今シーズンの初スキーは昨年末の30日、兵庫県のハチ北高原スキー場でした。雪不足に悩まされた昨シーズンと違って、雪はありますが、コロナ禍は収まりそうになく、全員がスキー場内にいる間はマスクを着用しなければなりません。ぼくも駐車場に着いて車を下りたときから、帰りに車に乗り込むまで、ネックウォーマーで顔を下半分をすっぽりと覆ったままでした。
中国で新型コロナウイルス感染症が発生してから1年になりますが、いまだに、全員がいつでもどこでもマスクをしているのは全体主義のようで気持ちが悪い、免疫力を高めたら感染してもたいしたことはないから感染防止に神経質になる必要はない、PCR検査をしたら感染者が増えるのは当たり前なのに大騒ぎしすぎだといった意見を聞きます。信頼できる情報をもとに判断すれば、こういう結論にはならないと思うので、最近の毎日新聞の記事の中からいくつか、参考になる記事を抜粋して紹介します。
まず、海原純子さん(心療内科医)の「新・心のサプリ」(2020年12月20日日曜版)。
https://mainichi.jp/articles/20201220/ddv/010/070/004000c?pid=14509
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新型コロナウイルス感染拡大第3波でさまざまな人間関係のトラブルが起こり、気持ちが落ち込んだり仕事への意欲が低下したりした方から相談をうけることが増えた。
そこで、こうしたトラブルの背景にあるのは一体何なのだろう、と考えてきた時に、みえてきたひとつの要因に気がついた。
トラブルのひとつひとつは、差別やハラスメントであり、立場や環境の違いがあるのだが、もっと別の視点でとらえてみると、「アップデートの差」があるように思えるのだ。
私はアメリカの医学ジャーナルを自分の専門分野にあわせて3誌ほどインターネット登録しているのだが、新型コロナウイルス感染症に関しての研究は、毎日定期的に新しい論文が送られてくる。
新型コロナウイルスに関する研究というのは、それくらいのスピードで連日アップデートされている。だから、私たちが共有して持っていたい知識もできるだけ多くの人々がアップデートしてほしいと思う。
マイクロ飛沫と飛沫の違いというのは今年の初めごろにはあまり注目されていなかった。だから、屋外バーベキューでクラスターが発生したのだ。いつも情報をアップデートしていれば、知識の差によるトラブルも激減するだろう。
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流行の初期に、感染者の8割は軽症と言われ、免疫力を高めていれば感染しても重症化しないという情報を得たまま、その後明らかになった新型コロナウイルス感染症のやっかいさに耳をふさいでいるから、マスクをしなくてもよいという判断になるのでしょうか。
次に青野由利さんの「土記」「変異ウイルスの警告」(2020年12月26日)
https://mainichi.jp/articles/20201226/ddm/002/070/089000c
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本当にこのウイルスはやっかいで、意地が悪い。そう思い知らされたこの1年だ。
武漢の感染拡大は「無症候の人からの感染も背景にあるのではないか」。感染症対策の専門家、押谷仁さんから聞いたのが1月末。その性質がここまで世界を翻弄(ほんろう)することになろうとは。不覚にも当時は想像できなかった。
しかも、さまざまな角度から現代社会の弱点を突いてくる。
軽症で済む若い世代が無意識にウイルスを運ぶ。繁華街を中心に見えないクラスターがつながる。その先に重症化しやすい人たちが集う介護施設や病院がある。高齢者が集団で暮らすようになった社会の特徴を、ウイルスがあぶり出しているようでもある。
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新型コロナウイルスがやっかいなのは、無症状の人が感染を拡大するということです。よくインフルエンザが新型コロナウイルスよりも死者数が多いと引き合いに出されますが、インフルエンザは感染者が高熱などの症状を発することがほとんどなので、かかった人がいたら「会社に出てこられたらみんなが迷惑するからしばらく会社には出てくるな」と言って隔離します。また、生涯免疫を獲得している人は新型でないかぎりはかからないので、高齢になるほど発症リスクが低くなるということもあるかもしれません。
新型コロナウイルスは、毒性は強くはないけれども感染力が強いので、抵抗力のある健康な人は感染していても気づかず、文字通り、ウイルスのキャリア(carrier運び屋)となって、高齢者などの抵抗力のない人に感染を広げます。これがやっかいなところです。
ぼくの場合、健康で体力もあるので、感染しても軽症ですむかもしれません。一緒に暮らしている92歳の母はどうでしょう。週に2日のデイサービスと、月に3回くらいの3~4日間のショートステイで老人保健施設を利用しています。万一、母が新型コロナウイルスにかかって亡くなっても、年が年なので、最後は何かの病気で死ぬのだからと諦めがつきますが、施設は大迷惑です。
高齢者クラスターが発生する可能性もあり、閉鎖ということになると、他のお年寄りが施設を利用できなくなり、その家族も困ります。自分が大丈夫だからといって、マスクなしで大丈夫とはとても言えません。
マスク不要論の根底にあるのは、マスク着用を全体主義と批判していることからもわかるように、個人主義や自由主義かもしれません。
「コロナで変わる世界」第2部パンでミックと社会[3]米「自由」か「規制」か(2021年1月5日)
https://mainichi.jp/articles/20210105/ddm/001/040/087000c
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(ミシガン州による営業禁止令に反発して理髪店の営業を再開した)マンキーさんはこう強調する。「車のシートベルトを考えてほしい。着用せずに事故を起こしたらケガをするのは自分だ。誰も傷つけない。重要なのは着用するかしないかを選ぶのは自分だということだ。それがこの国では最も尊いことだ」
「新型コロナは言われているほど深刻ではない」と主張するマンキーさんは、自分が感染すれば他人にうつすリスクがあるという科学的な根拠を軽んじている。だが、公衆衛生と個人の自由をてんびんにのせた時、どちらが優先されるべきなのかは「重要な問題」と考える米国人は多い。
保守派が圧倒的に多い地域では、マスク着用は「個人の選択に委ねられるべきだ」という意見が根強い。こうした人々は、個人の生活に政府が干渉することを極端に嫌う傾向にある。個人の自由を重んじてきた米国で、感染症対策の徹底は容易ではない。ある米政府幹部は「自由を最大限に尊重することが米国の強みのはずだった。だが、その強みが弱点になることを示してしまった」と指摘する。
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銃による悲惨な事件が続発しても、いっこうに銃規制が進まない米国ならそうかもしれないと思わせる話です。
国立病院機構仙台医療センターの西村秀一・ウイルスセンター長によると、冬場は感染が拡大しやすいだけでなく、重症化のリスクも高まるそうです。空気感染が起きやすくなるので、「3密」回避と正しいマスクの着用が必要だということです。
「コロナ 危険増す冬場に注意を」(2021年1月5日)
https://mainichi.jp/articles/20210105/ddm/013/040/016000c
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せきや呼気に伴って口から出てくる粒子は、たんぱく質などの物質や水分を含んでいます。空気中に浮遊するこれらの粒子を「エアロゾル」と言いますが、乾燥すると粒子の大きさが小さくなっていきます。夏は高温多湿のため乾燥が遅く、粒子が大きいまま浮遊しているため、体内に取り込まれにくかったり、鼻や喉など上気道でとどまったりすることが多い。その場合は感染しても、鼻風邪程度や無症状で終わる可能性があります。一方、冬は湿度が低く、乾燥が早いため、短時間で粒子が小さくなる。エアロゾルがただよう範囲が広くなり感染しやすくなる上、小さいため肺の奥まで入っていきやすい。そうすると肺で病巣を広げ、重症化をもたらす可能性が高くなるのです。
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