道化師の蝶。 | Stage Club Company.

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2001年に旗揚げしましたステージ倶楽部カンパニー(通称:scc)が、今年で10年目に突入しましたので、もっともっと皆さんにsccを知ってもらい、好きになっていただいちゃいましょう!!ということで、ブログを開設しました☆


おはようございますっ、足立美帆です!


今日は久々に新しい感覚を味わえた本をご紹介したいなと。
確か14…6回?の芥川賞W受賞作の片方です。

『道化師の蝶』円城塔。


話の内容は申し訳ないんですが説明出来る程、未だ噛み砕けて居ないので割愛させて頂きます。
なんと言うか、言葉の美しさを大事にした絵画的な小説です。本当に美しい。
蝶を追い掛けて1ミリづつ狭まる螺旋階段を静かに降りて行くような。…と、友人に話すとキャンベルさんが『螺旋階段を登る』とコメントして居たと教えてくれました。
いやいや。
あくまでも私の個人的意見ですが、下るんです。この話は絶対。下らなければいけない。
何故ならばの答えは在るけれど押し付けになってしまうから、これも割愛。
とにかくそんな感覚にぞくりとしました。

文章は言葉のチョイスや並び、運び方に限らず、何か手触りや匂いや雰囲気やそんなものがあります。
道化師の蝶は文章がとても数学的。
理科の実験レポートで絵を描く機会在りませんでしたか?
注意点は一つ。
美術じゃ在るまいし細かな線を描かず、実線でハッキリと。
まさにそれ。
でも凄く丁寧で柔らかくB2の鉛筆で描いて居るような。
モザイクアートってあるじゃないですか?
この人の文字を顕微鏡で見たら、数字で出来て居ると思う。

実際に彼は東大出身の理系らしいです。
これも一つのスタイルとして全然良い。凄く良い。
けれど彼がもし、文学的な勉強を始め書いた小説が出たなら、もうそれはとてもとにかく凄いと思う。本当に。
愛しい作家の一人に仲間入りしました円城塔さん。
機会が在りましたら是非。




最近の小説は暗い。
今年の芥川賞受賞作、冥土めぐりもそう。
リアルで静かなものを、より読み安くそしてこの今の時代のこの今の生き方を反省しなさいと重くのし掛かる小説達。
違う違う。
だから避けて居たけれど、これは、蝶は、深く遠く何かを囁く。
それは静かだとかそう言うものじゃない。不思議な在る種の何かが生まれる。
そんな何かこそ、大事にしなければならないと思う。
何も変わらず続いて行くんじゃなくて、続けて行くから何も変わらない。
きっと。