ファストライド研究 【補給・休憩】 | 桜伐ル馬鹿梅伐ラヌ馬鹿

桜伐ル馬鹿梅伐ラヌ馬鹿

北海道のサイクリング好きのブログ。

体力について考えた際に書いたように、ファストライドで時間短縮を狙う場合、停車時間を少なくするのが非常に重要になる。
そのためフィジカルを鍛える以外に出来ることは、補給の工夫と休憩の工夫だ。
イメージ 4



【補給】
ファストライドでの補給は、どの程度の距離にどの程度のエネルギーが必要なのか、自分の体について理解した上で、次のようにやるのが良い。

①車上で食べる
停車時間を短くするのであれば、走り始める時に途中で摂るエネルギーを持っておいて車上で食べるのが良い。自分はあまりやらないが、車上で食べるのに適している補給食としては下の様なものがある。
・ゼリー
エネルギー補給用のゼリーは飲み込みやすく消化が良いのでファストライドにも非常に向いている。体積に対してエネルギー量が多いものが良いので、その点で言うと最高は1mlあたり2.5~3kcalほどある自転車専用のものだ。
イメージ 1

ただしこれは非常に値が張る。また、粘度が非常に高いので自転車用のボトルではなくソフトフラスクに入れて絞りだすのが良い。蜂蜜もカロリーとしては同じ程度だ。練乳派の人もいる。
次に優れているのは1mlあたり1.5kcalほどのもので、薬局で130ml入りくらいのものが売られている。
イメージ 2

自分は北海道1200でこれを1ℓのボトルに満載し、1500kcalほどを持って走った。
コンビニなどで良く売っているタイプは1mlあたり1kcalほどで、上の二つに比べるとエネルギー量は少ないが、入手しやすい。

恐らく、単にエネルギーを摂るだけなら蜂蜜や練乳でも問題ないのだと思うが、塩分なども併せてバランスよくということを考えるとスポーツ用のものがいいのだと思う。

・アンパン、大福、羊羹など
これらはゼリーほどではないが消化が良く、容器無しで持ち運ぶことができて便利だ。手が汚れない点も自転車乗りにとっては嬉しい。
定番は4つ入りの小さいアンパンだが、買った時に入っている透明なトレーは車上で食べるには邪魔なので捨た方が良い。


他にはカロリーメイト等も持ち運びやすいが、脂質が多く消化に良くなさそうな点と、口の中がパサツキやすい点を考えて自分は使ったことが無い。
チョコレートバーはカロリーは高いが、これも脂質が多く、また夏場は溶けてドロドロになるので、自転車には向いていないと思う。

多量の発汗が予想される場合は、塩分や電解質のタブレットを携帯するべきだ。
自分は専用のものを買うと高くつくので、岩塩をそのまま持ち歩いている。


②短時間で食べる
これは大原則だ。
最も短時間でカロリーを摂ることができて安く済むのはプリンだ。
自分は70kmくらいに1回、プリンを3つ食べるようにしている。1分以内で食べられるので、コンビニで停まることになる場合は、毎回これをやるようにしている。
塩分が不足しそうな場合は持ち歩いているタブレットや岩塩を食べれば良い。

バナナ派の人もいるが、自分はバナナよりもプリンの方が一気にたくさん食べやすいのでプリンを選んでいる。
おにぎり等は補給食の定番だが、3つくらい食べようとするとすぐに10分くらい経ってしまう。ファストライドには向かないだろう。

③カフェインは緊急時のみ
カフェインは必要な時以外は摂るべきではない。利尿作用があってトイレが近くなるので、本来不必要なタイミングでのトイレ停止をもたらす可能性があるからだ。
カフェインは錠剤で持ち歩き、眠くなりそうな時間帯を予想しておいてピンポイントで使うのが良い。
イメージ 3

眠気防止としては、ガムを噛み続けるというのも良いと聞いた。自分はまだあまりやったことが無いが、今年はどんどんやっていこうと思う。

カフェイン以外の補給についても、トイレが近くならない、お腹の具合が悪くならないということには細心の注意を払いたい。①で述べたゼリーについても、カロリーの高いもの等は一気に大量摂取する様な使い方を想定していない気がする。そういったものを使うのなら、ぶっつけ本番ではなく必ず事前に似たような状況を作って試しておくべきだ。
自分はこれで失敗したことがある。



自分は長距離では停車時にプリンを一気に食べ、車上ではあまり食べない。プリンを食べるのにほとんど時間がかからないし、コンビニに停車する必要がある時にそれだけ食べていれば不都合はあまり無いからだ。
無補給区間が100kmを超えるような状況の時のみエネルギーを携帯して車上で食べることにしている。今年はソフトフラスクを持ち歩いてコンビニ停車の時にゼリー等を入れることで対応しようと思っている。
プリンばかりを食べていると甘いものを食べるのが嫌になり、塩気のあるものが欲しくなるのだが、そこは走り終わってがっちり食べるのを楽しみに、我慢している。



【休憩】
休憩は必要な場面以外はとらない。
そのためには、走行ペースと補給の管理、そして眠気への対応が重要だ。

①ペースと補給の管理
自分の力を上回ったペースで走ってしまうと筋疲労がたまり、補給が不足するとエネルギー不足に陥る。そうなると、停車時に体力回復のための休憩時間が必要になる。
ペース管理と補給が理想的にできていれば、コンビニに停車してプリンと水を買い、トイレを済ませ、プリンを食べてボトルに水を入れる5分強の時間で体力を回復させることができる。こうなると、本当に必要な停車時間以外に休憩を摂る必要が無くなるので、ファストライドでは非常に有利になる。

ペース管理は、統一したやり方があるわけではないと思うが、心拍計を使って行う人が多い。速度の数値などにとらわれず冷静に走り続けるのが良い。テンション上がってきたから登りガンガン行っちゃった、というのは長距離ではやめた方が良い。
筋疲労を避けるためには、瞬間的なトルク増大を出来るだけ避ける方が良い。登り始めでガツンと行ってその後惰性でペースを下げて登りきる、というような負荷の掛け方は、人それぞれ出来る回数が決まっていると思う。自分の残弾数がどれくらいなのか把握できていない限りは、淡々と一定トルクで走り続けるべきだ。


②眠気への対応
筋疲労とエネルギー不足とは別に眠気が出てしまった場合、もしくは眠気が出る予兆を感じた場合には、直ちに走るのをやめて仮眠する必要がある。眠い状況で頑張っても出力が激減しているのでペースは上がらず、その状況に陥ってしまった以上、それを精神力だけで跳ね返すのは容易ではない。
北海道の場合、郊外には屋根付きのバス停もあるので、そういう所で10分でも眠ることができれば脚は大幅に復活し、またペースを戻す事ができる。

自分の経験では、眠くなりやすいのは夜中よりもむしろ朝だ。
夜中の無人地帯や恐怖スポットで睡魔に襲われた状況を想像すると薄ら寒いものがあるが、かなり集中して走っているので眠気が出にくいのかも知れない。朝明るくなって気温も上がり始め、日差しが柔らかい時間帯が危ないと思う。

スタート時間や自分の睡眠時間によっていつごろ眠くなるかは違ってくるが、どの時間帯に眠気が出る可能性が高いか、前もって見積もってカフェインを飲んだりガムをかんだりしておくのが良い。



ファストライドは距離が長くなればなるほど、セルフマネジメントが問われる。
足が動かなくなった時の対応、ハンガーノックになった時の対応、眠くなった時の対応、それぞれ必要ではあるが、それらは全て問題発生後のクライシスマネジメントだ。
そうなってしまった時点でリスクマネジメントが適切に行えていなかったと考えるべきだ。自分のフィジカルや経験、コースの分析などを通して、問題が発生する前にそれを回避する手をうつ周到さと、問題が発生してからではなく予兆のうちにそれを感じ取る繊細さを持つ。それがファストライダーだと思う。