フィットネス業界でカーブスが日本最大会員数になった真の理由
こんにちは。田村真二です。
先日、私の自宅近く(と言っても車で10分ほどのところ)にあるカーブスの店頭を通りすぎた際、開店前の店の前にはすでに10名程の女性が立ち並んでいました。
現在日本最大の会員数を有する企業は、業界売上高トップのコナミスポーツでもなく、同2位のセントラルスポーツでもありません。
会員を「女性だけ」に限定した「カーブス」です。
同社2018年8月期決算では、店舗数が1912店舗に達し、創業から13年後の2018年10月には会員数が85万人を突破。
なぜカーブスはこれだけ多くの人(女性)の支持を得ることができたのか?
カーブスの成功は他のフィットネスクラブが(それまで)見向きもしなかった、「運動に興味がない」「運動をあまりしたことがない」中高年の女性にあえてフォーカスした「ブルーオーシャン戦略」が功を奏した、と言われることが多くあります。
確かにその点は私も同感です。しかし、それだけで毎年右肩上がりで会員数を増やし、2千店舗にせまる規模になるのは不可能です(ちなみにサービス業で4桁の店舗数を有するチェーンは、日本ではカーブスだけです)。
カーブス代表取締役会長の増本氏によれば、「世界最速で成長しているフィットネスチェーンがある」ことを2004年に知り、渡米。以下は、同社ホームページに掲載されている増本氏の言葉です。
女性だけ、30分。低価格。安くて便利なフィットネスだから繁盛しているのだろう、ユニークなビジネスモデルだ・・・。しかし、私が見た実際のカーブスは違いました。
行く店、行く店で聞くお客様の感動の声。
「高血圧が良くなったの。カーブスは私の命を助けてくれた場所。」
「杖なしで歩けなかった私が自分の足で歩いて、今では旅行だって楽しめる。ここは私の人生を変えてくれた場所。」
そして、カーブスが、幼いころ糖尿病で母親を亡くした(カーブスの)創業者の「母のような人を助けたい」という想いからスタートした特別なフィットネスクラブであることを知りました。
日本でもカーブスを必要としている女性が数多くいるはずだ。高齢化社会を迎える日本に必ず要な場所になるはずだ。その想い一心で、日本での事業展開権利を取得、2005年カーブスジャパンを創業しました。
確かにカーブスはユニーク(女性だけ、30分、低価格で敷居の低い店内外など)であり、それまでになかったビジネスモデルで新たな顧客層を開拓しました。
しかしカーブスの成功はそれだけでは(絶対に)ありません。創業者の理念、そして理念に賛同した増本氏の使命感(ミッション)があってこその結果、と私は確信しています。
よく企業の経営者には3つの要素が必要だと言われます。
「ビジョン(目指すべき将来の理想像)」「ミッション(存在意義・目的)」「パッション(情熱)」です。3つとも大事で、どれも必要不可欠なものです。
でもやはり私はミッション《何のためにこの事業をやっているのかという使命感》が一番大事であり、明確なミッションがあるからこそ明確なビジョンが描けるし、パッションを持ち続けることができると思うのです。
近年はミレニアル世代のような若い人たちほど、自分の志向と会社の存在意義(=ミッション)が合致することを大切にしているとも感じますし、会社としても採用では、自社の価値観に合致しているかどうかを真剣に見極めるべきでしょう。
では、会社の価値観とは何かと言えば、その根底にあるのはミッション、つまり会社の存在意義を定めるものです。
特にインターネットとスマホの普及により情報の受発信が容易になった現代において、(人々から共感が得られる)ミッションに根差した野心的な企業ビジョンの発信は、企業に価値観を共有する人材を惹き付ける求心力となります。
言い換えれば、企業は魅力あるミッションを企業の内外にわかりやすく発信し、浸透させる必要があるということです。
松下幸之助氏の教え
そこで思い出したのが、松下幸之助氏が提唱した「水道哲学」です。
松下幸之助氏は、誰にでも手の届く(無料に近い)価格で水を供給する水道のように、企業が便利で良い商品を安価で普及させることの重要性(思想)を述べました。
平成の時代で言えば、日本に高速かつ低価格のインターネット回線を一気に普及させた立役者の孫正義氏といったところでしょうか(私自身は「良い品を安く」提供するというよりも「ここだけの品を適正価格」で提供することに重点を置いています)。
デジタル化による環境変化がより加速する現代(と将来)において生き残るためには、企業は自らはもちろん人々からも共感が得られるミッションを見出し、その実現にパッションを持って取り組むことの価値と重要性が問われていると言えるのではないか。
このことに関連して(カーブス代表取締役会長の)増本氏は、次のように述べています。
カーブスは運動を通じて人生を変えるパワーのある場所。独自の優れた運動プログラムとインストラクターの心温まるサポート、そして、女性同士が支え合うコミュニティ。
運動を始めて続けることで、人の体は健康を取り戻し、心が元気になり、人生が大きく変わっていく。人の体が本来持っている素晴らしい力と、この仕事の素晴らしさを多くのお客様から教えていただきました。
お客様の豊かな人生のために精一杯のサポートをすること。人を助ける喜びを自分の喜びにできる人達と世のため人のために仕事をすること。
そして、「病気と介護の不安と孤独のない、生きるエネルギーがあふれる社会をつくる」こと。私達の挑戦はこれからも続きます。
こんな素晴らしい考えを持った会社が、日本のフィットネス業界に存在することを私はとても嬉しく思います。
と同時に、これこそが、カーブスが日本最大の会員数になることができた真の理由であると私は考えています。
追伸(こちらの記事もよく読まれています「2018年12月12日付け記事」)
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それでは次号をお楽しみに!
