ポンサクレック余裕の計量パス・一体どうなんだろう? | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

いよいよゴングが迫ったWBC世界フライ級タイトルマッチ。7日の計量は共に一発でパス。チャンピオン内藤選手はリミット一杯50.8キロ。挑戦者ポンサクレックは50.7キロ。

挑戦者は予備計量で500グラムアンダー。ジャージをはいたまま秤に乗っての50.7キロだった。

前回は500グラムオーバー。あわてて落とした訳だが、今度は軽め。これいかに。

ポンサクレック、過去の世界タイトル戦はただ一度を除き、全て50.8キロのリミット一杯で計量を済ませている。

500グラム。普通に生活する上ではたいした事ないが、ボクサーにとっては大きな意味を持つ。計算間違いでは済まされないものだ。しかも、減量苦がささやかれていたポンサクレック。よく言えば、しっかり落として来ただが、500グラムアンダーはチョッと首を傾げたくなる数字。

WBC世界ライト級王者ロドルフォ・ゴンザレス(メキシコ)はウェート維持に苦しんでいた。わがままになって来た王者のマネジャー、ジャッキー・マッコイは日本でガッツ石松(ヨネクラ)選手の挑戦を受ける事を決めた。

ハワイのサム・イチノセ氏のラインで、本当は門田新一(三迫)選手が挑戦出来るはずだったが、ちょっとしたボタンの掛け違いで、デュラン挑戦に敗れたばかりの石松選手にチャンスが回る事に。

イチノセ、マッコイ・ラインは義理人情に厚い信頼関係にあり、目方が重く、言う事を気かなくなったゴンザレスに見切りをつけていた節もある。



74年4月、まるっきり挑戦者を舐めていたチャンピオンは、ロングカウントにも助けられず、11敗もしているガッツ石松選手に信じられないKO負けを喫する。

9月、石松選手は10位の挑戦者ツリー・ピネダ(メキシコ)相手にやっとこさの引き分け初防衛に成功する。2度目の防衛戦は11月、前王者ゴンザレスを相手にする事に。

当日行われた計量。本計量か予備計量かはわからぬが、ゴンザレスは2ポンド(約900グラム)アンダーだった記録が残る。

「この6年間で一番軽い。俺のマネジャーとしての資格が疑われる」

前夜、目方に余裕のあるゴンザレスにステーキを勧めたマネジャー、ジャッキー・マッコイ。

「アイツはバカよ。今日はウェートで勝ちます石松」

「スピードある選手なら問題ないのよ。でもゴンザレス、スピードないでしょ」

チャンピオンに付くエディ・タウンゼント氏は笑顔で答える。

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試合は12回、またもや石松選手の幻の右が炸裂しKO勝ち。タイトル獲得はラッキー・パンチの声を一蹴して見せた。

前回の敗因は、挑戦者を舐めすぎた事だと言ってはばからなかったゴンザレスは自分に負けた。自信がないから食べられない。

さて、ポンサクレック。一体どうなんでしょうか。良く取れば、万全に万全を期してやる気満々、充実一図。しかし、もう一方では心と体のアンバランスが浮かび上がる。

ただ一度リミットを割り50.6キロでリングに上がったのは、大阪で本田秀伸(グリーンツダ)選手の挑戦を受けた時であった。

「KOを狙う」

ポンサクレックの言葉に焦りがあれば、内藤選手俄然有利になると思います。楽しみですね。

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