金田　郷　・韓国遠征５７連敗・２年ぶりの勝利！

昭和の時代、韓国リングは日本人相手のカードに大勢のお客さんが入った。そして日本選手は負け続けた。

昭和４８年（１９７３年）も７１年８月、佐藤晋一（アベ）選手が勝って以来、２年越しの５７連敗を記録していた。

相手の地元だと思うと、萎縮してしまうか開き直るかだが、萎縮してしまう方が多いと思う。海外旅行も高値の花だったこの時代、海外へ行けるという事だけで満足してしまうケースも多々あったろう。

もっとも韓国遠征出発の羽田空港へ現れず、すっ飛ばしなんて快挙をやってのけた選手もいる。血気盛んな田中敏朗（全日本パブリック）会長は、即”破門状”を叩きつけたらしいが、一人で飛行機乗ったのかは聞き漏らした。(~~)

現役時代の田中会長。一人でベネズエラまで遠征した逞しさだった。

韓国リングで殊勲の星を挙げたのは、大場選手を失ったばかりの帝拳ジム所属の金田　郷　選手。日本ウェルター級３位にランクされていた。

４月１５日ソウルのリングに立った金田選手は、韓国ミドル級１位　金　漢植に判定勝ち。観客は静まり返った事でしょうね。(~~)

２試合の契約で渡韓した金田選手は、大トロフィーだけをジムに送り現地に残り、５月２日韓国ウェルター級チャンピオン　趙　旻　と対戦。敗れはしたが、韓国王者相手に大善戦。あわやと思わせる試合をしている。

「会長たちも喜んでくれるでしょう」(~~)

　趙　旻　。東洋ウェルター級王者・　龍　反町（野口）選手とは王座を賭けて戦い、２度の引き分けを記録している。もちろん日本リングでだ。後年、三迫将弘（三迫）選手との世界王座挑戦者決定戦には敗れた。

現在ウィン三迫ジムを主宰されている三迫氏の教え子、千坂昇幸選手も韓国遠征を経験されているが、これは相手が強かった。元世界２位　李　相鎬は、OPBF王者になりコッジの持つ世界タイトルにも挑戦している。４７勝（３９KO）２敗の記録が残る。

「もうコテンですよ。あっさりと。あのヤロー」(~~)

「今度、日本来るから連れて来るよ」(~~)

「リマッチやっちゃう」(~~)

「やっちゃいますか」(~~)

「オッ、いいねェ」(~~)

「ホントですか」(~~)

今でも　李　相鎬氏と親交があるのは、シャイアン山本ジムの山本会長。来月、日本へやって来るそうです。【上井草から世界へ！シャイアン山本ジム】

「ホントに連れて来るからさァ」(~~)

ちょっと困ったような表情の千坂店長。

「はい、よろこんで！」(~~)

千坂氏が店長を務める【中の濱・新大久保店】

幻の試合となったシャイアン山本戦のポスターを持ち、気合の”新鋭テクニシャン”千坂氏。山本会長からの粋なプレゼントに大喜びでした。(~~)

「海外行くのなんて初めてだからなァ」(~~)

「イや～、一人でさびしくてさァ～」(~~)

「会長、なかなか来ないんだよ～」(~~)

「グローブつけたらすぐ試合だよ。参ったよ～」(~~)

元日本ライト級王者シャイアン山本（国際）選手も韓国遠征を経験。世界ランカーと引き分けの快挙を演じている。韓国で引き分けという事は、実質勝ちなんでしょうね。(~~)

日本へ来れば、１０勝２００敗位のタイ選手だが、５７連敗では、もっと分が悪かった韓国リングでの日本選手。あの凍りつく視線は、日本のお客さんの比ではなかったなァ。(~~)

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