不運・実力派 挑戦者・シゲ福山(協栄) | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

WBC世界フェザー級タイトル挑戦時の戦績27勝(20KO)10敗3分。71年9月最後の日本人対戦者、大島伸太郎(横浜協栄)選手に3回KO勝して以来、78年2月のラスト・ファイトまで日本人選手との対戦無し。

この大島戦以後、4連続KO負け。引き分けを挟みまた負け5連敗。しかも判定まで行ったのはこの2試合のみ。後は勝つも負けるも全てKO決着。連敗脱出後は8勝1敗。

ロスのリングでダニー・ロペス(米)を破り、アンダー・ドックが世界タイトル挑戦権を横取り。一躍スターダムにのし上がる。

しかし、当初3ヵ月後に約束されていた世界タイトル挑戦は延期に次ぐ延期。ロペス戦の勝利から1年10ヵ月後、ようやくその機会が与えられましたが、待たされすぎた。

74年9月のロペス戦の次は、75年5月日本のリングで5回KO勝。この翌月にも比国選手を5回KOに下す。しかし、またブランク。この年は僅かに2戦のみで、翌76年1月の試合が結果的に世界タイトル前哨戦となる。そしてこれがボクサー、シゲ福山最後の勝利に・・・。

念願の世界挑戦は76年7月16日後楽園ホール。前座では具志堅用高選手が世界タイトル前哨戦を行っています。

しかし、待たされすぎた。肉弾戦を得意とする福山選手。戦法はまさに”肉を切らせて骨を砕く”。したがって、ほんの少しのタイミング、カンのずれが致命傷になってしまう。

上り詰めるボクサーは、一気に行きます。あっという間にのし上がる。試合間隔があき、周りにチヤホヤされ、いい気持ちになってしまうと、過去の戦歴にあぐらをかいているだけの選手になってしまう。そういうのを見分けるのが良いマッチメークでしょう。アップ・セットはここから。

新人王でも温存され、シードされた、試合間隔が空いた選手がやられてしまうケースが例年多い。いい気持ちでいて、一度スキをつかれて敗れると転げ落ちるように勝てなくなってしまう選手、案外多いんです。

福山選手のデビット・コティ(ガーナ)への期待された世界挑戦は実にあっけなく終わった。

2回王者の右でダウンした挑戦者は、右足首を2箇所にわたって骨折するアクシデント。以後はもはや試合にならず3回21秒KO負け。翌日の新聞には、”ミス・マッチ”、”10年早かった挑戦”等の見出しが・・・。

海外で世界ランカーをKOで破り世界タイトル挑戦権を獲得した福山選手。試合の結果だけを見てあれこれ書かれるのは、プロである以上仕方ないにしても、ひどいもんですねぇ。(~~)

このコティを王座から引きずりおろしたのは、福山選手が挑戦権を奪い取った相手、ダニー・ロペス。76年11月福山選手の次の防衛戦での出来事。

自分が簡単に倒した福山選手にKOで敗れているロペス。コティにも王者の自信の裏に過信がめばえていたのかも・・・。オプション契約による再挑戦でも6回KO負け。すっかり自信をつけたロペスは、あのサルバドール・サンチェス(故人)に敗れるまで8度の防衛を重ねる名チャンピオンになる。

一方の福山選手はその後もロスのリングで元世界王者、バリバリの世界ランカーとばかり対戦し、78年2月のボビー・チャコン戦を最後に引退。リングキャリアのラストは6連続KO負けの記録が残った・・・。

ロペスは福山戦の次の試合も落としながら戦い続け、75年は5戦中4KO勝。76年も3つのKO勝を重ねての世界挑戦をものにした。

ひたむきにやり続ける事、大事ですね。選手の皆さん、悩んでいる暇は無い。確固たる夢があるならば・・・。


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