連休2日目の28日は朝から快晴で、いよいよ久しぶりのスキーができると、宿を出るときからテンションが上がりました。

 乗車待ちの行列ができたゴンドラで上部ゲレンデに上がり、さっそく、いつもの練習ゲレンデで、緩斜面に初心者用のこぶをつくりました。妻に手伝ってもらい、巻き尺で測って10mに3個の割合で、スコップで雪を寄せて、人工こぶのラインをつけていきました。思い通りのターンがきちんとできているかどうかをみるには、緩斜面の浅いこぶがやさしくていいのではないかと思います。ここのゲレンデは左下がりの片斜面なのが難点です。ゲレンデの方向に沿ってラインをつけると、どうしても右が浅く、左が深くなってしまうので、悪い癖がつかないように気をつけないといけません。エア台もつくろうと思っていましたが、同じゲレンデで行われる長野県連の合宿練習に参加させてもてもらうことになりました。

 午後は長野県連合宿のラインを滑りました。リフトを下りた後、最初に緩斜面に自分でつけたラインを滑って、いったん止まり、続けて急斜面の長野県連のラインを滑ります。ぼくのラインは100m弱、長野県連のラインは200mくらいあるでしょうか。春雪とはいえ、けっこうハードです。

 緩斜面のラインはまあまあなんとか通せますが、急斜面のラインは全然だめでした。こぶが深くなって、ダイナミック・ポジショニング・ターンどころではありません。体の軸がフォールラインから外れたり、階段落ちのように次のこぶに飛び降りたり、体がねじれたり、むちゃくちゃでした。はっきり言って、参加者のうちで一人だけ下手でした。

 妻は今シーズン初めてのスキーです。もともと中級コースしか滑れないのに、いきなり急斜面に連れて行かれたうえに、ぼくの滑りがあまりにもひどいのにあきれて、途中から、怒りだしました。
 「ビデオを撮ってあげようと思ってついて来たのに、撮るに値する滑りがない」
 すみません。昨年の連休の合宿の最終日(5月5日)に、とうとうできたと思ったダイナミック・ポジショニング・ターンはどこに行ってしまったのでしょうね。あのときは、こぶが浅かったし、雪が柔らかかったんでしょうか。ちょっと深くなると全然できないのでは、とても大会では使えません。

 昨日、久しぶりにインラインスケートを練習した影響もあるかもしれません。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、体重をかかと側からつま先側に移動することによってターンを導きます。今日はダイナミック・ポジショニング(かかと側からつま先側への体重の移動)が全くできませんでした。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、つま先側に体重をかけることによってスキーのトップで雪面を押さえつけてターンを導きますが、昨日、初めてやったインラインスケート(ハーフパイプ)のターンは、かかと側に重心を乗せて、つま先を浮かせることによって、スケートの向きを変えます。ダイナミック・ポジショニング・ターンとは全く逆の動作です。スキーでこれをやると、こぶに乗ったときにかかとに重心を乗せて、スキーのトップを空中で振ることによってターンすることになります。

 ストックワークも全然できていませんでした。気がついたら、右のストックだけが動いていて、左のストックはぶら下げていただけということもありました。腰が折れてはいけないのに、折れてしまったり、素早く曲げなければならない膝が曲がらなかったり、動かさなければならないところが動かず、動いてはいけないところが動いてしまって、無駄な動きだらけになっていました。

 要するに、こぶとターンのタイミングが合っていなくて、ポジションが遅れています。もっと腰を前に持っていかなければならないのだと思います。そのためには、ターンの後半(山回り)の局面で、膝を前に落とす動きが必要かと思います。

 せっかく、久しぶりにまともなこぶを滑る機会を与えてもらったので、明日はなんとか、ゆっくりでもいいので、ダイナミック・ポジショニング・ターンでコントロールしながら、通して滑りたいと思います。
 今シーズンの滑り納めに白馬にやってきました。今年の連休は前半だけスキーをします。後半は実家に帰って、両親に顔を見せて、農作業の準備をするつもりです。
 今回のスキー練習には妻が付き添ってくれました。久しぶりです。ぼくにとっては20日ぶりのスキーとなるはずでしたが、午前11時半に駐車場に到着すると、強風のためにリフトが止まり、ゴンドラでゲレンデに上がることができなくなりました。万事休すと思いきや、こんなこともあろうかと、用意してきたインラインスケートが役立ちました。

 八方尾根スキー場の駐車場のすぐ近くにインドアスケート施設「True players」があります。インラインスケート・ハーフパイプの世界チャンピオン、安床武士さんのブログに、武士さんがスキーを始めたのがきっかけで生まれたフリースキー&インラインスケートの初心者の集まりである「子鹿の会」のセッションがあるので27日は白馬にいると予告してありました。もしもスキーができなかったら、インラインスケートだなと思って、念のためにスケート、ヘルメット、プロテクターを一式持ってきていたのです。

 1年半前にオープンしたという「True players」には初めて行きました。体育館のような建物の中に、12フィートのハーフパイプ(バーティカル)やミニランプが設置されていて、本格的にアグレッシブのインラインスケートが楽しめるようになっていました。どのアイテムも本格的なのに、料金が激安です。ハーフパイプかミニランプのどちらかだったら500円、両方でも1000円で1日中滑れます。ありえない料金設定ですね。しかも、遅くまで練習する人がいたら、午前2時まで開けることもあるそうです。利用者がいない日は午後8時ごろで閉めるそうですが、もし閉まっていても、連絡すれば開けてくれるそうです。なんという利用者本位の施設でしょうか。これからスキー場のリフトが止まった日は、「True players」でインラインスケートですね。

 会場に着くと、安床武士さんだけでなく、ぼくが時々練習に行っている神戸のGood Skateのメンバーが来ていました。兄の栄人さんも来ています。プライベートレッスンの先生です。ほかに富山のインラインスケートのチームも来ていて、会場はレベルが高いインラインスケーターで大にぎわいでした。

 さて、ぼくはここんところインラインスケートの練習をしていなくて久しぶりです。施設のアイテムに慣れていないこともあって、こけまくりました。ミニランプも大きいのは上手な人ばかりで入りにくかったので、一番小さいランプで、初めてという小学生と一緒に練習しました。安曇野から毎週土日にきているという小学生はとても上手で、大きな方のミニランプで練習していましたが、ぼくの顔を見て「すごい」と一言。「何がすごいの」と聞くと、「今日はいろんな人が集まっているから」だそうです。いつもはスケートボードの人が多いそうですが、今日はセッションがあるというので、いろんなインラインスケーターが集まりました。ぼくのように年を取っていても、インラインスケートができるということに驚いたのでしょう。技術は全然ですけど。

 「子鹿の会」のセッションは、参加者が約60人と多くて、午後3時半~5時半が貸し切りになっていました。ということで、セッションの申し込みをしていなかったぼくはいったん着替えて見学モードに入ったのですが、飛び入り参加もOKということだったので参加費500円(安い!)を払って、再びスケートを履きました。栄人さんは初心者を対象にした平面のレッスン、武士さんとチームGood Skateの岸本一平さんがハーフパイプのレッスンをしました。ぼくはハーフパイプのレッスンに参加して、基本のフェイキー(往復動作)、ターンなどを練習をしました。ハーフパイプのターンは今日が初めてでしたが、なんとかできました。ハーフパイプの形が神戸の"g"skate parkと微妙に違うのと、久しぶりだったのとで、フェイキーのタイミングを合わせるのに手間取りましたが、岸本さんから、タイミングが合っていなくて、腕の振りが力任せになっていると教えてもらい、少しずつ、合わせた動きができるようになりました。また、栄人さんのレッスンを受けないといけませんね。

 今日の練習の予定変更で一番喜んだのは妻です。栄人さん、武士さんが繰り出すビッグエアーを間近で見て、大迫力に圧倒されていました。武士さんはスキーによる膝のけがのリハビリ中でしたが、マック9(マックツイスト900=倒立した状態で1回半ひねる技)などの大技を繰り出し、会場をわかせていました。

 やはり世界チャンピオンは違います。体の使い方が違いますね。体幹を締め、タイミングを合わせて、少ない力で大きな動きを生み出します。エネルギーのロスがなく、動きに無駄がありません。世界で一番というのは、こういうことかと納得させられました。
 今年のモーグルの大会は結局、4月7日の松之山温泉スキー場のSAJ公認(B級)大会も、4月14日の八方スーパーモーグルカップも出場することができませんでした。今シーズンは休養シーズンとなってしまいました。オリンピックでメダルを狙っている選手みたいですね。

 仕事の都合で練習が十分にできず、出場しても通せないのがわかっていたからというのも一因です。ひょっとすると、このブログを読んで、今シーズンこそは、ぼくが大会でダイナミック・ポジショニング・ターンを披露するのではないかと思っていた方もおられるかもしれません。ごく少数(2、3人?)だとは思いますが、ご期待に添えず、申し訳ありません。来シーズンこそは大会に出場して、スタートからゴールまでダイナミック・ポジショニング・ターンで通して滑りたいと思います。

 最近、書いた記事です。

記者の目:世界考古学会議に参加して=佐々木泰造(大阪学芸部専門編集委員)
毎日新聞 2013年04月12日 東京朝刊

 今年1月にヨルダンで開かれた第7回世界考古学会議の報告です。これに参加したので1月はスキーが出来ませんでした。

憂楽帳:なまった英語
毎日新聞 2013年04月16日 大阪夕刊

 これも世界考古学会議に参加した体験に基づいた話です。英語圏でない国の人間が英語で会話するのに、なまりはあって当然で、意志疎通に支障はないと思います。

歴史の鍵穴:かぎろひの歌再考 東の野にいて見た「炎」=専門編集委員・佐々木泰造
毎日新聞 2013年04月18日 夕刊(夕刊のない地域は19日)

 『万葉集』に載っている柿本人麻呂の有名な歌の読み方がよくわかっていなかったのですが、語法的に矛盾のない読み方を発見しました。
 「歴史の鍵穴」は毎月1回(中旬ごろ)掲載します。
憂楽帳:国体出場、その後
毎日新聞 2013年04月02日 大阪夕刊

 4月と5月に夕刊の「憂楽帳」というコラムを担当することになりました。記者が取材などで感じた悲喜こもごもを書く欄です。ぼくの書いたものが掲載されるのは大阪本社夕刊のみです。以前にも担当していたことがあります。今回は2週間に1回で計4回、掲載されます。第1回のテーマに、国体に出場した後、変形性膝関節症に悩まされ、蒲田和芳・広島国際大学准教授が提唱する「リアライン」によって克服したことを書きました。

 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることによって、大腿骨と頸骨が直接こすれ合う状態になって起きる膝の疾患です。膝の関節軟骨は年齢とともにすり減っていくので、高齢者に多いのですが、膝に負担のかかるスポーツの選手もなる可能性があります。また、膝のけが(靭帯や半月板の損傷)がきっかけになることもあります。

 軟骨はすり減ってしまうと、元に戻ることはないと言われています。再生はしているけれども、わずかなので、すり減る速度の方が速く、年を取るにしたがって、砂時計の砂が落ちていくように、だんだんと少なくなっていくそうです。たとえ、すり減っても、骨がまっすぐにつながっているかぎりは痛みが出ないのですが、骨をまっすぐに保つための筋力が衰えると、骨が傾き、関節でゆがんで合わさることになります。骨がゆがんで合わさっていると、膝にかかる衝撃で関節軟骨が片減りします。二つの骨の端が直接ぶつかり、骨が変形します。骨が変形して関節がゆがむと、ますます、まっすぐに保つことが難しくなります。この悪循環で症状が進行していき、しまいには歩くこともままならなくなります。最終的には変形した骨を削って、人工関節を入れるしかなくなります。

 と、まあ、最初に診てもらった医者から、ぼくはこのような説明を受けました。「この膝だと、そう長くはもたない。早晩、手術をして人工関節にするしかない」と言われたのです。

 モーグルは膝を使うスポーツです。トランポリンも膝に負担がかかります。長距離走もそうですね。モーグルは膝のけがをしやすいスポーツでもあります。モーグルにかぎりませんが、靭帯の断裂や損傷、半月板の損傷が原因で、思うような滑りができなくなって引退する選手もいます。

 骨と骨がまっすぐにつながる状態にすることを主眼とした「リアライン」は、変形性膝関節症になってしまった人だけでなく、膝のけがの予防、膝のけががきっかけになって起きる変形性膝関節症の予防にも有効であるとされています。また、骨の配列を正常な状態に保ちながらトレーニングすることによって、ジャンプなど膝を使うの動きがよくなることが実証されています。ぼくが変形性膝関節症になってしまったことは取り返しのつかない「憂」ですが、そのおかげで「リアライン」を知り、以前にも増してモーグルの技術が向上するという「楽」になるのではないかと思っています。
歴史・迷宮解:高松塚壁画の劣化原因/下 カビが生えなかった例から=佐々木泰造
毎日新聞 2013年03月27日 東京朝刊、03月28日大阪朝刊

 月1回、東京本社、北海道支社、大阪本社朝刊に掲載していた「歴史迷宮解」は今回で終わります。4月からは「歴史の鍵穴」を月1回、夕刊に掲載します(夕刊のない地域のうち一部地域では翌日紙面に掲載されます)。引き続き、ご愛読お願いします。
 24日(日)は終日、快晴でした。ゲレンデは東向きの斜面なので、朝のうちこそ硬かったものの、日光が直射してすぐに気温が上がり、表面の雪が解けていきました。

 前日の練習で見つけた課題は、ターンの後半に膝を曲げるとき、膝に力が入って踏ん張っているのではないかということでした。このことを意識しながら、緩斜面に立てたショートポールでショートターンの練習をしました。やはり、膝を曲げている時間が長くなっていることがスムーズにターンできない原因でした。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、膝を伸ばしながらターンを始め、膝を曲げながらターンを終えます。膝を最大限に曲げたところでターンが終了し、次のターンに入ります。膝に力が入ると、曲げるのに時間がかかり、次のターンに入るのが遅れます。

 ターンは前半にかける時間と後半にかける時間を同じにするのが理想で、そのためには、膝を曲げるのにかける時間と、膝を伸ばすのにかける時間を同じにする必要があります。モーグルコースの細かいピッチのこぶでは、膝の曲げ伸ばしを素早くしなければなりません。膝を曲げるのは、自分では曲げているという意識がないくらい、軽くしないといけないようです。

 もう一つの課題は、エアの着地からターンへのつなぎです。硫安を持って行かなかったので、エア台の表面が解けてザクザクになりました。リップも崩れて、スキーの跡が付きましたが、おかまいなしに、ストレートジャンプを繰り返し練習しました。ランディングバーンが軟らかく、なんとかターンはできましたが、自分の思うターンではありません。スタートからエア台まではダイナミック・ポジショニング・ターンですが、着地の後は別のターンになってしまいます。

 「なぜだろう」と、帰り道の車の中で考えて、思いついたのが、着地の姿勢です。

 モーグルのエアは、4点着地(フォー・ポイント・ランディング)が基本です。両手を前に出し、着地と同時に、両ストックを前方に突きます。四つんばいの姿勢ですね。ここに問題があるのではないかと思います。

 一般的なモーグルのターンでは、腰を低くし、上半身を前方に倒し、ストックを持った両手を前に出します。多くの哺乳動物にみられる4足歩行の姿勢ですね。スキーが後足、ストックが前足に相当します。

 これに対して、ダイナミック・ポジショニング・ターンは、人類に特有の2足歩行を基本としています。上半身を前に倒してはならず、手を前に出してもいけません。2足歩行では、体は常に直立していて、手が足よりも前に出ることはありません。4足歩行の姿勢である四つんばいでは、手(腕)の回転軸である肩関節と足(脚)の回転軸である股関節が前後に離れた位置にありますが、2足歩行では肩関節も股関節も同じ位置にあります。昨シーズン気づいたことですが、ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、ストックを握る手は、股関節の位置(骨盤)に置かなければならないようです。

 四つんばいの姿勢からターンを始めると、ダイナミック・ポジショニング・ターンになりません。着地の後、ダイナミック・ポジショニング・ターンを始めるには、2足歩行の直立姿勢をとらなければならないのですが、いったん四つんばいで着地してから直立姿勢に戻したのでは、動きに無駄が生じます。

 着地の後、ダイナミック・ポジショニング・ターンに入るには、4点着地をしてはならず、すぐに直立姿勢に戻せる別の着地方法をしなければならないのではないでしょうか。次回の練習では、これを検証するつもりです。
 白馬に来ています。正午にゲレンデに到着し、昼食をとってから、いつものゲレンデの緩斜面の部分にショートポール(ビニールホース)を立てて、ターンの練習をしました。カリカリのアイスバーンだったこともあるのですが、全く思い通りのターンができませんでした。ダイナミック・ポジショニング・ターンになっていません。スキーを振ったり、かかとを持ち上げたりして、ポールの間をすり抜けるのがやっとです。これらの動作はダイナミック・ポジショニング・ターンではやってはいけないことです。とてもモーグルコースを滑ることはできません。どうしたことでしょう。

 急斜面にもショートポールを数本立てて、続きの一番急なところにエア台をつくりました。先日行われた第50回全日本スキー技術選手権の公式サイトによると、このゲレンデ(ウサギ平ゲレンデ・ソデグロ)の最大斜度は29.2度だそうです。斜度計を持ってこなかったので測っていませんが、そんなもんだと思います。たいして急ではありません。1時間弱でエア台を仕上げました。キッカーの長さが短くて飛びにくい台になりましたが、エア台作成に時間を費やす余裕はないので、なんとか飛べればいいやという程度で妥協しました。

 さっそく、ストレートジャンプでターンとエア、エアとターンのつなぎの練習をしましたが、相変わらず、着地後、スムーズにターンに入ることができません。これができないから、自分でエア台をつくって練習しているのですが、もう5シーズン目になるのに、いまだに解決しません。今日の場合は、ターンそのものができていなかったので、着地後、スムーズにターンに入れなくても当たり前ではあります。

 ランディングバーンがアイスバーンでした。硬かった。言い訳です。着地の後、スキーを止めようとして思い切り、横にしているのに、雪が寄せられず、全然、こぶができません。「スキーを前に出して止めようとするからいけないんだ」と思い直して、体を前に出したら、猛スピードで思い切り直滑降してしまいました。

 時間いっぱい練習しましたが、ターンもジャンプもうまくいかないので、すっかり嫌になってしまい、「やっぱり年かなあ」などと思いながら、下山した後、ふと気づきました。膝の動きが悪いのではないだろうか。膝を曲げるときに力が入っているから、ターンがうまくいかないのかもしれません。

 モーグルの一般的なターンでは、こぶを乗り越えるときに、膝を曲げて、かかと(スキーのテール)をお尻の方に引き上げて、衝撃を吸収し、スキーのトップを下に落とします。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、膝を曲げるのは同じですが、足(スキー)を引き上げるのではなく、腰を落とします。このとき、膝に力が入っていてはいけないのです。腰は曲がらないよう、力を入れておかなければなりませんが、スクワットをするときのように膝に力を入れると、踏ん張ることになり、スムーズなターンができません。そればかりか、膝に無理な力がかかって、膝を傷める可能性もあります。ぼくの右膝が変形性膝関節症になったのも、これが原因かもしれません。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンは本来、体に優しいターンです。腰を曲げないから腰が痛くなりません。膝に力を入れず、常に曲げ伸ばしをするので、太ももの筋肉が鍛えられますが、疲れることはありません。それなのに、今日は腰は痛くなるわ、太ももは張るわ、膝も疲れるわで、さんざんでした。明日、力を入れない膝の曲げ方を試してみます。エアの着地の後のターンにも関係するでしょう。もしかするとダイナミック・ポジショニング・ターンの核心部分かもしれません。
 2月28日に受けた人間ドックの検査成績表が返ってきました。近年はいつも淀川キリスト教病院で受診していますので、過去の成績と比較できます。
       年齢  体重 体脂肪率  肥満度 心拍数
       (歳)  (kg)   (%)    (%)
2013年  55  74.8  18.5    7.3   40
--------------------------------------------------------------
2011年  53  73.8  15.1    6.6   45
2008年  50  71.7  14.9    2.7   51
2005年  48  67.8  15.5  -2.4   52

 年を取るとともに体重が増加し、肥満度が高まっているのがわかります。今回の体脂肪率はなんと18.5%です。もはやアスリートとは言えないレベルまで落ちぶれてしまいました。ただ、前回から測定している腹囲は77のままで、体形の変化はありませんでした。

 血圧は100と63で問題ありませんが、心拍数(1分当たり)が40と低く、「洞性徐脈」の診断を受けました。スポーツ選手は1回に送り出す血液量が多いので、安静時の心拍数は低くなる傾向があります。いわゆる「スポーツ心臓」です。ぼくの場合は、寝た状態で40台、座って50台、立って60台、歩いて70台と、運動強度に応じて心拍数が変化しているので問題はないだろうということでした。

 肺活量は2008年の4.64リットルに対して、今回は4.61リットルとほとんど変化がなく、激しい運動をしても問題ないレベルだと思います。

 そのほか、特に異常はありませんでした。

 年を取ると、太りやすくなるので、アスリートを続けるには、年を取るほどにたくさん運動をしなければならないということのようです。
 仕事が一段落したので8日(金)から休みをもらって、今シーズン4回目のスキーの練習に行ってきました。

 8日午後1時過ぎにスキー場に着いて、パトロールにエア練習の申請をしましたが、強風のため上部のリフトが止まり、トレーニング用のゲレンデには行けませんでした。こういうときは下部にある斜度40度の急斜面でショートターンの練習をします。夕食休憩をはさんで、緩斜面でナイトスキー。前回の練習で気づいた膝を谷側に落とすことを意識して、ダイナミック・ポジショニングのショートターンを練習しました。

 9日も強風で上部のリフトが動かず、前日とは別の下部ゲレンデの自然こぶで、ダイナミック・ポジショニング・ターンの練習をしました。

 10日は朝から風と雷でリフトが止まっていたので、膝などが疲れていたこともあり、午前8時過ぎに見切りをつけて帰ってきました。結局、終日、クローズだったようです。

 今シーズンのスキー滑走日数は、合計8日間になりましたが、間が空いてとびとびで、忘れたことを2日間の練習で思い出し、また忘れたことを次の2日間で思い出しの繰り返しで、ほとんど進歩がありません。「年を取ったら『3歩進んで2歩下がる』じゃなくて『2歩進んで3歩下がる』でしょ」と、家族からよく冷やかされますが、それでも、新たな発見がありました。


<なぜスキーがばらけるか>

 難しいバーンになると、悪い癖が出てきます。一つはスキーがばらけてしまうことです。モーグルでは両スキーを一緒に動かさなければなりません。ルール上は必ずしも引っ付ける必要はなく、両スキーの間にすき間が空いていてもかまいませんが、そろえておかなければなりません。両スキーがてんでんばらばらの動きをしてはいけないのです。

 整地でショートターンをしていても、スキーが「ハ」の字になることがときどきあります。外足のスキーが回りすぎるのに、内足のスキーがあまり回らないので、テールが開いてしまうのです。

 これは外足の拇指球だけに意識がいっているときに起こりがちで、内足の小指球を意識すると、解決することが多いようです。ただし、スキーはそろいますが、引っ付きはしません。スキーをパラレル(平行)にするだけでなく、引っ付けるためには、別の意識が必要なようです。

<ばらけやすいスキー板>

 今使っているスキーはフォルクルのウォールモーグルの昨シーズンのモデルです。これがなんともやっかいな代物です。カービング向きだという話を聞いて、フルカービングでこぶを滑ることを目的として開発中のダイナミック・ポジショニング・ターンには、このスキーが一番いいと思って買ったのですが、扱いにくいことこのうえなしです。

 まず、サイドカーブがきつめになっているので、ひっかかりやすいです。片方の板を持っていかれることがよくあります。また、板が分厚くて重く、硬いので、弾かれやすいうえに、ターンを失敗したときに自分の力で板を振って方向して軌道修正するのが難しいです。カービング向きかもしれませんが、ずらしにくくて、なんともそろえにくい板です。一つはこのスキーに問題があります。

<ブーツのカント調製>

 もう一つ考えられるのは、ブーツのカントが合っていないことです。
今使っているのは、2年前に買ったノルディカのドーベルマンWC EDT130というブーツです。このブーツのカント調整はオプションになっていて、別売のキットを買って、くるぶしのところのねじを付け替えます。

 左足は何もしなくていいのに、右足はカントを調整したり、パッドを当ててみたりしましたが、どうしても合いません。結局、右脚は膝関節のアライメント(骨の配列)が悪く、変形性膝関節症で、ブーツをいくらいじってみても、合わなかったのです。かったのです。1年間のリハビリのおかげで、右脚のアライメントはほぼ正常な状態に改善することができました。今は、カント調整も何もせず、ブーツを工場出荷時のままで使っています(くるぶしの斜め前の舟状骨の出っ張りがあるので、当たり出しはしてもらいました)。

 自分の足に合うようにブーツを改造するのではなく、ブーツに合うよう自分の足を調整したということです。1年に何日も滑らないレジャースキーヤーなら、自分の足に合わせてブーツを調整し、快適に楽しく滑ればいいと思いますが、競技者として上位を目指すならば、ブーツに合わせて自分の脚のアライメントを改善した方が成果が期待できると思います。

 1年間の懸命のリハビリのおかげで、ぼくの脚のアライメントはかなりいい状態になっています。このブーツは競技用なので、幅が狭くて、硬く、昨シーズンまでは長時間履いているとつらくなったのですが、今シーズンは1日中履いていても大丈夫なくらい快適になりました。スキーがばらける理由は、ブーツではなさそうです。

<かかとを引っ付ける意識>

 なぜだろうと思いながら、ふと思いついたことを試したところ、簡単にスキーが引っ付きました。スキーを引っ付けようとするのではなく、かかとを引っ付けるように意識するのです。誰のターンについても言えることかどうかわかりませんが、同じ悩みを抱えている人は、一度、試してみることをおすすめします。スキーを引っ付けようとか、ブーツを引っ付けようとか、膝を引っ付けようとかではなく、かかとを引っ付けるように意識するだけで、スキーが引っ付き、こぶが随分と滑りやすくなりました。

 素足で気をつけをするときにも、足をそろえるためにはかかとを引っ付けようと意識しますね。それと同じことなのかもしれません。昔、スキーをそろえるためにスイッチング(左右のスキーを前後にずらすこと)をしたり、膝をもう一方の膝に引っ付けてエッジを立てたりと、ずいぶん苦労しました。しかし、そんなことをしなくても、かかとを引っ付けるだけと、スキーは勝手にそろうもののようです。

<ターンの左右差>

 もう一つの悪い癖は、左ターン(右外足)が回りすぎてしまうことです。これはスキーを始めてまもないころからの癖です。なかなか治りません。左ターンでスキーが横を向いて行き過ぎてしまい、スキーのトップがこぶの外に飛び出してしまいます。一方、右ターン(左外足)は浅めで、スキーがこぶの合わせ目に入らず、乗り上げてしまいます。

 この理由ははっきりしています。ぼくは右利きなので、右が利き足、左が軸足です。サッカーでボールをけるときなど、左脚を軸にして支えて、右脚を動かします。手も足も、左で支えて、右を動かします。難しいバーンになると、つい動かしやすい右ばかりを意識して、自分の力で右スキーを動かしてターンしようとするのです。

 この癖はやっかいです。左を軸にして右を動かす動作は日常生活を含め、あらゆるところでしています。モーグルのエアのヘリコプターでも、動かしやすい右手を「かけ手」にして左回りをします。ぼくが今までやってきたスポーツはすべてそうです。剣道では、竹刀を振るとき、柄頭近くを握っている左手をてこの支点として竹刀を支えて、右手で竹刀を動かします。野球では右投げ、右打ちで、左回りに体をひねります。ボクシングも同様にストレートを打つときに左回りに体をひねります。水泳ではクロールで、動かしやすい右手を上げたときに息継ぎをします。

 左利きの人に器用な人や、技術的に優れたスポーツ選手が多いのは、このことと関係しているかもしれません。右利きの人が意識しにくい左を意識することができるからです。一つの解決策としては、あらゆることを左利きの人のようにしてみることが考えられます。トランポリンの練習で、得意な左回りではなく、苦手な右回りを練習することや、ギルランデ(斜滑降しながらのショートターン)で苦手な右ターン(左外足)ばかりを練習することです。

 整地のショートターンでは左右差がないのに、自然こぶを滑っていると左右差が出てきます。自分のターンのくせで左右差があることがわかっているので、左足を強く踏んでみたり、左腰を前に出したりしてみましたが、どうしても、右に傾いたターンになり、右ターン(左外足)でスキーが体の軸から外れて外に出てしまいがちでした。

<ダイナミック・ポジショニング・ターンのポジション>

 なぜ、自然こぶの中では、スキーがばらけ、ターンの左右差が起きるのか。おかしいなあと思いながら、滑っているうち、ポジション(スキーに対する腰の位置)が後ろすぎることに気づきました。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、こぶの裏側(ゴール側)をスキーのトップで押さえつけてターン(スキーの方向転換)をします。そのためには、体を斜面に対して垂直にしたのでは不十分で、こぶの裏側に対して垂直にしなければなりません。さらにブーツには前傾角が付いているので、トップを押さえつけるためには、さらに前傾をかけなければなりません。しかも、このタイミングで、膝と腰をほぼ完全に伸ばします。30度の急斜面のこぶの裏側の斜度は60度くらいになるでしょうか。直立状態から前に60度倒して、こぶの裏側に対して垂直になります。トップに体重をかけるためには、ブーツの前傾角約10度を足して、体を70度くらい前に傾けなければなりません。体をほどんど水平にするくらいのつもりで前に投げ出してはじめて、スキーのトップに体重をかけてこぶの裏側に大きな圧力を加えることができます。

 テレビでW杯を見ていると、こんなに前のポジションで滑っている人はいません。セオリー通り、ブーツと腰を結んだ線が斜面に対して垂直になるくらいのポジションです。自分がスキーをしないときにテレビでトップ選手の滑りを見て、これくらいのポジションで滑るものだというイメージを無意識のうちに抱いてしまいがちですが、普通のターンでは正常なポジションであっても、ダイナミック・ポジショニング・ターンには後ろすぎます。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、常識では考えられないくらい、腰を前に出さないといけないことに気づきました。体を前傾させようとして、上半身だけを前に出したのではだめで、膝と腰を伸ばして立ち上がった姿勢のとき、腰がスキーのトップの上にいくくらいのつもりで、腰を前に出さなければなりません。

 こぶの中で、ターンの前半にこのポジションをとり続けることができたとき、かかとが自然と引っ付いてスキーがそろい、ターンの左右差もなくなるようです。
 ダイナミック・ポジショニング・ターンのショートターンがもう一つうまくいかなかった原因がわかりました。膝落としの動作ができていませんでした。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、腰を前に出すことによって、かかと側にかかっていた体重をつま先側に移動します。これはロングターン、ショートターンに共通しています。しかし、ロングターンとショートターンで違う部分もあります。

 ロングターンではターンの後半(山回り)で、腰を谷側に落としながら、スキーを寝かせていき、ニュートラルポジション(ターンの切り換え時)で、スキーのソールがべったりと雪面に張り付くようにします。これができていないと、次のターンにスムーズに移行することができません。このとき、同時に腰が下がり、体重がかかと側にかかります。腰を下げながら、谷側に落とすという二つの動作を同時並行でしなければなりません。ニュートラルポジションの後、ターンの前半(谷回り)で、腰を上げて体重をつま先側に移動すると同時に、スキーを徐々に立てて行きます。ターンの中間で、スキーが最も立った状態になります。

 ショートターンでも同じように、ターンの後半にスキーを徐々に寝かせていかなければなりません。ターンの後半では、ロングターンと同じように腰を下げて体重をかかと側に移動します。モーグルのショートターンでは体を正面(フォールライン)に向けたままにしなければなりません。体を正面に向けたまま腰を下げて体重をかかと側に移動すると同時に、スキーを谷側に向けて寝かせていく。これが難問でした。腰を上げながら前に出すのがダイナミック・ポジショニング・ターンの基本動作ですが、それだけではできません。腰を下げたときに膝を前に落とすという動作が必要なのです。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンの体系は普通のターン(スタティック・ポジショニング・ターン)の体系とは全く異なります。普通のターンを究めようとしている人が、ぼくがここに書いたダイナミック・ポジショニング・ターンの動作の一部だけを取り入れても全くうまくいかないはずです。それどころか、がたがたになったしまうことでしょう。体系が違うからです。

 ぼくは逆に、大会の公式練習で、スタティック・ポジショニング・ターンでうまく滑っている人に影響されて、自分の滑りを忘れてしまいます。スキーに行っていない日やシーズンオフにはW杯の映像を見ます。無意識のうちにトップ選手のスタティック・ポジショニング・ターンのイメージが脳にインプットされているのでしょう。久しぶりにスキーに行ったときや、難しいバーンでは、二つのターンのイメージがごっちゃになって、できそこないのターンになってしまいます。

 体系の違いはエアにもあります。ぼくはモーグルのエアを練習するために、最初はX-Tech大阪に通っていました。2008年からはトランポリンを本格的に練習したくなってアベノETCに通っています。そこで知ったのは、モーグル選手のトランポリンと、トランポリン選手のトランポリンの体系の違いです。

 例えば、ひねりをかけるとき、モーグル選手は上半身でかけますが、トランポリン選手は下半身でかけます。アベノETCに通い始めてしばらくして鯉住コーチに指摘されて、違いを知りました。

 初心者がひねり技に挑戦すると、ほぼ全員が上半身からひねろうとします。上半身の方が意識がいきやすいからです。上半身をひねれば、下半身は上半身とつながっているので、勝手について回る。これがほとんどの人がやろうとするひねり方です。意識しやすい上半身の回転が先行し、下半身はやや遅れて回転します。

 ぼくがやっていたローラー(腰落ち1回ひねり腰落ち)もそれでした。それに対して、鯉住コーチから、下半身から先にひねる方法を教えられました。意識が届きにくく、動かしにくい下半身を意識してひねることによって、下半身と上半身を同時に回転させるわけです。トランポリン選手のひねりは、上半身と下半身に全くずれがなく、体全体が完全な1本の棒になっています。つま先、膝小僧、おへそ、顔がすべて同じ方向を向いています。

 ほとんどのモーグル選手が、上半身で引っ張る体系で練習しているのに対し、トランポリン選手は、下半身を意識して、体全体を棒にする体系で練習しています。この違いは大きいです。ストレートジャンプも違います。モーグル選手の下半身は、ただぶら下がっているだけです。下半身を意識して伸ばしているのではなく、重力で引っ張られて伸びているだけです。トランポリン選手は上半身と下半身がばらばらにならないように体全体をしっかりと締めています。違いはつま先が伸びているかどうかだけではありません。

 もちろん、モーグルのエアは重いスキーを履いてしなければならないという大きな違いがあります。モーグル選手のエアが、上半身で引っ張る体系になっているのは、そのことにも一因があるでしょう。スキーは重いので慣性モーメントが大きく、動かし始めるのに大きな力を必要とします。上半身をねじってかけた方が重いスキーを動かしやすいかもしれません。しかし、慣性モーメントが大きいということは、いったん動き始めたら、なかなか止まらないということでもあります。下半身を意識しないひねりでは、踏み切りのときにかけの強さを勘で決めるしかなく、着地を合わせるための回転のコントロールが非常に難しくなります。

 ぼくが取り組んでいてなかなかできない「棒ジャンしてからヘリ」は、下半身を意識したひねりの技です。これをやるためには、トランポリン選手の体系で練習しなければなりません。スタティック・ポジショニング・ターンとダイナミック・ポジショニング・ターンの体系が違うように、モーグルの普通のヘリコプターやコークスクリューなどのひねり系の技とは体系が違っています。