｢あのヤロウ、俺が話をしてもソッポ向きやがって・・・｣
｢ツラを見るのもいやだ｣
ライバル心むき出しの両選手。
オオッと、大場選手ダウン！
これは試合開始早々の第２ラウンドの出来事。大場選手の懐に飛び込んだ挑戦者の左フックがチャンピオンを襲った。
足は絡んでいない。
チャンピオンは足が揃っている。絶妙のタイミングで放たれた、花形選手のワイルドな左フック。
懇親の左フックは、チャンピオンの肩を捕らえた。
ヒットである。
尻からストンとキャンバスへ落ちるチャンピオン。
今、写真を見てもタイミングはドンピシャである事がわかる。
しかし、手崎レフェリーの裁定はスリップ。ダウンでもおかしくはない所である。強運のチャンピオンと、ツキがなかった挑戦者
昨年１２月、坂田健史選手はパリ・リングで、ちょこっとダウンの２ポイントに泣いた。
１９７６年、ロイヤル小林選手が僅か４６日でＷＢＣ世界Ｓバンタム級王座を手放してしまった原因になったのも、滑ったような尻モチであった。敵地ソウルのリングでレフェリー吉田勇作氏は無情のダウン宣告・・・。
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出足がよくないチャンピオン。
この試合以降は、明らかにスロースターターと写った大場選手。そこが、ファンの心をくすぐる事になるのだが・・・。
この２回をイーブンで乗り切った大場選手は、ペースを上げる。減量に失敗した挑戦者はワイルドで大きなパンチを振るい、チャンピオンは小さくシャープなパンチで対抗する。
真っ二つに割れた大応援団の大歓声。世界のベルトを賭けた意地の激闘は続く。
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