3/1後楽園ホール | BOXING MASTER first 2006-2023

BOXING MASTER first 2006-2023

輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

メインのフェザー級8回戦に、ハワイ合宿に参加した吉住壽祐(協栄)選手が出場。草加有沢ジムの工藤貴次選手と対戦。セコンドを務めました。

結果は、6ラウンドKO負け。全く良い所がありませんでした。試合は1ラウンド開始早々、体がくっついて気を緩めたところに右フックを貰い、吉住選手ダウン。

これで狂ったズムを取り戻す事無く、最後は”豪快”に倒されました。試合前の控え室では、「調子が良すぎて怖い」と言っていましたが、こんな時は、そうはいかないもんです。

一度3ラウンドに、流れを戻しかけましたが、戻らず・・・。以後、セコンドのアドバイスにも余り反応せず、パンチを打って当てては、その倍はパンチを貰うと言う悪循環。

”打ったら動く”、スピード勝負を控え室で確認していましたが、打った後相手の真正面に立ったままで、まともにパンチを貰うケースが目立ちました。

こんなにまともに、パンチを貰い続けた試合も初めてだと思います。試合後、「1ラウンドから何も覚えていない」と、吉住選手は語りましたが、1ラウンドのダウンでパニックに陥った気持ちを、そのまま引きずって6ラウンドやった感じで・・・。

「8回あるんだから、ダウン(ポイント)は取り返せるから」と大竹マネジャー、3ラウンド開始前「もう打ちすぎて、疲れてきてるから」と、何とか安心させて立て直そうとセコンドは努力しましたが、聞く耳もたずでは何にもならずの、一人相撲。

2ラウンド以降やり方しだいでは、十分ひっくり返せた試合だったので残念です。セコンドの声が耳に入らず、一人相撲取る選手はたくさんいますが、しっかりと聞けて、やれる選手もいます。

これは、負けたのは”選手のせい”と言うわけではありません。負けは、セコンドも一緒。昨日は、ちょっとヤケ酒・・・(^^)

同じ協栄ジムの坂田選手は、その典型ですね。新人王予選なんかでは、1ラウンド2度のダウンでKO負けの4回戦ルール、しかも勝つためには後の3ラウンド全部取らなければいけない・・・。

それで、結構ダウンしたりしたんです坂田選手。1ラウンドめダウンされても、「残り全部とって来い」で、取って来たから新人王取れたんですね。

準決勝、翌年全日本新人王となる小嶋(横浜さくさ)選手なんかとの試合は、その典型で、全員38-37。坂田選手は、たくさん勝たないけど”負けない”選手です。

最近では、WBC25位に入った瀬藤選手。かなり消耗していた終盤戦の勝負所で、セコンドのアドバイスを良く聞き、やれました。気持ちを元気にするアドバイス、技術的なアドバイス。どっちも混ぜて、うまく出来るのが良いセコンドだと思います。

吉住選手は、このような良い先輩たちに恵まれている訳ですから、良く考え,勉強して鍛える事です。「ハワイでやった事、なぜ出来なかったの」

イトウ先生も残念がっておられました。吉住選手の今後の成長に期待したいものです。頑張れ、YOSHI!