9日後楽園ホール控え室。日本ウェルター級タイトル挑戦権を賭けて、6連続KO中の日本1位井上 庸 (ヤマグチ土浦)選手と戦った、2位加藤壮次郎(協栄)選手の第一声である。
キャリア12年目。加藤選手は、今年になって国家資格である柔道整復師 の試験に合格。いまや先生であります。
セミファイナル。WBC世界ミニマム級1位黒木健孝(ヤマグチ土浦)選手が、好センスの日本同級5位大内淳雅(角海老宝石)選手にボクシングをさせない。変則スタイル、ありとあらゆる角度から放たれる黒木選手の攻撃は8回フルに続いた。キャリアの差。
終了ゴングと共に、悔しさを爆発させた大内選手。それは、空回りさせられた己に対する怒りだろう。壮次郎が勝つならば、こんな試合だろうなァ。
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坂田選手とスパーの黒木選手。
久々に新調したトランクス。CMだらけが笑える。マッジクテープ着脱の仕事用白衣をガウン代わりにリングに上がった31歳。気合は入っている。
黒木選手と共に、協栄ジムへ出稽古へ来ていた事がある井上選手。礼儀正しい好青年です。渡部あきのり選手と、火の出るようなスパーリングを展開。打ちつ打たれつ激しい肉弾戦。どちらもいいのあててました。
「壮次郎はやった事ないの?」
「やってないんですよ。でも、田舎隣町なんですよね」(~~)
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さて、試合開始ゴング。
6連続KO中の井上選手は、その全てが3回以内というハードヒッター。14勝(10KO)1敗。思いっきり振ってくる右パンチはパワー十分。ブロックしてても吹っ飛びそうな迫力。荒っぽい。
「壮次郎、今日はベラミーとやった時の気持ちと、あの左ジャブ。あれあったら勝てるよ」
これは試合前の大竹マネジャーのアドバイス。現日本Sウェルター級2位チャールズ・ベラミー(八王子中屋)選手に初黒星を与えた時は、左ジャブと変則スタイルが上手く噛み合った。ジャブで勝った試合だ。
「リマッチ?もちろん、やりませんよ!」(~~)
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加藤選手の左ジャブが当る。ボディブローもいい具合だ。変則の加藤選手を前に、やりにくそうな井上選手。デビュー戦こそストップ負けを喰らったが、以後32戦KO負けはない加藤選手。いい感じで初回を終えた。
だが、2回。ガツッ!両選手の頭がぶつかった。井上選手の前頭部から激しい出血。ドクターチェックが長い。
「止まっちゃうかもしれないから、ポイント先取っとけよ!」
3回。度重なるドクターチェック。井上選手も短期決戦を覚悟した様子。激しく攻め込んで来る。終了間際。今度は加藤選手の左目上の古傷が切れた。激しい出血。大竹マネジャーが必死の止血。
「壮次郎。これ、そんなに長く続かないぞ。いつ止められても文句言えないから、ポイントしっかり取って来い!」
4回。試合の流れは忙しくなる。勝った者が日本王者への挑戦権を獲得する。もはや試合は、気持ちのぶつかり合いの様相。ポイントは、いいだろう。
「ジャブだよジャブ!」
「上、打つな!打たなくていいよ!」
大竹マネジャーが叫ぶ。リングサイドの金平会長の声が聞こえてくる。
「腹だ、腹。腹たたけ!」
3回までのストップは引き分けになってしまう。それではこの試合を受けた意味がなくなる。8回戦で行われたこの試合。この回が終わると試合が成立す事になる。4回終了。
「ポイント勝負になったぞ。先、先で左ジャブ。ボクシングは、お前の方が上だ!」
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記者席はパンフレットを血よけに戦況を見守る。慣れたものだ。両選手応援団もヒートアップ。思わぬベテランの頑張りにホールのファンも熱くなって来た。だが、加藤選手に疲れが見える。上体を起こす時間が長い。それでも5回は加藤選手のパンチが好打。井上選手がグラついた。
6回。劣勢を意識したのか、井上選手がエンジン全開で出て来た。1位の座を渡してなるものかと激しい攻撃。だが、疲れている。打ちながらマウスピースを吐き出す。福地レフェリーは私の前に落ちたマウスピースを投げ渡す。
刹那。赤コーナー岩本会長と目と目が合う。「うちのだよねェ~」って感じです。思わずニガ笑い。福地レフェリーには目で合図。(~~)
この回は痛いポイントを失った。出血はそれほどではなくなったが、傷口は広がった。皮膚がダラッと垂れ下がる感じ。これ以上の続行は厳しいだろう。
「次の回も採点されるからな。先にポイント取って来い!」
7回が開始された。激しいアクションが繰り広げられる。だが、加藤選手にドクターチェック。チーフセコンドが呼ばれる。萩原先生は仕方ないといった表情。試合は停止された。この回までの採点で勝敗は決められる。
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67-66、井上選手。途中停止の7回も含め全てのラウンドが振り分けられている。67-67。68-68。二人のジャッジがイーブンで、1位vs2位対決は引き分けとなった。だが、タイトル挑戦権がほしかった31歳の加藤選手に取っては負けに等しい。
瀬藤幹人(協栄)選手とは逆の立場で、挑戦者決定戦に挑んだ加藤選手であるが、チャンスをものに出来なかった。デビュー12年。この日が34戦目。
「なかなかうまくいかないねェ」(~~)
これは、試合後、採点表をチェックされていた岩本会長の第一声だ。チャンスを与えてくれた岩本会長には感謝の言葉しかない。
「勝たせたかったなァ」
「もうちょっとだったんですけどねェ」
「でもよく7回まで行ったな、あの傷で」
「日本タイトル、やらせてあげたいけどなァ」
入門早々、いきなりスパーさせろと言い放った茨城の暴れん坊。自信満々のデビュー戦は、全日本新人王を獲得する 森 貴洋(宮田)選手に初回ストップ負け。倒されたわけではないが、リングでダンスしちまった。結果、ジムでは壮次郎ダンスと冷やかされる。
IBF日本でカムバック戦に挑む前の飯泉健二選手のサンドバック打ちを見つめつつ、「すげェ~」と感心。調子に乗って怖いもの知らずでスパーリング挑戦。終了後、「凄いパンチ。あんなパンチ初めてです。怖かったです」と正直な感想をもらしたものである。
「アイツのいいところは、誰とでも試合するって所だな」
「でも、人気あるよ壮次郎は。試合終わったら、すぐ電話来るからな。色んなジムからさァ」(~~)
「やっぱり定年までタイトル挑戦は取っておくしかないですね」(~~)
タイトル挑戦への執念。その日が来るまで、彼はボクシングをやめないだろう。後少しだが、遠い道のり。1ポイントの重みは余りに大きい。また練習の日々ですね。
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