SAJ(全日本スキー連盟)公認のモーグル競技会に出場しました。23日に岐阜県のホワイトピアたかすスキー場で開催された第7回ホワイトピア東海北陸モーグル競技会です。昨シーズンは公認大会、草大会とも出場しなかったので、2シーズンぶりの競技復帰です。
ホワイトピア東海北陸競技会に出場するのは2008年の記念すべき第1回大会以来です。前回は第1エアの後のミドルセクションでコースわきに大きくそれてしまい、30点満点の1.90点で67人中64位というふがいない結果に終わりました。
2シーズンぶりの復帰初戦にして、6年ぶりの今回は、目標をはっきりと定めました。上から下までまっすぐに滑ること。エアはどうでもいい。スピードも問わない。フォールラインをはずさず、常に足を腰の下に置いておく。これだけを守って完走することです。
もう一つ、絶対条件として、けがをしないこと。全体に緩斜面のイージーコースなのですが、バーンはけっこう硬く、弾かれてコントロールを失ったら、今回の目標が達成できないばかりか、けがによって今後、競技を続けることを断念せざるをえなくなる危険性さえあります。実際、前日の公式練習中にけがをした選手がいました。
フォールラインをはずさないという目標を達成するために、一番問題となるのは、第1エアの着地の後です。ターンに入るときに左右に大きくふくらんでしまいがちですが、ここでまっすぐに入らないといけません。今までこれができなくて、最初のこぶに弾かれたり、スキーが横に向くとともに体も横を向いてわきにそれたりして、ただでさえ低い基礎点から大きく減点されてターン点がほとんどなくなっていました。公式練習で普通にジャンプしたら、案の定、ターンに入れなかったので、できるだけ小さく飛ぶことにしました。
もう一つは、ミドルセクションの中盤の処理です。ちょうどスピードが乗ってくるところでこぶの間隔が短くなっていました。斜度もやや緩くなっているところだったので、ここで体が起きてしまうと後傾になってリズム変化についていけずに弾かれます。
以上の二つを注意すれば、まっすぐに滑り下りることができそうでした。
スタートはいつも緊張します。ぼくのダイナミック・ポジショニング・ターンは腰の位置をものすごく前にしなければなりません。腰から上を思いきり前に出してスタートしました。残念ながら、ジャッジからは、スタートから第1エアまでのターンは見えません。勝負は第1エアの着地後です。
第1エアは抑えて飛びました。そして着地もまあまあです。下を向いたままで着地すると、着地の衝撃を上半身に受けて、いわゆる「食らう」という状態になり、体勢が乱れ、最悪の場合、止まるしかなくなります。今回は第一エアのランディングバーンの斜度が緩く、ほとんど平らだったのでなおさらです。前を見たままで着地することができれば、衝撃がスキー(足関節)と膝関節、股関節によって吸収され、安定した姿勢を保つことができます。
うまく最初のこぶに入り、ターンしましたが、次のこぶまでの間隔が長かったので、スキーを斜めにしてずらしながら、次のこぶが来るのを待ちました。これでポジションが後ろになり、ダイナミック・ポジショニング・ターンのポジションではなくなりました。次もターンした後、スキーを斜めにしたままでその次のこぶを待ち、またターンしてスキーを斜めにしたまま次のこぶを待つという繰り返しになりました。
全体にバーンが硬かったのですが、ぼくが選択したラインは日陰で一番硬く、なかなかこぶが育ちませんでした。こぶとこぶの間の平らな部分が長かったのです。
小さなふくらみを乗り越えながらスキーがくるんと向きを変えてしまい、こぶとこぶの間の平らな部分をスキーを斜めにしたままで横滑りして次のこぶを待つというターンです。ターン(スキーの向きを変える)の技術そのものはカービングの原理に基づいていて、普通のずらしとは違うのですが、結果的にはピボット&プッシュという初心者のずらしと同じになってしまいました。
FISルールに次の記述があります。
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6204.1.3 Absorption and Extension 吸収と伸展
Additionally, the competitor should aggressively utilize the moguls to assist initiation of turns, rather than waiting for the moguls.
加えて、競技者はこぶを待つというよりも、むしろターンを始めるのを助けるためにこぶを積極的に利用しなければならない。
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ターンはこぶの間隔に合わせなければなりません。スキーが同じ方向を向いている時間があってはいけないのです。
しかし、このときのぼくには、硬いバーンで、スピードオーバーにならず、フォールラインをはずさず、足を腰の下に置いたままで滑るには、この方法しかありませんでした。
ザーザーと音を立てながらミドルセクションを滑っているうちに気づきました。
「さっきの第1エア、棒ジャンだった」
技を入れるのを忘れていました。いくら中高年競技者だといっても物忘れするにもほどがある。
スタートするまでに、エアを何にするかを全く考えていませんでした。最近のエア練習では棒ジャンしかしていません。反射的に棒ジャンをしてしまったようです。思わず、引き返したくなりましたが、後悔先に立たず。振り返りたい気持ちを抑えて、とにかくまっすぐに滑りきることを考えました。
しかし、遅い。公式練習のときも、あまりにも遅くてなかなか先に進まないので、ミドルセクションを滑っている途中で嫌になって、止まっていました。もし、三浦豪太さんが実況解説をしていたらこう言うでしょう。
遅いっ! まるでコースインスペクションをしているかような遅さですねっ! でも安定はしていますよ。しかし、遅いですねっ! まるでスローモーションで見ているかのような低速安定性ですねっ!
モーグル大会に出場したことのない方のために解説します。「コースインスペクション」とは、選手がコースの下見をすることで、公式練習の前に必ずあります。ターンして滑ることは禁止で、横滑りか「ハ」の字で徐行しなければなりません。
そうこうするうちにやっと、中盤のこぶが細かくなっているところが来ました。「ここは丁寧に丁寧に」と言いながらターンして、無難にこなしました。
ここで減速するので、次の第2エアまでの部分は、止まるようなスピードになります。本来ならスケーティングして漕ぎたくなるほどのスピードですが、ポジションが後ろになっているので、スケーティングはできません。
その代わりに、しっかりと体重を後ろにかけてスピード不足を補い、第2エアをジャンプ。第2エアはダブルツイスターにしようとそのとき決めました。
高さはありませんが、ジャンプして、体を棒にしてから、イチ、ニイと思いきりスキーを振りました。1発目はスキーが真横を向きましたが、2発目はスキーが前を向いたところで止まってしまいました。よくある失敗です。
ダブルツイスターはイチ、ニイと振ってはいけないんですね。なぜなら、1発目は前向きから横向きに90度振ります。2発目は横向きから反対向きの横向きまで180度振らなければなりません。これをイチ、ニイと同じリズムで振ったら、1発目が90度、2発目も90度しか振れないのです。そこで、ぼくはウォータージャンプで練習するときは、ゼロ、イチと数えることにしています。最初のゼロで、ツイスターをするための準備として、前を向いているスキーをゆっくりと横に向けます。スキーが真横に向いたところがスタートで、そこからイチ、ニイと2発目、3発目の振りを入れます。1発目は数えないということです。ツイスターの練習をしばらくやっていないので、このことを忘れてしまっていました。雪の台でもちゃんと練習しないとだめですね。
何こぶか吸収のタイミングが合わずに乗り上げましたが、目立つミスではありませんでした。滑走ラインはほぼ直線だったと思います。ゴールまでまっすぐに滑るという自分で定めた目標は達成しました。しかし、終始、ずらした滑りだったのと、あまりにも遅かったのとで、これがモーグル競技の滑りかと、少し場違いな感じもしました。
リザルトが発表されるまで、やりきったという達成感があった一方で、「このターンでは点数は出ないだろうな」と思っていました。「これで点数を出されても困る」とも思いました。自分が目指しているターンとは全然違っていたからです。
結果は、ターン点が1.5、1.4、2.1の合計5.0点。満点の15点(5点×3人)の3分の1という結果でした。
FISルールではターンの基礎点は次のように定められています。
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6204.1.5 Mogul ranges
最高 Excellent------------------4.6 ~ 5.0
非常に良い Very good------------4.1 ~ 4.5
良い Good-----------------------3.6 ~ 4.0
普通より高い Above Average------3.1 ~ 3.5
普通 Competent------------------2.6 ~ 3.0
普通より低い Below Average------2.1 ~ 2.5
悪い Poor-----------------------1.1 ~ 2.0
非常に悪い Very poor------------0.1 ~ 1.0
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ぼくのターンに対する評価は1.5くらいですので、下から2番目の<悪い Poor>です。一番下の<非常に悪い Very poor>は、転倒したり、横にそれてしまったりして、まともにゴールできなかった場合ですので、事実上の最低評価です。5段階評価の通知簿で言えば<1>で不合格ということです。ああ、残酷。
実際、ぼくの順位は69人中60位で、まともにゴールした選手の中では最下位でした。
ちなみに第2エアのダブルツイスターの評価は2.5点満点で、0.9と1.0でした。1発しか振れていないので、当然だと思います。第1エアはNJ(ノージャンプ)で0点、第2エアは2人のジャッジの平均に難度点を掛けて0.71点でした。
スピードは34.11秒かかり、タイム点は0点でした(コースは210m)。これもまともにゴールした選手の中では一番遅いタイムでした。ただ、ぼくの過去のリザルトを調べてみると、ほとんどが似たようなタイムでした。途中でもう少し速く滑っていても、中断があったりして、たいてい30秒以上かかっていました。
結局、合計得点は30点満点の5.71点。まともにゴールした選手の中の最下位でしたが、ぼく自身としては生涯最高記録を更新することができました。今までの自己ベストは2008年の千葉県松之山温泉モーグル競技会での4.70点だったので、6年ぶりの更新です。ただ、このペースで更新していたのでは、死ぬまで競技を続けても10点くらいにしかならないので、もう少し、更新ペースを上げたいものです。
今回は自分で定めた目標は達成できましたが、いろいろと課題も多く見つかりました。
まず、ダイナミック・ポジショニング・ターンはどこに行ってしまったのかということです。「棒ジャンしてからヘリ」(空中に飛び出して棒ジャンをしてからヘリコプターを回る)に続いて「幻の秘密兵器」第2号になってしまったのでしょうか。
大会終了後、このブログの愛読者である福岡の北冨龍一選手(決勝進出おめでとうございます)が一緒にコースを滑りながら、アドバイスしてくださいました。
その結果、左膝の不調の原因がわかりました。左の股関節が左足の上に乗っていないということには自分で気づいていたのですが、ぼくがおかしなターンをしているときに見ていた北冨さんによると、右のこぶで弾かれて、左のこぶがうまく越えられていないそうです。
これは前からのぼくの癖で、右のこぶのターン(右外足の左回り)が長すぎてスキーが左に走ってしまいます。それを戻すために、左のこぶのターン(左外足の右回り)で無理に左膝をねじるような動作をしているようです。いつもではありませんが、右腰-右スキーに体重が乗ったままで、左腰-左スキーが浮いているということが多いようです。体重が乗っていないと、こぶにスキーをとられて、膝がひねられることにもなります。
もう一つは、ストックワークです。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは、膝を曲げ伸ばしすることによってターンを導きます。ところが、今回は膝が全く動いていません。自分の出番が終わった後、フラットバーンでターンの練習をして膝を曲げようとしてみましたが、全然、曲がりません。
北冨さんから「膝が硬いように見えます。曲がっていないようですよ」と言われて改めて考えてみると、膝を曲げ伸ばしする余裕がないほどスキーがあっという間に向きを変えていて、とても窮屈なターンになっていました。
ストックを突く位置が手前すぎたようです。本来、描こうとしているターン弧の中心ではなく、手前にストックを突いてしまうことによって、本来のターン弧の最初の部分でスキーが回ってしまっていたというわけです。スキーが早く回りすぎると、本来のターン弧の残りの部分は回ってしまったスキーを斜めにしたままでずらすしかありません。
表彰式前の最後の1本で、ストックで狙う場所をそれまでよりも遠くにし、しっかり待ってから突くようにしたら、スキーが縦に滑り、ターンがスムーズにつながりました。ゴールでぼくの滑りを見ていた北冨さんも「こっちの方がずっといいですよ」と言ってくれました。
これはバッジテストの事前講習でも言われたことですね。フラットでのショートターンについて講師から「直線的だけれども、ターン弧がぶつぶつと途切れているので、ターン弧をつないでください」と言われ、それを意識してターンしたら、講師から「こっちの方がずっといいですよ」と言われたのです。
基礎スキーのSAJ公認指導員、モーグル選手の両方から同じことを言われたということは、もう間違いありません。後者のターンができるよう、練習するのみです。