京都2泊3日、市内を自転車だけで巡る「京都巡礼ライド2024」第2弾。のつづき。

 

ダメだダメだ!
前回のポストから一カ月近くのブランク、ダメ人間全開。しかも月を追う毎にそのパフォーマンスも落ちている。
 
早くも飽きてきたか?いや、そんなことはない!ほんのちょっとだけ、しんどくなって来ただけなの(飽きたな?)。
でも、まずはこの旅行記だけでも完結させないとね。
 

さて、本日の難所、岡崎の地にそびえる山(※個人の低レベルな体感として)も無事制覇し、ここからは北へ少し走り次なる目的地、詩仙堂を目指す。

 

ではいってみよう。

 
この先のルート。
14:15 山にかかる岡崎通を下り、今出川通に出たら右折。あとは白川通を北へひたすら3kmほど。
 
総門前の道もイイ感じ。こっちから来るべきだった。
遥か突き当たりに見えるのは、迎稱(こうしょう)寺。
 
真如堂間向かい、真正面に鳥居が見える。
 
近づいて見ると「宗忠神社」とある。
あとで調べれば、明治に興った神道系宗派、黒住教の神社らしい。
もう上り坂はこりごりなのでまた次の機会にでも。
 
岡崎通を下る。下り坂最高!人生下り坂。
 
今出川通合流。
先ほどの天気が嘘のようにすっかり晴れて来た。
 
白川通今出川交差点。向こうに見えるのは・・・
 
一年振り哲学の道。この突き当たりに銀閣。
 
白川通を北上し、京都芸大(己の中では京都造形)の先を右折。
またしても上り坂(うすうす分かっちゃいたが)、鳴呼。
 
白川通から脇に入り、こんな感じの細い路地を縫うようにゆるゆる上っていくと・・・
 
14:50 詩仙堂。
竹藪に囲まれ、入り口からしてなんとも良い佇まい。
 
ここもいつか来て訪れてみたかった場所の一つだ。そのきっかけというのが・・・
 
JR東海のCM、「そうだ京都行こう」シリーズだ。
 
私が高校生当時、「遷都1200年」を皮切りに始まったと記憶しているので、およそ30年続いていることになる。「そうだ京都の大学受験しよう」というきっかけにも少なからずなったCMでもある。
 
そんな長く続くシリーズの中でも、「ある日突然戦うのがイヤになりました」で始まる詩仙堂編(1997初夏 ※Youtubeへ)、曲のセレクトとナレーションが、シリーズのどの作品よりも個人的に刺さり一番のお気に入りに。そんなこともあって、「いつか詩仙堂に訪れたいものだな」と言う想いが30年近くあった。
そして今回、それがついに叶うのである。
 
門をくぐり竹垣に囲まれた細長く続く、よく手入れされた通路を進み左に折れると、
 
これまた渋い佇まいの凹凸窠(「おうとつか」とは、でこぼこの土地に建てられた住居の意)が目の前に現れる。
 
入口で700円を支払い靴を脱ぎ入場。
他所の寺院のような商売っ気もない、近所のおばちゃんが留守番感覚で店番をするような、そんな雰囲気も良い。
 
詩仙堂は徳川将軍家家臣、石川丈山が1641年に隠居のため59歳の時に造営した山荘。
90歳で亡くなるまで過ごした。
ここのランドスケープデザインは全て丈山自身によるものらしく、楽しみ。
 
上がってまず縁側から見えるのが今歩いてきた、庭から入り口までの全景。
シンプルながらも掃き清められた庭の感じ。派手さは無いがこの潔さ。
 
室内のあつらえも基本シンプルな印象。
 
現在は曹洞宗寺院ということで、敢えてトーンを抑えているのだろうか。
 
そして次の間に移ると・・・
 
柔らかな日差しに照らされた緋毛氈。鮮やかに目に飛び込んでくる。
 
ここだけが特別な舞台のような、そんな印象すら受ける。
一人旅らしき女性ツーリストが長時間ここに座っておられた。その気持ちはよくわかる。
 
広角レンズで撮ってるため広く見えるかもしれないが、実際はとてもコンパクトにまとまった「丁度良い作り」の凹凸窠。
 
というのも、スケール感が現在の家屋や見慣れた寺院に比べ、ワンサイズも2サイズも小さい。
「小さな人のために建てた家」。もしくは、「大谷選手は世の中がこんな感じに見えるのだろうか」そんなスケール。


そんなあつらえの凹凸窠。天井も近く迫り、さながらプチガリバー気分。それがまた良い。
 
そして。縁側の向こう広がるお庭もまた素晴らしい。
 
この手入れの行き届いたお庭をこのあと巡っていく。
庭の奥では先ほどから獅子脅しの涼やかな音がリズミカルに聞こえている。
 
一度玄関に戻り、靴を履き凹凸窠の脇から先程の裏庭に出る。
 
詩仙堂はところどころに、水を用いた涼しげな演出が見られる。
 
それは、苔むす石の水受けであったり、
 
獅子脅しであったりと、夏に来ればさぞこの早春の何倍もこれら演出を堪能することができることだろう。
 
今度は庭から先程の縁側を臨む。
 
階段状に下がっていく詩仙堂の庭の作り。
 
限られた敷地内を、起伏に富んだ地形を活かす様々な演出。
 
「丈山マジック」にすっかり魅せられ、結局40分強も滞在。
 
京都には圧倒的規模と迫力で幅を利かせる、臨済宗系寺院(龍安寺や妙心寺、建仁寺や天龍寺、金閣など)、そして、皇室関係の二つの離宮&御所などの、いかにも「THE京都」な寺院や建物がその代表として挙げられる中で、個人的推したいのは等持院の回にも書いたが、自身の京都に対する美学として掲げる、「詫び過ぎず、派手過ぎず。適度な詫び感」の、イイ塩梅がここ詩仙堂には在る。
上で触れたJR東海のCM、それに「何か」を感じたその感覚はあながち間違ってなかったようだ。
 
と言うわけで「MYナンバーワンKYOTO」ディフェンディングチャンピオンの等持院を抜き、今回新たに詩仙堂が頂点に輝いた。これはもう季節毎、その表情を愛でに訪れたいレベル。果たして、今後ここを超える場所は現れるのだろうか。メジャースポット巡りも良いが、京都旅行の際は是非詩仙堂へ足を運んでみて欲しい。
 
さて、時刻は既に15:30を回っている。三月初旬の京都はそろそろ西陽も傾き始める。まだまだいくつも回らなくてはならいので先を急ごう・・・⑩ 圓光寺編につづく。