があったのではないか。

  ↓

八巻は前回の試合で日本ランカーに勝ってランク入りしたが、今回のランカー対決の実力差を考えると、ランカーに 勝ったからと言って自動的にランク入りさせることに問題はないか

  ↓

技術的に完成されていないと判断される選手は、ランカーに勝ったとしてもランキング入りを見送ることを検討。

八巻選手は、技術的にある一定の完成度にある10戦無敗の日本フライ級8位安西政人(ワールドスポーツ)選手を初回KOに降しランキング入りを果た した。安西選手は08年度の全日本新人王。新人王特典によりランキング入りを果たし、その後6回戦2試合に勝利。八巻選手との試合が初の8回戦。


無敗安西、ノーランカー八巻にやられた(Box-on!)


日本ランカーに勝った選手がランキングに入ることは、ごく自然である。ランカーに勝った選手をランク入りさせる事がなぜ問題なのだろう?


「ランカーに勝った選手をランキング入れなかったらおかしくなっちゃうよ、ボクシング界」

一昔前、上位選手との連続対戦、海外遠征等で黒星が続いた場合、それほどランキングは下がりませんでした。7連敗、8連敗でも。これは、対戦相手の 質、試合内容等が考慮されての事以外、理由は見つかりません。

現在のランキングでも対戦相手の質、試合内容はもっと考慮されるべきでは。外国人選手ばかりと戦う選手が、自然とランクアップしていくのは不自然だと考えます。

全日本新人王のランク入りは問題なし。しかし、その後のランクアップは、上位ランカーとの対戦に勝利してからにしてはと思いますが。


『実力に差があった』


「相手があってのボクシング。カードの噛み合わせ、その時のコンディションでも全然違って来ちゃうからねェ」

実力に差があったように見える(そのような展開になる)試合は、多々起こります。世界戦でもありますからね。スタイリッシュなサウスポーvs不器用な短躯ファイターの組み合わせ等。

大内選手は前戦で八巻選手の先輩鈴木 誠 選手と戦い、7回1、2、3差の3-0負傷判定勝ち。八巻選手サイドは、この試合での感触、また鈴木選手と八巻選手の戦力を比較し、勝負になると踏んでこの試合に挑んだものと推測する。

現実的には、今後、JBCが実力に差があると判断したカードは、承認しないという流れは徹底されても良いと思います。

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『技術的に完成されていないと判断される選手』


この定義は大変難しい問題であります。ボクシングスタイルという事になってくるんでしょうか?


偉大な先輩達の中には、強烈な個性的スタイルで活躍された方々も数多くいらっしゃる。A級に昇格してくる選手は、形の違いこそあれ、戦う為の基本的 技術は身につけていると思いますが。


6ラウンドまでの採点上は、ほぼ一方的に大内が優勢であり、7ラウンド八巻が劣勢になった時点でセコンドか らのタオル投入があっても良かったのではないか。

コーナーインスペクターに頼らず、レフェリーが積極的にインターバルでのドクターチェックを仰いでも良い。

採点集計は現在、タイトルマッチ以外は全ラウンド終了後に回収し、発表しているが、試合展開を具体的に把握する為 にも、各ラウンド終了後のジャッジペーパー回収を検討。採点上でそれまでの展開が一方的であれば、インスペクターによるレフェリーへの早めのストップが進 言しやすい。

11日の後楽園ホール。飯田レフェリーは、ダメージを感じさせた赤コーナー大沼弘宣(協栄)選手のインターバルの様子を、リング中央からずっと凝視。


大竹マネジャーもラウンド終了前、「帰って来て本人がハッキリ答えなかったら止めたほうがいいよ」と萩原トレーナーにアドバイスしている。幸い試合 は、以後、大沼選手が踏ん張って6回を戦い抜いた。


大きくポイントが離れ、もはや”逆転の可能性が少ない”とオフィシャルが判断した場合の試合ストップは、我々も受け入れるべきでしょう。


「ボクシングの醍醐味は逆転KOって事もあるけど、それはいいかもね。何でもかんでもそうしちゃったら、また問題だけどね」


赤、青の各コーナー(ポスト)にライト(照明)を取りつけて、どちらかが一方的な状況になった際にインスペクター が点灯させ、レフェリーやセコンドの他、会場全体に試合をストップすべきタイミングが近いことを知らせるシステムを検討。

1975年8月、メキシコ・メリダ。WBC世界フライ級王者ミーゲル・カント(メキシコ)の地元に乗り込み王座に挑んだ高田次郎(横浜協栄)選手 は、11ラウンドTKO負けを喫した。



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野球場に特設されたリングの4つのコーナーには、黄色いランプ。これは、ラウンド終了10秒前を知らせるもの。そして、その下には赤いランプ。この赤いランプはドクター・ストップを告げるものだ。


「お前、ロープに詰まって防御ばかりしていると赤ランプ付けられちゃうから気をつけろよ」(河合会長)


11回。右フックでヒザを折った高田選手をコーナーに詰め、カントが連打を見舞う。一方的攻撃。すかさず、赤ランプが点灯。レフェリーは、試合を止めカントの手を上げた。くしくも河合会長が試合前に冗談交じりに言っていた言葉通りの結果に。


「あの処置はなんだかわからなかった」


これは試合後の高田選手のコメントである。試合は、手が出ない挑戦者を王者が終始コントロールしていた。日本側からも文句のつけようがないストップだった。


メキシコリングでこの赤ランプが点灯したのは、74年8月のナポレスvsルイス戦以来だという。この試合も9回ナポレスがルイスに連打を見舞ってい る最中に赤ランプが点灯されたのだという。


これは良いやり方だと思います。ストップのタイミングが近い事を知らせるというよりも、その時はストップで良いと思います。


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具志堅用高(協栄)選手のリングキャリア後半には、”マリンホーン”なるものがニュートラルコーナーに置かれ、ラウンドの終了を告げていました。


・八巻の普段の体重は58kgあり、試合時は50.0kg。減量の影響も大きくあったと考えられる。サウナ等の脱水による減量は避けるべき。

これは間違いなく正論なのですが、サウナも使いようによってはその効果は大です。誤解されますが、あくまでも使いようです。

「大橋ジム(移転新オープン)だって、”サウナ”付って広告出てるしね」(~~)

58キロから計量日50キロまで減量し、試合当日2キロ~3キロ程度増量。この位は普通のケースですが、もう少し上の階級を含めても5キロ以上オーバーのケースが多々あります。といっても、当日計量は厳密に計るわけではありません。「洋服着たまま計りました」という選手も多い。余りに増量が激しい選手にはJBCからウェイト変更勧告がなされる。しかし、絶対的なものではない。

「せっかく当日計量の統計取ってるんだから、たとえば5キロ以上増えてた選手の勝敗とか、事故率とか出したらいいと思うね。そういうデータは、ぜひ公表してもらいたいよ。せっかく計ってるんだから、発表した方がいいって前から言ってるだろ」

当日計量データと選手の試合結果、動向の発表はいいですね。試合前、選手個々には「いくつ増えてた」と聞きますが、いつもより増えてる選手は要注意でマークしています。

「KO負けといっても、今はその内容に大きな違いがあるんだから、ひどい場合には出場停止期間をもっと増やして、検査受けるとかした方がいいよ」

KO(TKO)負けにも質がある。確かにです。早いストップ負けと、完全KOではダメージの度合いがまた違ってくる。

・試合当日のプログラムに八巻選手の日常的な飲酒が疑われる文言があった。飲酒がボクサーの健康に与える悪影響は明らかで、ジムにヒアリングすべきであ る。また、再度業界全体に飲酒の危険性を警告すべき。

これは確かにです。プログラムには、そのように疑われても仕方ない記述があります。これは管理する側が、強く注意を呼びかけなくてはいけません。ブログ流行の昨今、「飲みたい」、「飲んだ」という事を平気で書いている選手も見かけますが、これは考えさせられます。

今後の為にも選手の意識向上に管理側が徹底しなければならない事だと思います。

「そんな事知ってたら、選手に厳しい指導出来ないだろう」

「命がけで戦うのは選手なんだから。俺はそんな選手、リングに上げられないよ」

JBCの安全体制は万全と思われる一方で、こんな記事も。

ボ クシング事故に実績のある病院が搬送拒否 問われるJBCの責任とは?(日刊サイゾー)
 

「亡くなった選手が、慈恵医大病院と日大病院の両方から搬送を断られたと聞いて驚きました。これまでそんなことはなかったから。今は、ほかのジムの関係者 と話すなかでも『これから大丈夫なんだろうか』という話になっている」と語るのは、中堅ジムの会長。

「(ホールの試合で)最善の手配ができていなかったというのは初めて。なぜそうなったのかは検証しないといけない」(前出の中堅ジム会長)

事の真偽はわかりません。しかし、リアルなコメントありの記事です。

リング禍防止。

大変難しい問題ですが、JBC、協会が一致団結し、厳しい姿勢で取り組んで行く他ありません。万全を期して。

改めて、リング禍に遭遇された選手の皆様のご冥福をお祈り申し上げます。

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