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フィットネスクラブの価格戦略

 

 

10月27日(木)

 

 

こんにちは。田村真二です。

 

 

「会員様からのご紹介で月会費10万円のダイヤモンド会員に入会がありました!」

 

「3カ月60万円のパーソナルトレーニングプログラムが売れました!」

 

 

最近このような話をクライアント先からよく聞きます。

 

 

そこで今日は、「フィットネスクラブの価格戦略」についてお伝えします。

 

 

 

業績好調企業に共通する「客単価アップ」

 

 

 

最近、小売業やサービス業などでは、業績の良い企業に共通することの1つに、「客単価アップ」が挙げられます。

 

 

例えば、ファーストリテイリングが先日発表した「ユニクロ」の国内9月既存店売上高は、前年同月比で11.0%増えました。

 

 

3カ月連続で前年実績を上回りましたが、既存店客数は2.9%減と2カ月ぶりにマイナスになる一方で、客単価は14.4%増え、7カ月連続で前年実績を上回りました

 

 

また、コロナ禍からの業績回復が顕著な株式会社オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートのテーマパーク事業でも、「アトラクション・ショー収入」「商品販売収入 

「飲食販売収入」のすべてにおいて、今第1四半期のゲスト1人当たり売上高(客単価)が前年同期より増加しました。

 

 

 

価格戦略こそが経営

 

 

 

ビジネスにおいて、その収益源である売上高(収入)を最大限伸ばしていくためには、商品力はもちろんですが、価格設定が決め手になります。

 

 

商品やサービスの価格設定などは商品開発担当役員や部長に任せておけばいいと考える経営者もいるかもしれませんが、私は「価格戦略こそが経営」、つまり、価格設定は経営者の最も重要な仕事の1つだと考えています。

 

 

なぜなら私は、フィットネスクラブなど会員制健康ビジネス企業を対象にコンサルティングやマーケティングの支援を行っていますが、業績向上に最も効くのが「価格戦略」だからです。

 

 

なぜ価格戦略が業績向上に最も効くのか?

 

 

答えは明白。一般生活者の立場に立てば、価格を無視した購入などあり得ないからです。

 

 

ところが不思議と、企業が商品やサービスの価格を決める際にありがちなのが、業界(競合)や自社の常識に照らし合わせて「これくらいの価格」で決めていることです。

 

 

実際、私がフィットネス各社の経営者や幹部の方に、「なぜこの月会費なのですか? 会員種別ごとの月会費はどのように決めましたか?」と尋ねると、(最終的には)ほとんどの方がそう言われるからです。

 

 

価格設定は経営と直結する最重要な仕事であり、価格設定次第で経営のあり方そのものが大きく変わってくるにもかかわらずに、です。

 

 

 

プラネットフィットネス、コロナ前を超える会員数1650万人

 

 

 

現在、アメリカ、イギリスなどのフィットネスクラブでは、日本と違いマスク着用義務はなく、スタジオの人数もコロナ前と同様の運営になっています。

 

 

ただ、IHRSAの国際責任者であるアリソン氏によると、「(コロナ禍で)アメリカのフィットネスクラブの25%は永久に閉鎖、ブティック系は30%が閉鎖に追い込まれ、総合型クラブ以上にブティック型クラブで打撃を受けた」(『Fitness Business』No.121より)とあり、アメリカのフィットネス業界のダメージは日本以上の深刻さが窺えます。

 

 

 

 

 

そうした中、1992年創業、会員数世界No1のプラネットフィットネス(写真)は8月6日、第2四半期('22年4月~6月)の決算を発表しました。

 

 

それによると、「第2四半期には、約30万人の純新規会員が加わり、期末会員数はパンデミック前を超える1650万人(店舗数は2324店)に達した」とのこと。

 

 

コロナ禍をものともせず、まさに桁違いの会員数です。たった1社で、全米人口の約5%(日本はオールジャパンで4%程度)の会員数を有するプラネットフィットネスの強みは以下の通りです。

 

 

1.月会費10ドルの格安価格(22.99ドルの上位種別有)

 

2.大型かつ清潔なジム

 

3.ジャッジメントフリーゾーン

(歓迎的で威圧的ではない環境で高品質のフィットネス体験を提供)

 

4. 24時間営業

 

5. 直営+FC展開による急速な店舗拡大

 

 

プラネットフィットネスには私も会員として利用していたのでわかりますが、決して「安かろう悪かろうのジム」ではありません。

 

 

こんなジムが日本でも普及すれば、日本のフィットネス参加率も一気に高まることを確信しています。

 

 

「月会費10ドル」。この価格設定こそが、同社が会員数世界No1の頂点にのし上がった最大の要因であることは間違いありません。

 

 

現在、日本よりもはるかに高いインフレが続く全米で月会費10ドルを維持することで、いち早くコロナ前以上の会員数を実現しています。

 

 

読者の中には、「そうはいっても、月会費10ドルでどれだけ会員数を増やしても利益は出ないのでは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

 

 

まさにそれこそが、同社の価格戦略の真骨頂。つまり、「収入源は他にもある」ということです(このことについては別の機会にお伝えする予定です)。

 

 

 

 

客単価アップによる新成長モデルづくり

 

 

 

ただ、既存のフィットネス各社がプラネットフィットネスのような「格安戦略」を取ることは難しいでしょう。

 

 

そこで、コロナ禍で会員数が減り、売上・利益減少となったフィットネス各社にお薦めするのが、「客単価アップによる新成長モデルづくり」です。

 

 

ここでは簡単に、私がクライアント先フィットネス企業に導入を支援した方法をいくつかご紹介します。

 

 

1.アップセンリング(最も簡単な客単価アップ法)

 

2.クロスセリング(利便性と客単価アップの両立)

 

3.会費値上げ(対象会員への実質価値向上が必須)

 

4.低~中料金のオプション商品販売

 

5.会費以外の物販・サービス販売

 

6.レギュラー月会費の2~10倍超の「上級会員種別」をつくって販売

 

7.数十万円から100万円超の「期間限定目的達成型パーソナルプログラム」および「ライフサポートパーソナルプログラム」をつくって販売

 

 

以上を行うことで、顧客満足向上とともに客単価(会員1人当たり売上高)を数十パーセントから数倍引き上げることに成功しています。

 

 

例えば、コロナ禍で会員数が2割減少したフィットネス企業なら、客単価を2~3割(20~30%)上げることができれば、コロナ前の売上・粗利に戻すことができます。

 

 

それに加えて、客単価を上げたうえで会員数を増やすことができれば、売上・粗利の伸びの高に驚くことになるでしょう。

 

 

私の実感では、フィットネス企業の多くが、ややもすると会員数至上主義的なところが感じられますが、売上高を構成するもう1つの要素である「客単価」にもっと目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

 

きっとこれまでとは違う視点や発想で商品・サービス開発ができるようになるとともに、顧客満足度向上と業績向上につながることでしょう。

 

 

 

それでは次号をお楽しみに!