スキーウェアを忘れた先週末のスキー練習2日目の28日(日)は、八方尾根スキー場に行きました。前週、2日がかりで苦労してつくったのに、たった1本しか飛べなかったエア台が残っているというので、エア練習をしてから壊すことにしました。
 戸狩温泉スキー場から八方尾根までは約2時間です。上部の緩斜面に中くらいのエア台が一つ、下部の急斜面に大きなエア台が一つ残っていました。どちらも雪が積もっていたので、かなり手直しが必要でしたが、午後1時半ごろにはどちらも飛べるようになったので、それぞれ第1エア、第2エアに見立てて上から下まで通して滑る練習をしました。
 途中の滑走は大きな問題はないのですが、以前のように大きなジャンプができなくなりました。下部の急斜面のエア台は、アプローチがものすごく急で難しいので、飛べなくてもしかたがないかと思いますが、上部の緩斜面のエア台はさほど難しくないはずなのに、キッカーを踏むときの「がつん」という感触がなくて、力の抜けたジャンプになってしまいます。キッカーの先端(リップ)で、ただ立ち上がるだけのような感じです。
 この感覚は戸狩のモーグルコースで練習しているときも同じでした。さらにさかのぼると松之山温泉スキー場の大会のときもそうでした。全然、飛べません。
 なぜでしょう。
 今シーズン、ターンの前傾姿勢を強めて、体勢を低くして滑っています。特に最近は、こぶにスキーが当たった瞬間の衝撃の吸収に練習の力点を置いています。スキーの先端がこぶに当たると同時に、衝突した力が打ち消されて、前に進んでいた体が止まってしまうくらい、深く吸収する練習をしています。
 その感じでエア台に入ると、キッカーから受けるG(重力加速度)の反発を吸収してしまい、体を持ち上げる力が打ち消されるので、飛べません。スキーを履いて垂直跳びをしてみるとわかりますが、スキーヤーが自力で飛び上がれる高さはせいぜい10cmくらいでしょう。スキーヤーの滑走速度から生まれる力をキッカーの反発によって上向きの力に変えることによって高さのあるエアができます。
 キッカーの反発を吸収してしまうと、折り曲げていた体を伸ばして、一生懸命上に上がろうとしてもちっとも上がらず、きれいに伸びた体の軸もできなません。軸ができないので、技も満足に入りません。
 キッカーで体がつぶされたときにも、同じようにまともなジャンプになりません。キッカーが壁になって、体がぐしゃっとつぶされるだけなので、体が上に上がらないのです。
 どうすれば、体が上に上がるのか。エア台はアプローチが下り坂(30度~40度)、アプローチとキッカーのつなぎ目のトランジションが水平、キッカーが登り坂(国際大会の規定では26度~30度)になっています。最後のこぶからキッカーの先端(リップ)までの距離は国際大会の規定では4~5mです。このすべての過程で、斜面に対して垂直の力を加えたときに、体がエア台から最大の力を受けて、最大のジャンプをすることができます。
 斜面に垂直の体勢は、下り坂のアプローチでは30度~40度の前傾、トランジションでは鉛直(重力方向)、キッカーでは26度~30度の後傾です。ただし、前に進んでいるので、この角度を維持しようとすれば、前に進む分だけ体を前に出さなければなりません。26度~30度の飛び出し角度のキッカーで、その角度に合わせて体を後ろに倒したのでは、後傾になりすぎます。エア台への進入速度にもよりますが、だいたい重力方向に対して垂直にするぐらいのつもりで、ちょうどキッカーの角度と垂直の体勢になります。
 キッカーの角度と垂直の体勢は、かなり後傾です。普通に立っているときに、30度の後傾姿勢をとろうとしたら、後ろにこけてしまいます。前に進んでいるからこそ、30度の後傾姿勢がとれますが、やはり後ろに倒れてしまうのではないかという恐れを抱きます。
 キッカーの後傾姿勢のままで空中に飛び出して、背中から落ちたらどうしようと思います。そこまででなくても、後傾姿勢で着地したら、スキーのコントロールができないので、ターンに入っていくことができません。
 大会なら、コースがセパレートされて、コース上には自分一人しかいませんが、ゲレンデには一般スキーヤーも滑っています。着地後、暴走すると、大変、危険です。仮に誰もいなくても、硬いこぶが並んだ急斜面で暴走すると、けがの恐れもあります。着地後、スムーズにターンに入ろうと思えば思うほど、キッカーに対して垂直の姿勢ではなく、前傾姿勢をとりたくなります。
 エア台に入るまで、こぶで吸収動作を続けています。その続きで、キッカーでも吸収動作をしてしまうから、ジャンプができません。こぶでは衝撃を吸収するために脚の力を抜いて曲げますが、キッカーでは脚を曲げても力を抜いてはいけません。
 ストレートジャンプやアップライト(直立)系のエアのジャンプでは、キッカーでしゃがんだ姿勢(スクワット)を取ります。大きい姿勢から小さくなると回転しやすくなり、小さい姿勢から大きくなると回転にブレーキがかかります。テイクオフした後、直立姿勢をとるためには、キッカーを滑ることによってかかる後方への回転を止めなければなりません。あらかじめ小さい姿勢にしておき、テイクオフと同時に体を伸ばして大きい姿勢にすることによって回転を止めるのです。
 しゃがむ動作のときに、吸収動作のように力が抜けると、体がつぶされるのと同じことになって、キッカーからの反発(反作用)を受けることができず、体が上がりません。エア台のアプローチに入ってから後は、リップを抜けるまで、一瞬たりとも力を抜くことなくしっかりと踏ん張り続けなければなりません。
 力を抜いたしゃがみこみと、力を入れたしゃがみこみの使い分けが必要です。
 モーグルを始めたころのキャンプで、「エア台の前のスピードコントロールは、二つ手前のこぶまでで終えるように」と言われたことがあります。これはまだ頭の中で考えているだけで、実地で検証する必要がありますが、少なくとも第2エアについては、ミドルセクションをトップスピードで滑り、エア台の手前三つ目、二つ目のこぶまででいったん減速して、最後のこぶからは加速しながらエア台に入ってはどうかと思います。
 トランポリンでは、前のジャンプよりも高くジャンプするといいジャンプができます。1本跳ぶごとに高さを上げていくと、力強く安定したジャンプができますが、2本目以降の踏み切りが早くて高さが落ちると不安定なジャンプになり、演技が乱れます。つまり、加圧を強めてこそ安定したジャンプができるということです。

 雪面から受ける力を吸収して減速しながらエア台に入るのではなく、雪面に加える力を強めながらエア台に入って、キッカーを思い切り踏んでジャンプするようにすれば、体の軸ができて、空中動作も切れて、着地で前傾姿勢をとるのも容易になるのではないかと思います。

 八方尾根スキー場では、8日~13日、全日本スキー技術選手権大会(技術選)が開かれます。ぼくがいつも練習しているウサギ平ゲレンデ新コース(ソデグロ)も大会の競技コースになります。大会前にも公式練習で使われるので、次の週末、エア台はつくれません。
 技術選は、基礎的なスキー操作の技術を競う大会です。全国から予選を勝ち抜いたスキーインストラクターら基礎スキーの熟練者が集まります。
 基礎スキーとは、アルペンレースやモーグルスキーのようにコースを設けて、スピードや難しい技術を競うのではなく、大回り、小回りという基礎的な技術だけを使って、ゲレンデに普通にあるフラットとこぶの斜面を滑ります。基礎的な技術の巧拙をどのように点数化するのかは、ぼくにはわかりませんが、誰が見ても「うまいなあ」と思うスキーヤーばかりです。

 3月前半の八方尾根では、ぼくのエア練習やダイナミック・ポジショニング・ターンの練習を見ることはできませんが、全国の最高峰を目指して集まった「うまいスキーヤー」の滑りを見ることができます。
 26日(金)に新潟県十日町市に仕事で出張しました。その帰り、車で1時間20分くらいしか離れていない長野県北部の戸狩温泉スキー場に寄って、27日(土)に練習することにしました。どちらがついでということではなく、仕事と趣味の両立をはかったわけです。ところが26日夜、十日町から戸狩に向かって車を運転している途中で気づきました。スキーウェアをバッグに詰めた記憶がありません。ありゃりゃ。車を止めて確認。やっぱり忘れていました。このまま家まで帰りたくなりましたが、せっかくの休みだし、宿も予約しているしと思い直し、今、着ている服のままで滑ることにしました。
 戸狩のシーズン券を買ったのに、今シーズン滑ったのはまだたったの1日だけです。がんばって滑らないと、もうシーズンが終わってしまいます。
 幸い、27日は好天でした。下はトレッキングパンツです。上は雪降りのときにスキーウェアの上に着る長い丈のレインウェアを持ってきていました。
 普段着のスキーと言えば、子供のころを思い出します。京都府綾部市の実家では年に何回か20~30cmの雪が積もることがあります。子供のころ、雪が積もると、夜、真っ暗になるまで竹スキーで遊んでいました。
 竹スキーの簡単なものは、竹を50~60cmの長さに切って5cm幅くらいに割っただけのものです。先を火であぶって曲げて、水か雪で冷やして固めます。これに乗って滑ります。
 もう少し本格的なものは、5cm幅くらいに割った竹を2本、針金で2本つないで10cm幅くらいにします。この竹をかまぼこ板に釘で打ち付けます。かまぼこ板が足を乗せる台で、自転車のタイヤかチューブを半円形にかまぼこ板に打ち付けて、つっかけのように足を入れます。小さいときは父親に作ってもらい、大きくなったら、自分で2m近くある長いスキー板を作りました。
 小さなこぶを「ジャンプ台」と言って飛ぶのですが、簡易版の竹スキーだと、足を固定するものがないので、飛んだ瞬間にスキーが足から離れます。でも、楽しいのです。普段着で遊ぶのですが、水分の多い雪で、地面が透けて見えるほどしか積もっていないところで、何回もこけるので、しまいには、パンツまでずぶ濡れの泥だらけです。
 中学校の裏山はスキー場でした。といっても、ただの山の斜面で、木が切ってあるだけです。ぼくの中学3年間は、暖冬続きでほとんど雪が降りませんでしたが、たまに積もったときは、急遽、体育の授業がスキーになります。学校に備え付けの古い木製スキーがあり、みんながフキ、ワラビ採りをしてかせいだお金で革製のスキー靴を新調しました。スキーウェアなんてないので、普段着です。ぼくは学生ズボンで滑りました。斜面を横歩きで登って、こぶでジャンプをしました。このときは、パンツが赤土で真っ赤になったような気がします。
 ぼくは39歳のときに精神的なストレスが原因で仕事を休んでしまい、なんとか元気を出そうと、初めてスキー場に行き、41歳でモーグルを始めましたが、それは、子供のころのこういう楽しい体験があったからです。初めてスキー場に行ったとき、やっぱりスキーウェアではなくて、元々持っていた冬用のトレーニングウェアを着て滑ったように思います。
 久しぶりの普段着スキーです。アルペンレーサーのようにスキー靴がむき出しで、かなりださいファッションでしたが、新手のスキーウェアかと思った人もいたかもしれません。
 前回、シーズン初めに戸狩に来たときは、スキー場の入り口近くにあるモーグルコースだけを滑ったのですが、今回は奥にも行ってみました。けっこう大きなスキー場なので、とても一度に全部は滑れません。
 奥にあるラビットコースという急斜面。これが気に入りました。けっこう斜度があって、距離もあります。自然こぶができていて、それも楽しいのですが、大きなターン弧でスキーをずらしながら大きく回していたのではあまりモーグルの練習にならないので、みんながあまり滑っていないところに、自分で細かいターン弧を刻みながら練習しました。
 前からやりたかったプルークボーゲンでのダイナミック・ポジショニング・ターンの練習です。片方のスキーを真横に向け(フォールラインに垂直)、もう一方のスキーは縦にして(フォールラインと平行)、プルークのスタンスをとります。体は常にフォールライン方向に向けます。この姿勢で、スキーを縦にした後ろの脚を曲げた状態から伸ばします。スキーを真横にした前の脚は伸ばした状態から曲げます。後ろの脚が加圧動作、前の脚が吸収動作です。ダイナミック・ポジショニング・ターンが普通のターンと違うのは、後ろの脚を伸ばしながら、体の後ろにある斜面に圧力を加えるというところです。後ろの脚を伸ばすことによって、こぶの裏側(ゴール側)をスキーで押すのです。これができるかどうかで、ダイナミック・ポジショニング・ターンができるかどうかが決まります。
 後ろの脚を伸ばしながら、雪面を後ろに蹴ることによって、体が前に出ます。前に出た体を追いかけるようにスキーが前に出ます。スキーが前に出ると、脚を曲げて吸収動作をしながら、スキーを追いかけるように体を前に出します。この繰り返しです。
 1ターンずつ、この練習をしました。真横になったスキーが前に向かって横滑りをすると、吸収動作ができていないということなので失敗です。また、フォールラインと平行になっている後ろ脚のスキーが前に出て、横向きになった後も滑ってしまっても失敗です。もう少し研究して、練習に取り入れていきたいと思います。
 午前中、この練習を急斜面で繰り返して、かなり疲れたところで、木原初夢・長野県コーチのプロデュースによるモーグルコースに行きました。こちらはそれほど急斜面ではありません。世界選手権で入賞経験のある益川雄さんが長野県のジュニア選手のエア練習を指導していました。タレントの松村邦洋をほうふつさせる愛想のよさで「楽しんで滑ってください」と声をかけてくれました。
 では、さっそく。気温が上がって、雪が軟らかくなっていて滑りやすいのですが、こぶがかなり深くなっています。ちょうど、今、深いこぶをうまく吸収して乗り越えることを課題にしているので、いい練習になります。しかも、ボトムには、ピッチが細かくて、とがったウェーブがつくってあります。これを乗り越える苦労たるやいかばかりか。超難しいです。スキーを縦にして突っ込もうとすると、なかなかタイミングが合いません。スキーを斜め(ハの字)にすると簡単です。
 これはちょっと考えさせられます。深いこぶを乗り越えるのに、スキーを縦にすべきか、斜めにすべきかです。
 こぶが深くなったコースでは、どうしても、スキーを縦にしてこぶを乗り越えることができず、スキーが横になってテールがこぶの溝のところに落ち込んでしまいます。そこからスキーを半回転させて次のこぶに入ってもいいのですが、それはぼくがしたいターンではありません。こぶを迂回するようにスキーを回しこむのではなく、こぶの上を乗り越えていくターンがしたいのです。
 スキーを縦にしてこぶを乗り越えて、スピードコントロールはどうするのか。今回は詳しい説明はしませんが、吸収動作によって、ずらすことなく、つまり、摩擦抵抗なしに減速することができます。それは今日の練習でも実証されました。吸収動作で減速することが、ダイナミック・ポジショニング・ターンのもう一つのポイントです。今日の戸狩のモーグルコースは、このことを確認するのに、またとないコンディションでした。
 3日目の21日(日)、この日こそは、2日がかりで築き上げた巨大ランディングのエア台を飛ぼうと思っていましたが、あいにく強風のため上部リフトが運休となりました。エア台のあるゲレンデに行くことができません。リフトが止まっているときは、そのゲレンデ内に立ち入ることができませんので、歩いて登ってエア練習だけするというわけにもいきません。ランディングが富士山のようになったエア台を下から見上げながら、下のゲレンデで地味にフラットの練習をしました。

 エア台を作ったゲレンデの下に、広い緩斜面があります。下地は雨で濡れた雪と湿った雪で、凍ってかちかちのアイスバーンになっています。上にうっすらと夜中に降った新雪が乗っていますが、ところどころはがれてアイスバーンが露出していまし。絶好のコンディションです。こういうバーンだと、普通のターンと、ダイナミック・ポジショニング・ターンの違いがよくわかります。

 カービングターンでスキーが向きを変えるのは、作用反作用の法則によります。スキーの進行方向と垂直に力を加えると(作用)、雪面がスキーを押し返します(反作用)。まっすぐに滑っているときに、右向きの力を加えると、スキーは左に向きを変え、左向きの力を加えるとスキーは右に向きを変えます。左斜め下に向かって斜滑降しているときに、体の右側に向かってスキーを踏み込むと、スキーはどんどん左上に向きを変えながら進み、しまいには、左の真横よりも上に向かって進みます。これがカービングターンです。

 しかし、ハイスピードでアイスバーンを滑ってみるとわかりますが、いくらエッジを立てたところで、スキーが横滑りしてしまいます。アイスバーンの上にうっすらと乗っているやわらかい新雪は削られてしまい、アイスバーンにはエッジが食い込まないので、スキーが斜めになったまま下方向(谷方向)に滑っていったり、テールが流れて回りすぎてしまったりします。

 包丁のようにエッジを研いだら、あるいは、フィギュアスケートのようなエッジなら、アイスバーンでもターンできるかもしれません。しかし、それでも、アイスバーンの上に薄く乗っている軟らかい新雪は削られて、やっぱりスキーは横滑りしてしまいます。

 なぜ、横滑りしてしまうのか。ターン弧をフォールラインの両側に交互に描かれた半円とすると、スキーがフォールラインの外に向かう最初の4分の1円(ターンの前半)ではなく、外に出たスキーがフォールラインに戻る終わりの4分の1円(ターンの後半)で、踏ん張っているからです。円の外側に向かってスキーを踏み込むことによってスキーの向きが変わるのですが、ターンの後半では、円の外側が下向き(谷方向)になるので、スキーを踏ん張ると、スキーヤーの進行を止めるようにスキーでブレーキをかけることになります。スピードが上がり、スキーヤーが強く踏めば踏むほど、谷方向への力が強くなり、スキーが横滑りしやすくなるわけです。

 では、どうすれば横滑りしないのか。上の動作とは逆に、谷方向への力を弱くすればいいはずです。しかし、スキーを踏み込んで加圧しなけいことにはターンができないので、ターンの後半ではなく、ターンの前半でスキーに垂直方向の力を加えます。ターンの前半で加圧し(力を入れる)、ターンの後半で減圧する(力を抜く)というのが、どんな雪面状況でも横滑りをしないダイナミック・ポジショニング・ターンの原理です。

 以前、ダイナミック・ポジショニング・ターンについて、「すねにプレッシャーを与えてはいけない」とか、「ポジションを意図的に後ろにしたり、高くしたりする」と、書いたことがありますが、これは誤りでした。

 脚の曲げ伸ばしを使いながら、重心の位置を常に前へ前へと出して、ポジションが遅れないようにします。体が浮いたり、後傾になったりせず、体が常にスキーよりも前にあり、スキーを引きずって滑るような感じになるので、すねには常にプレッシャーがかかります。

 アイスバーンの広い緩斜面は、ダイナミック・ポジショニング・ターンの原理を身をもって確かめるのに絶好でした。力を加えるタイミングや、力の抜き方をいろいろと試して、ダイナミック・ポジショニング・ターンの理解を深めることができたと思います。
 今日は疲れました。

 さきほど右の太ももがけいれんしました。どうすることもできず、ただじっと耐えるしかありません。さらに、立ち上がろうとしたときに、右膝関節がはずれかけました。ときどきあります。一瞬ですが、ものすごく痛いので、二度としたくないと思いますが、何の前触れもなく、突然、襲ってきます。脛骨(すねの骨)が外向きに(右脚の場合だと右回り)、大腿骨(太ももの骨)が内向きに(右脚の場合だと左回り)、ねじれていたのです。

 もとをたどれば、トランポリンから下りるときに、右脚をばねのところに突っ込んで、右膝内側側副靭帯の損傷(部分断裂)と半月板損傷を受けたことに原因があります。右膝のねじれを防ぐ働きをするこの二つの組織が損傷を受けたことにより、ねじれが生じやすくなりました。内側側副靭帯は膝が横折れするのを防ぐためのものですが、右脚をばねに突っ込んだまま、上体が空中に投げ出されたことにより、過剰な横向きの力が加わって損傷しました。一度緩んだ内側側副靭帯が修復されるとき、ねじれたままで引っ付いた可能性も考えられます。右脚を利き足とする長年の習慣と、それにも起因するスキー操作の癖が、ねじれに拍車をかけました。

 その結果、右膝の関節軟骨がすり減って、変形性関節症になりました。脛骨と大腿骨の継ぎ目の関節軟骨がすり減っているので、脛骨と大腿骨のかみ合わせが悪くなっています。関節軟骨は靭帯よりも修復に時間がかかります。ねじれた状態で力を加え続けると、修復する速度よりもすり減る速度の方が大きく、いつまでたっても修復されないどころか、減る一方です。そのままでは、膝がぐらぐらですので、膝を支えている関節周りの軟部組織(筋肉など)に痛みが出ます。これが変形性関節症です。しかし、ねじれのない状態で大腿四頭筋などを鍛えることによって、関節軟骨の減少を食い止め、逆に修復をうながすことができるようです。

 今、ぼくの膝はねじれやすいのを筋力で補って、まっすぐにしています。立ち上がろうと膝を伸ばすときなどに、膝周りの筋肉が疲れて働きにくくなっていると、脛骨と大腿骨がねじれたままで動かされるので痛むのです。

 使いすぎてベンド(反り)のなくなったスキーみたいなもんですが、元に戻らないスキーと違って、人間の体はトレーニングすることによって元に戻せます。ぼくの場合は、蒲田和芳さん(広島国際大学教授)が提唱するリアラインを知り、大阪のパーソナルトレーニング施設PCPで栗田興司さんに指導してもらって、以前にもまして、体が動かしやすくなりました。リアラインは、故障のあるなしにかかわらず、モーグルスキーヤーのように、関節運動を多用するアスリートがトレーニングに取り入れるべきだと、ぼくは考えています。

 さて、今日は、雨を覚悟していましたが、曇り空で、雪が舞う天候でした。昨日、急斜面に作りかけた巨大なランディングバーンのエア台は、雪のかたまりが、がれきの山のように積み上げられたまま、かちかちに固まっていました。仕方がありません。しばらく放置することにしました。

 その間、上の方にスタート台をつくろうとして、雪を寄せているうち、スタート台のはずがだんだんエア台のようになってきたので、ついでにエア台にしました。、26度くらいの緩い斜面だったので、あっという間です。20分くらいでエア台が完成してしまいました。


 ぼくが使っているのは、長柄の雪かき用のアルミスコップで、普通のアルミスコップよりも42cm長く、全長が150cmあります。ネットで3650円で買ったのですが、前に使っていた普通のアルミスコップに比べて作業速度が倍です。

 ただし、ランディングに雪を盛るのはやめました。そこまでしていると、エア台作成だけで3日間の貴重な休みがつぶれてしまいます。何本か飛ぶと、ランディングにうっすらとあった新雪の層が締められて、硬くなりました。膝に衝撃がきます。そうなると、そおっと飛ぼうとして、よけいに衝撃を受けるという悪循環に陥ります。

 トランポリンでは、演技を終えるとき、最後に、もう飛ばないように、チェックと言って、トランポリンの反発を吸収する動作をします。沈み込んだトランポリンのベッドが上がるときに、同時に膝を引き上げることによって、ベッドが体を持ち上げようとする力を打ち消します。オリンピックの映像などを見ていると、トップ選手は7~8mのジャンプをしていても、一瞬で全く弾むことなしに、ぴたりと止まります。

 一般人はこれがなかなかできません。ぼくがつかんだコツがあります。高く飛んで着床するとき、思い切り足を踏み込むのです。思い切りです。渾身の力で踏み込みます。そんなことをしたら高くジャンプしそうですが、さにあらず、ぴたりと静止できます。

 モーグルのエアの着地にも、踏み込むという動作が必要なはずです。そおっと下りようとすると、棒立ちで着地することになり、膝で衝撃をもろに受け、それこそ関節軟骨が減ってしまいます。着地の際、しっかり踏み込むことによって、股関節、膝関節が曲がって、衝撃を吸収することができるはずです。

 でも、ただでさえ硬くなっているランディングバーンを思い切り踏んだりしたら、どんなことになるかと恐ろしくて、ついつい逃げ腰で着地してしまいます。そうなると、膝に衝撃を受けたうえに、ポジションが遅れて、次のターンに入れません。

 エア練習など、モーグルの練習はもちろん技術を習得するための練習ですが、成否のかなりの部分は、警戒心とか恐怖心という、精神的なバリアを打ち破ることができるかどうかにかかっています。怖い物知らずの子供の成長は早いですが、何度も怖い目に遭っていて、失敗するのが嫌な大人はなかなか上達できません。

 昨日、苦労して雪のかたまりをランディングに積み上げた急斜面のエア台は、なんとか整備できました。ただし、アプローチががっくんと落ち込んでいて、まるでハーフパイプでドロップインするようです。50度はあろうかというこの急斜面を落下してエア台に突っ込んだら、はたしてどんなことになるのか。いくら理論的な裏打ちがあっても、いざ絶壁を目の前にすると、恐怖心が消えません。でも、ここでやめたら、せっかく作った苦労が水の泡です。

 とりあえず、低いところから入って、小さくジャンプ。リップ(キッカーの先端)から5cmくらい上がって、すぐに落下しました。リップと本来の斜面の落差は背丈くらいはありますが、雪が積み上げてあるので大丈夫。落差10cmで着地しました。あっと言う間の着地なので、飛んだ気がしません。案ずるより生むがやすしですね。

 明日は、上部の緩い斜面のエア台(第1エア)で、着地で踏み込むことを練習し、下部の急斜面のエア台(第2エア)で、ポジションを前にしてアプローチにドロップインする練習をします。
 モーグルのトップ選手が次々と、けがにより、ワールドカップ戦線からの離脱を余儀なくされています。日本チームは今シーズン、出だし好調で、表彰台、入賞が続いていたのに残念です。こういうときこそ、われわれ末端選手が頑張って、底上げしないといけませんね。

 今日は平日、金曜日ですが、八方尾根スキー場に「こそ練」にやってきました。ごぞんじと思いますが、「こそ練」とは、専門用語で「こっそり練習すること」を言います。似た言葉で、「じみ練」というのもあります。「じみへん」ことジミ・ヘンドリックスではありません。「地味な練習」です。今回はまさに「地味練」で「こそ練」。合わせて「地味こそ練」です。

 何を地味にこそこそ練習するかというと、先月の松之山温泉スキー場でのB級公認大会でできなかったことです。スタートから思いきってポジションを前にして、こぶを乗り越えて、第1エアに入ることができませんでした。その結果、こぶの向こう側でスキーの向きを変えなければいけないのに、こぶの手前でスキーの向きを変えてしまい、自分が考えているターンのリズムをつかむことができませんでした。

 やっぱり第1エアの手前の30度の斜面で、こぶに向かってまっすぐ前に突っ込むのは怖いのです。ただ滑るだけならいいのですが、第1エアを飛んで、着地してミドルセクションにスムーズに入らなければなりません。第1エアまでを抑えていかないと、飛びすぎてしまい、ミドルセクションで暴走してしまうのではないかという恐怖が先に立ちます。

 いや、怖いというよりも、暴走を警戒して、スピードコントロールをしようとするあまり、第1エアの手前で体が起きて、腰が引けてしまうのです。

 そこで、とにかく、第1エアまでを実際の大会のコースよりさらに急斜面にして、しかも、実際よりも大きくて深くて詰まったこぶをつくって、失敗を恐れずに突っ込む練習をしようというわけです。エアの着地後も、やはり、ミドルセクションに向かって、ポジションを前にしながら突っ込まなければならないので、それも練習します。

 もともと、自分でエア台をつくって練習するようになったのは、この課題を克服するためでした。もう何年も同じことをやっていますが、なかなかできません。でも、諦めずにやります。

 しかし、冒頭に記したように、けがをするわけにはいきません。また、膝に負担がかかる着地の衝撃も軽減したいものです。そのために、「世界一安全なエア台」をつくろうと考えました。

 「世界一安全なエア台」とは。ランディングバーンがキッカーよりも高くなっていて、放物線を描いているエア台です。

 ノルディックジャンプでは130m以上もの距離を飛びますが、ジャンパーの体は常にランディングバーンの約2m上にあるそうです。ジャンパーが描く放物線と、ランディングバーンの放物線が平行になっているのです。ジャンパーとランディングバーンの落差が常に2mくらいしかなく、どこで着地しても、ジャンパーが受ける着地の衝撃は2m分だけです。130mも飛行していても、スキーを履いて2mの高さから斜面に落ちるときの衝撃しか受けないのです。

 これです。これこそがぼくが目指すものです。

 キッカーよりランディングの方が高くて、モーグルスキーヤーとランディングの落差が常に20cmくらいというエア台をつくりたいのです。これだと、どんなに高く飛んでもほとんど衝撃を受けないはずです。万一、失敗をして、体勢を崩しても、落差20cmなら、けがをすることはないでしょう。

 でも、宙返りをしたら、スキーがひっかかるのではないか、という疑問がわくかもしれません。大丈夫です。宙返りというのは、腰を中心として頭の位置と足の位置が入れ替わるだけですから、アップライト(直立)のエアで足が引っかからなければ、宙返りをしても、頭がつかえたりはしません。

 ただし、タイミングをうまく合わせられなかった場合は、このかぎりではありません。早がけをした場合、ランディングの高くなったところで頭をこすることになるでしょう。でも、落差がないので、けがをする確率はあまりありません。早がけ防止にもいいのではないでしょうか。

 とまあ、道中、こんなことを考えながら、車を運転して、ゲレンデに着いたのが午後2時。天気がよくて、暑そうだったので、スキーウェアを脱いで、グローブも脱いで、スコップをふるい始めると、雪が鮮血に染まっています。スキーのエッジかスコップのへりに当たったのでしょうか、左手の中指が切れて、血がにじんでいました。

 止血するため、左手の中指を右手できつく握り、心臓より高くに挙げました。止まったかなと思って、再びスコップを持つと、また血が流れ始めました。再び止血。でも、今度は止まりません。先ほどまで日がさして暖かかったのに、曇って気温が下がってきました。血液って、冷えていると、全然固まらないんですね。体温くらいの温度で固まって傷口をふさぐようになっているようです。このままでは、血がぽたぽたと落ちて、あたりじゅう、血だらけになってしまいます。雪の中なのでよく目立ちます。血だらけのゲレンデで滑るのは、みんな嫌でしょうね。

 いつもは、トランポリンの練習で擦りむいたときなどに備えて、傷テープを携行しているのですが、あいにくゲレンデには持って来ていません。急ぎ、先ほど、エア練習の届けに行ったばかりのパトロール本部に駆け込んで、専門家に傷テープで応急手当をしてもらいました。かたじけない。

 少なくなった残り時間、「世界一安全なエア台」を目指して、スコップをふるいましたが、軟らかい新雪の層が薄く、先日の土砂降りでとけて凍った下地がすぐに顔を出しました。難儀です。

 「地味こそ練」第2日に続く。

 今日は新雪が積もった後、晴れて絶好のコンディションでした。湿り気を含んだ雪がよく締まり、硬くていい形のこぶになりました。これ以上はないという条件です。公式トレーニングのときには雪が降っていましたが、男子のレースが始まるころには日が差して、視界も良好です。ぼくの滑走順は12番でした。スタート台から見下ろすコースは絶景です。そのコースを独り占めできるのは大会に出場する者だけに与えられる特権です。幸福感に満たされます。

 しかし、レースはやはり、がっくりくる結果に終わりました。エアは一応、二つとも飛んで、不十分ながら技も入れて、ラインを大きく外すことなくゴールしました。でも、滑っている途中も、ゴールした後も、「何だこれは」と自分でも首をかしげたくなる滑りでした。またも落ち込んで、無口になってしまいました。

 たぶん、上から下までずっと横滑りしていたと思います。両スキーはばらばらで、脚も開いていたでしょう。映像を見たわけではないので確かではありませんが、体が左右に動きながら滑っていたかもしれません。ターン点はほとんどありませんでした。全体の順位は65人中49位ですが、転倒しなかった選手の中では最下位ですね。順位はともかく、自分の思う滑りが全くできなかったことが悔しいです。

 斜度がきついわけではありません。こぶの形も1日目より2日目の方がよくなって、いいコースでした。エア台も難しくありません。視界も良好。これ以上ない条件の中で、なぜ思うように滑れないのか。

 結局、こぶに弾かれまいとして、スタートでびびっているのですね。こぶは踏みつぶすぐらいのつもりで乗り越えていかないといけないのに、よけて通ろうとしてしまいます。スタートして最初のこぶを乗り越えられないのです。スタートがうまくいかなければ、そのままのリズムで滑ってしまいます。ぼくはこぶが常に体の後ろにある滑りを目指していて、練習でうまく滑れたときは、そんな感じになりますが、試合では決まって、こぶが常に体の前にある感じになります。そしてスピードが出なくて、老人が杖をついて歩いているように、よろよろとしたターンになってしまいます。

 でも、今回はシーズン初戦です。たいして練習もしていないのに、大会に出られて、大会のコースを滑ることができただけでも、ありがたいことです。

 そして、今回のもう一つの収穫は、けっこう滑ったのに、膝がほとんど痛くならなかったことです。股関節が動かせていたのでしょう。実は先週の戸狩温泉スキー場と白馬八方尾根スキー場での練習の際、左膝を軽くひねって、少し痛みがありました。滑りに影響するほどではなかったのですが、その痛みもなくなって、心おきなく練習することができるようになりました。
 誰も期待していなかったとは思いますが、SAJ公認埼玉県松之山温泉モーグル競技会の第1戦が終わりました。いつものことと言えばいつものことですが、結果は無惨でした。今回はいつにも増して落ち込みました。あまりにもみじめで、しばらく誰とも口をきくことができませんでした。普通なら、さすがにもうモーグルをやめるでしょうね。でも、悪い癖で、もう立ち直ってしまいました。

 思い出すのも嫌なレースになりましたが、次につなげるために反省を書いておきます。膝が動きませんでした。でも、年のせいではないでしょう。まだ、体は動くと思います。動かせていないだけではないかと思います。

 公式練習が始まる前までは晴天だったのですが、公式練習のころから雪が激しく降り始めました。結局、コースインスペクション(下見)の後の公式練習は1本しか滑れませんでしたが、一応、上から下まで通すことができました。

 とにかく雪が降って寒いので、レストハウスで体を温めてスタート順が来るのを待ちました。下着の膝のところがべしょべしょに濡れて冷たくなっています。スキーウェアは水は通さないけれども水蒸気は逃がすというゴアテックスが使われています。穴が開いているわけでもないのに、どうして水が入るのかと考えました。リフトに乗っているときに太ももの上に雪がたまります。湿った雪なので、さらっと落ちずに引っ付きます。それが体温で溶けて水滴になります。水滴がゴアテックスの外側を覆っているナイロン繊維のすき間をふさぐので、体から出たウェアの中の水蒸気が外に出られなくなります。外に抜けない水蒸気はウェアの裏側に触れると外気で冷やされて結露します。その水滴を膝のあたりの下着が吸い取って濡れているのです。それに気づいたので、次からはリフトに乗るときに、膝のところにリュックサックを置いて、雪がかからないようにしました。

 さて本番です。シーズン初めの大会は緊張します。口の中はからから。いい年をして、なぜこんなことをしているのだろうかと、いつも思います。こういうときの緊張は、英語ではnervousと言うそうです。緊張というとtensionとかstrainといった単語を思い浮かべますが、日本語で「めっちゃ緊張する」などと言うときの緊張は、神経質という意味のnervousで表します。世界考古学会議で、次の開催国を決める選挙があったのですが、一緒にいた米国人学者が、ぼくに対して「緊張しますね」と言うとき、very nervous!と表現していました。

 話は戻って、久しぶりに大会に出ることができたうれしさで、ややハイテンションで、はしゃぎぎみだったぼくも、自分の出番が近づくにつれて無口になり、スタート台では完全にvery nervousな状態です。

 今シーズンからルールが変わり、スタートのコールがかかってから10秒以内にスタートしないと失格だそうです。とにかくスタートしないことには話になりません。ポジションが遅れないよう、体の重心を前に、前に。それだけをこころがけてスタートしました。一こぶ目で弾かれ、スキーが横を向いて、後傾になりました。後は階段を落ちるようなものです。こぶの間隔は階段よりは広いので、だだん、だだん、だだん、だだんという感じで、5こぶくらいを飛び降りて、なんとか第1エアまでたどり着き、ジャンプもしましたが、タイミングが合っていないので、体が持ち上がらず、抜けたエアになりました。記録はスプレッドイーグルですが、単に脚が緩んで開いていたのをおまけして点数を付けてもらっただけです。

 ミドルセクションも後傾のまま、脚が開いて、ほとんど棒立ちになったまま、ところどころラインを外しながら第2エアの手前までいきましたが、そこでコースアウト。旗門の外は通らなかったので、なんとかゴールできましたが、第2エアを飛べず、ターン点もありませんでした。初めて緩斜面のこぶを滑った子供が、プルークボーゲンで後傾になったまま暴走した感じと言えばいいでしょうか。

 これではモーグルをしているとは言えません。見ていた人は、何をしているのかと、あきれ果てたことでしょう。せっかく温かく迎えてもらっている大会関係者からも、次からはご遠慮くださいと言われかねません。いつものことと言えばいつものことですが、落ち込みます。

 原因は何でしょう。こぶを吸収するタイミングがスタートから合っていなかったのですね。というより、吸収動作ができていませんでした。公式練習のときには、コースインスペクションで横滑りしてこぶの谷間が埋まってから間がないので、それほどこぶが大きくなっていなかったのです。その後、女子のレースがあり、男子のレースが始まって、ぼくは35番スタートでした。降り続く雪も適度な湿り気があって、こぶが成長して、パックされていました。公式練習のときのような浅いこぶならともかく、あいまいな吸収動作では、すぐに弾かれてしまいます。

 明日の第2戦に向けた今日の公式練習では、吸収のタイミングを意識して滑ってみました。制限時間内に滑った2本のうち、2本目は試合のときと同じくらい深さのこぶになっていましたが、ある程度の距離は吸収できたように思います。

 こぶに対してスキーをまっすぐに向けて滑るという原則は崩したくありません。それをしようと思えば、しっかりと吸収動作をしなければなりません。カービングと吸収動作をいかに両立させるか。今まで、ずっとこの問題に取り組んできて、試合の結果を見ると、毎回、毎回、全く進歩がありません。あるいは年齢とともに後退しているように見えるかもしれません。

 しかし、いったいいつになったらできるのだろうかと思っていたトランポリンのクレイドル(半分ひねり背落ちの連続、抱え型、膝割れなし、下駄なし)も、考えに考え抜いて、諦めずに地道に練習を重ねた結果、なんとか形になってきました。

 モーグルのターンも、可能性があるかぎり、考えに考え抜いて、練習を続けようと思います。残された問題は、脚の曲げ伸ばしのタイミングだけに絞られてきたような気がしています。幸い、体はまだ動かせます。今日は危険を感じることは一つもなかったし、膝もほとんど痛くありませんでした。へたくそな結果に終わっても、もう少しの間、大目に見てください。
 今季のSAJ公認大会の初戦、第16回埼玉県松之山温泉モーグル競技会に出場するため、新潟県十日町の松之山温泉スキー場にやってきました。ランキング下位の登録選手が出場するB級公認大会が16日(土)、17日(日)と2戦続けてあります。今日15日(金)は第1戦の公式練習と開会式がありました。
 自宅から松之山まで7時間かかります。遠いので以前は夜行列車で現地入りしていましたが、駅から宿まで、宿からスキー場までの送り迎えをしてもらえる宿が少ないこともあって、最近は車を休憩しながら運転しています。
 そうすると、ほとんど睡眠時間なしで午前3時ごろに自宅を出発し、睡眠不足で長時間運転して大会前日の公式練習に臨むことになります。若ければそんなことはないのかもしれませんが、最近は車に長時間乗っていると膝が固まってしまいます。しかも、アクセルとブレーキを操作する右足だけを動かして、左足は遊ばせたままなので、その癖がしばらく抜けず、スキー操作にも影響します。右足荷重の左ターンだけができて、本来、左足に荷重しなければならない右ターンで、左足が遊んだままということになりがちです。自分の力でしっかり荷重しないと、うまくターンできないだけでなく、雪面の起伏でスキーが予期せぬ方向に動かされて、膝をひねったりすることにもなります。
 そこで今回は睡眠をとって午前7時に自宅を出発し、大会前日の公式練習は見送ることにしました。公式練習は出場選手に義務づけられていて、必ず参加しなければなりませんが、大会当日にもあるので、それだけ出ます。当日は試合開始前にコースインスペクション(下見)が15分間、公式練習が30分間あります。下見を1回して、練習でスタートからゴールまで2回通せます。下見ではエア台の前後とコースのこぶのピッチ変化、斜度変化を見るのですが、B級公認では、エア台の前後で横滑りを入れてスピードコントロールする選手が多いので、下見のときとはエア台の手前の最後のこぶの位置や、ランディングの後の最初のこぶの位置が変わってしまうことがままあります。どちらにしてもコースの形状が変わってしまうので、公式練習は、棒ジャンで1回、技を入れて1回、エアを飛んでおけばいいのではないかと思います。ぼくの場合、それ以上滑って、膝が動かなくなることの方が心配です。2連戦なので、練習をほどほどにしておかないと、最後までもちません。
 というわけで、今日は全く滑らずじまいです。
 公式練習の後にあった開会式では、久しぶりにいろんな人と会いました。中でも久しぶりだったのが、原大虎さんです。長野五輪の代表で、現在はスカパー!のJsportsで放送されるワールドカップ・モーグルの解説でおなじみですが、ぼくにとってはモーグルを始めてまもないころ、びわ湖バレイスキー場でレッスンを受けた恩師です。彼のレッスンを受けて、ターンの基本を教えてもらっていなければ、今ごろモーグルをしていなかったかもしれません。2001年と2002年にレッスンを受けてから、14年ぶりの再会です。
 明日はとにかく、今日の道中も安全運転でしたが、けがをせずに、最後まで滑りきることです。最近の練習では接雪とコントロールを重視しているので、落ち着いて自分の滑りをすれば、けがをすることはないと思います。問題は、寒いと硬くなりがちな膝が思うように動いてくれるかどうかですね。

 3連休最終日は白馬八方尾根スキー場で作りかけだったエア台を直して、エア練習をしました。

 あまり人が立ち入らないところなので、ふかふかの雪が積もって、ランディングは絶好だったのですが、踏んでも踏んでも雪が固まらず、キッカーがすぐに崩れてしまいます。いつもはスキーヤーが滑って、ある程度パックされた雪をブロック状にはがして積み上げるのですが、雪がほとんど粉の状態なので、自力で固めなければなりません。気温が上がれば、雪がじんわりととけて水分を含み、固まりやすくなりますが、小雪が降り続いて、日がささず、終日、エア台作成者泣かせの天候でした。

 しかたがないので、折り畳み式の水入れにトイレで水をくんで、キッカーにまきました。すぐに凍って固まるはずがなかなか固まりません。それもそのはず、水だと思ったのは湯でした。以前は水だったと思いますが、トイレが改装されて、手を洗うのに湯が出るようになったんですね。

 アプローチでポジションを前にすることを意識して飛びましたが、斜度が30度くらいあるので、なかなかうまくいきません。どうしてもキッカーに入るところでポジションが後ろになったり、踏みきりが早くなったりしてしまいます。ポジションが後ろで着地すると、簡単には止まれません。急斜面を登るのは大変です。体は鍛えられるかもしれませんが、疲れました。とうとうまともなジャンプは1本もできず、技を入れるところまでいきませんでした。

 ターンも少しだけ練習しました。これがまた難儀しました。雪が軟らかくて滑りやすいのですが、新しく積もった雪が寄せられて、大きなこぶになってしまいました。こぶとこぶの間はえぐれて、アイスバーンが露出しています。

 前日のブログで、「5mピッチの大きなこぶであろうと、スキーをまっすぐに向けてこぶに入るべし」と書いたのですが、濃霧で視界が悪く、ほかにもスキーヤーがいる急斜面では、さすがにそれはできませんでした。

 しかたなく、スキーを横に向けて滑っているうち、膝にねじれが生じて、痛みが出てきました。ねじられまいとして、無意識のうちに膝の筋肉に負担を強いています。タイミングが合わずにこぶに当たったときにも、衝撃に耐えるように膝の筋肉が頑張っています。中高年の登山者が、下山するときに脚が痛くなるのと同じ理屈でしょう。

 膝の力をうまく抜くことができれば、体が自然と前に出て、ポジションの遅れが解消されるのですが、どうしても踏ん張ってしまいます。特に左脚が問題です。エアへの入りも、左ターンからと、右ターンからの両方を練習しましたが、左が外足となる右ターンで、左脚への体重の乗せ換えと脚を曲げての吸収動作がスムーズにできていません。疲れたり、難しいバーンになると、よけいに悪い癖が出てしまって、左膝に痛みが出て、動きが悪くなるという悪循環に陥ります。

 エアもターンも、脚の曲げ伸ばしをうまく使って、重心を前へ前へもっていく動作が左右均等にできるかどうかにかかっています。
 今日は3連休の白馬でのスキー練習の2日目です。八方尾根スキー場で前日に作ったエア台でエア練習をする予定でしたが、あいにく朝から強風で全リフトが止まっています。白馬五竜スキー場のリフトは動いていましたが、練習場所が八方尾根から五竜に変更になった息子さんを送っていった宿の人の話では、八方尾根から流れたお客さんであふれかえって、駐車場が満杯になり、車が行列をしているということです。午前9時半まで待ちましたが、風がいっこうにやむ気配がありません。シーズン券を買っている戸狩温泉スキー場のモーグルコースがオープンするということなので、そちらに転戦することにしました。

 白馬から戸狩までは約2時間です。午前11時半ごろに到着しました。さっそく事務所でシーズン券「とがパス」を受け取りました。

 戸狩温泉スキー場は初めてですが、正面にきれいにこぶが並んだモーグルコースが見えます。しかも、リフト沿い。迷うことなくたどり着くことができました。聞いていた通り、雪は少ないですが、きれいなラインが維持されていて、第1エア、第2エアとも大きなエア台があります。

 コースの管理者である長野県の木原初夢コーチのもと、長野県のジュニアチームであるTr-Jの選手たちが合宿練習をしていました。コースは一般に開放されていますので、あいさつをして、さっそく滑らせてもらいました。

 このゲレンデはねじれの少ない一枚バーンで、斜度はきつすぎず、緩すぎず、モーグル選手のトレーニングに最適です。モーグルコースは、斜度がきつすぎると横滑りをするスキーヤーが多くなって、だらりと間延びしたこぶになりがちです。逆に斜度が緩いと、直滑降をしてテールでスピードコントロールするスキーヤーが多くなって、いわゆる「受けこぶ」になりがちです。利用するスキーヤー次第でこぶの形はいかようにも変わります。いかに最適な斜度といっても、きれいなこぶを維持するには、けっこうな手間がかかります。この雪不足の中、FIS公認クラスのバーンを滑ることができるのは、本当にありがたいことです。

 第1エアはエアリアル台かと見まがうばかりの巨大さです。ランディングは山のように雪が盛られて、横から見るとキャニオン(峡谷)のようです。それだけ雪が盛ってあっても衝撃があるそうで、トップ選手が、ランディングにチョップ(スコップを突き刺して、固まった雪をばらすこと)を入れながら、フルツイストの練習をしていました。

 というわけで、第1エアはパスして、第2エアを飛んでみました。難しくはなかったのですが、ランディングで半端ではない衝撃を受けました。ぼくのブーツはアルペンレース用のハードブーツです。着地の衝撃をもろに受けます。ハイヒールでコンクリートの床に屋根から飛び降りたと思ってもらえばいいと思います。ランディングに雪がないわけではありませんが、薄皮まんじゅうのように薄くて、すぐ下が地面だそうです。しかも、斜度があまりないので、衝撃が下方向に分散しません。ランディングに傾斜をつけるだけの雪がありません。

 エア練習は、また、雪がたくさん積もったときにすることにして、今回は見送ることにしました。

 昨日、ターン練習の課題として挙げたのは、フラットのターンとこぶを乗り越える動作を同調させるということでした。この練習をモーグルコースですることにしました。いつも滑っている自然こぶはピッチが長いので、実際のモーグル大会のコースに近いピッチのこぶで練習する必要があります。

 その結果、タイミングが合ったときにはどうなっているかがわかりました。簡単に言うと、スキーをまっすぐ縦にしてこぶに入ればいいということです。

 ターンというのは連続的にスキーの方向を変えることですが、スキーの向きを斜めにしながらこぶに入ってはうまくいきません。スキーを回しこみながらこぶに入ってはいけないということです。スキーの先端がこぶに到達するときに、スキーがまっすぐ前を向いているようにしなければなりません。

 「スキーをまっすぐにしてこぶに入る」

 これだけを意識して滑ればうまくいくようです。スキーを回そうとか、スキーを斜めにしてこぶの向きに合わせようとか、エッジングがどうとか、よけいなことを考えるとろくなことがありません。

 もちろん、ポジションを前へ前へともっていくために、適切なタイミングで脚の曲げ伸ばしをしなければなりません。ピッチが2.5mとか3mの細かいこぶは合わせやすいのですが、5mも離れた大きなこぶにスキーをまっすぐにしたまま入るのは、かなりの度胸を必要とします。スキーをまっすぐにすれば当然のことながらスピードが出ます。弾かれはしまいかという警戒心が起きます。実際、5mも離れた大きなこぶに入るには、こぶの手前でずらさないことには、普通はこぶに弾かれます。ところが、こぶの手前でずらしを入れた途端に、ポジションが遅れ、カービングターンのリズムが狂ってしまって、スキーを縦に走らせることができなくなってしまいます。いくら5mも離れていても、スキーは縦にしてこぶに入らなければならないということです。その精神的負担さえ克服できれば、驚くほど簡単に適切なタイミングでターンを続けることができます。

 ダイナミック・ポジショニング・ターンの極意がまた一つわかりました。

 「スキーをまっすぐにしてこぶに入る」