去年と今年はホームコースでの巡航に時間を割いた。
交通量が少なくて雰囲気も良いホームコースで巡航するのが楽しくて繰り返していただけなのだが、巡航は技術でレベルアップできる部分がかなり多いと気付いた。
巡航速度を高める上での大きな要素は空力と出力だが、それらに関してフィジカルを底上げする事とは別に技術的に工夫できる点が多かったのだ。
以下で主だったところをまとめてみる。
DHバーの使用が前提で、短距離のTTよりは数百kmの長距離をTTとして走る事をイメージした内容になっていると思う。
【空力と出力の両立】
速度域が上がれば上がるほど空力の重要性は増すので、巡航の質を高めようとすると、頭を下げて腕と可能な限り近づけるなど空力を改善していく事になる。
ただし、空力的に突き詰めたフォームが自分にとって最も力が出るフォームであるとは限らず、空力的に攻めたフォームでは力が出にくい事も多いと思う。
去年から今年にかけて練習を繰り返す中で、ここを改善する事が出来た。
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自分の場合空力を追求すると頭が下がって縮こまったようなフォームになるのだが、DHバーの握り方と体幹の入れ方を工夫することでその状況でも出力しやすくなった。
以下はあくまでも自分の感覚で言葉にしにくいのだが、DHバーを握る時に
①手の甲が2時と10時の方向を向くくらいに、軽く内側に握りこんで脇を閉める
②その状態で、腕全体を臍の方に軽く引き付ける(手だけで引くのではなく体全体で引き寄せる)
③上記の作業で上半身を固定した上で、腹筋と背筋でアーチをつくるイメージで上半身ごとペダルに乗せる
この形でペダリングする事で、空力を維持しつつ全身の力を出す事が出来るようになってきた。
【筋肉に負荷をかけずに出力を維持する】
速度を維持するには最低限の出力が必要だが、長時間続ける上では筋肉への負荷を抑えたい。
この点についても、練習の中で大きく改善する事が出来た。
具体的に言うと、筋力にあまり依存せずにトルクを生み出す事が出来るようになった。
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自分が見つけて使っているのは主に2つの方法で、前述した①~③をやった上で、
ⓐサドル荷重を減らし、重心位置を前にしてペダルに体重を乗せ続ける
ⓑある程度サドルに体重を残し、大殿筋とハムストリングス主導で脚を踏み下ろし続ける
というものだ。
ⓐでは重心位置をサドルから前にずらしているため、常に前につんのめるような形で脚が前に出続ける。
これによって筋力を使わなくても自動的にトルクは確保できるのだが、200kmなど続けるとペダルからの反作用による負荷が、特に太腿の前の筋肉に蓄積して脚がキツくなってしまう。
少しでもそれを防ぐには、反作用を骨で支える事が有効だと思う。
これも言葉にしにくいのだが、自分としては、割り箸で皿の上の食べ物をつまむ時の握り方で箸に横向きに力をかけて皿を押しこむ(箸=骨に対して横方向に筋力をかける)よりも、箸を皿に対して垂直に立てて押し込む(箸=骨の垂直方向の反力で皿を押す)方が筋力の動員が少なくて済むというイメージを持っていて、これを「骨で踏む」と呼んでいる。
それに加えて、関節を必要以上に動かさない、各関節をスタビリティ関節的に使う、というイメージもYURIFit Clubで小橋さんに指導頂いた。
筋力では無く体の硬い部分が持つ反力でペダルからの反作用を受け止めるという方向で踏む事で筋肉の疲労を遅らせる事が出来ると感じている。
ⓑではⓐに比べて重心位置もやや後ろ気味でサドルに荷重を残している。その上で、後ろの筋肉でペダルを下に踏み下ろす。
ⓐと比べると踏む意識は強いが、後ろの筋肉が多く動員されて筋肉の疲労が出にくくなる。この踏み方をメインにする場合、サドルの高さはⓐよりも数mm低い方が良いと思う。
上記の様に、ⓐとⓑを使い分けで負荷を分散させることで筋肉の疲労を分散しつつ長時間巡行するという事を巡航練の中で発見した。
TTの時など、路面の僅かな勾配変化に対して再加速のためにトルクを使う場面は多くあるが、その場合にはⓑの方が疲労を抑える事が出来ると最近解った。
以上、自分独自の感覚に基づく部分が多いが、フィジカルを高める事とは別に練習によって走りのレベルが上がった部分が多かったことは間違いない。
特に空力の影響が大きくなる巡航ではその比率は大きいと思う。
ⓐとⓑの使い分けに関してはつい最近解った部分で、冬トレに向けて良い発見が出来た。