ロンドンでサッカー観戦をご検討されているなら | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。


私は、これまで3年ほどロンドンで過ごした経験があり、その際にロンドン近郊のサッカースタジアムをいくつか回りました。ロンドンを離れたが、ちょくちょく訪れる機会もあり、その都度サッカー観戦をしています。同じように、イングランドで試合を見てみたいという方へのご案内のようなものを記載したいと思います。

1. チケットの手配
私がロンドンに滞在していた2010年代前半では、イングランドのプロサッカークラブの公式ホームページを通じてチケットが獲得でき、凄くシンプルでした。そして、現在でもフットボールリーグ・チャンピオンシップ(イングランド2部リーグに相当)以下のチームであれば、そのやり方で獲得できると思います。

ただ、2020年以降のコロナ騒動以後、プレミアリーグではチケット獲得が非常に難しくなっているという印象を受けます。2022年3月にロンドンを訪れたときも、チケットを取ろうと思ったのですが、チケットを獲得する前にまずクラブメンバー会員(有料)になることが必須となってました。はっきり言って、かなり面倒ですし、それにチケット代がプラスされるので値段も高いです。こうなった背景はよくわかりませんが、観光でイングランドを訪れてプレミアリーグの試合を観戦するのは少し難しいかもしれません。一か八かで当日会場のチケット売場を訪れるのも手ですが、可能性は低いです。また試合当日にスタジアム周辺にいるダフ屋からのチケット購入も、チケットのにせ物を売りつけるひどい奴もいますのでやめましょう。

それでも観戦したいというのであれば、フットボールリーグ・チャンピオンシップの試合に行くというのも1つの手です。試合のレベルはプレミアリーグより下がってしまうので、2部リーグの下位のチーム同士の試合をお金を払って見に行くことはないと思いますが、上位チーム同士の試合は選手もサポーターも気合が入っているので、スタジアムの雰囲気はプレミアリーグの試合に劣りません。

私が初めてロンドンに住んだのは2011年で、その頃は購入したチケットは、郵送されてくるか、スタジアムで購入時のクレジットカードを提示して回収するというパターンがほとんどでした。ですが、2015年頃からeチケットで入場券を購入者のメールアドレスに送信するという形をとることが一般的になり始め、コロナ騒動後はスマホでチケットを提示できるようになりました。

2. スタジアムに向かう
ここからは、チケットが購入できるという前提での話になりますが、ロンドンは概ね交通の便がよく、最寄駅から10分以上かかるようなスタジアムは少ないです。当日は道路は非常に混雑するので、バスを使うメリットはあまりありません。電車や地下鉄をご利用ください。

ただ、ロンドンの電車は日本のものよりもはるかに遅れたり止まったりしやすく、週末は工事のために路線が運休になるケースも少なからずあります。最寄駅がいくつもあり、スタジアムに行くまでに使える路線がいくつかある場合はまだ大丈夫ですが、そうでもないところもあります。出掛けられる前に家からの路線図を頭に入れ、キックオフ1時間前に着くくらいのタイミングで家を出ると余裕が持てるでしょう。

また、試合当日はスタジアム周辺に出店が出ています。イングランドは週末の試合は基本的にデーゲームなので、食事の調達は会場ですまされたほうが楽だと思います。その場合、入場ゲート内に売店がない(もしくは売店でお酒だけしか売っていない)スタジアムもあるので、できるだけ出店で調達してしまった方がいいでしょう。

北アメリカの場合は、郊外に敷地を買い占めて人目を引くどでかいスタジアムを作るという建築方法を取ることが一般的です。ですが、イングランドの場合は歴史的に20世紀初頭にクラブチームが土地を買ってホームグラウンドを作り、その後周辺の人口や建物が増えた、というケースのほうが多い。つまり、住宅地のど真ん中にスタジアムがあるということが少なからずあり、結構迷いやすいです。出掛けられる前に必ず地図を確認しておきましょう。

最後に、ロンドンは世界の都会の中では概ね治安のいい部類に入りますが、それでも治安の悪い地域にあるスタジアムもありますのでご注意ください。まあ、試合のある日は警察官がいっぱいいるので、試合終了後にスタジアム周辺に長居しないことを意識しておけば大丈夫です。

3. スタジアムにて
ピッチ上で繰り広げられる、ダイナミックで激しいサッカー。そして、客席の熱気。日本のように応援団が統率の下で声援を送っているわけではないのですが、どこからともなく上がったチャントに周りの人達が呼応して、いつの間にかスタジアム全体が歌いだすその雰囲気は、イングランドでしか味わうことができない独特のものがあります。

反面、サポーターの人達は必ずしも品がいいとは言えない、というのが正直なところです。ちょっと気合の入ったアウェーサポーターが来ていると、ホームチームの選手を放送禁止用語で罵倒したり、そのファンを挑発したりと、もうやりたい放題です。イングランドの人からしてみれば、そもそもサッカースタジアムに品性を求めるところが野暮である、と言う感覚なのでしょう。良くも悪くも日本のスポーツファンよりは好戦的な輩が多いです。

この点を念頭に、イングランドでサッカーの試合を観戦する場合、本拠地のチームにブーイングを浴びせるようなことはしないようご注意ください。応援しているチームがアウェーの場合、心の中で応援しましょう(笑)。日本では基本的にはホームのファンとアウェーのファンがスタジアム内に交じって座っていますが、イングランドではアウェーチームのユニフォームを着ている人がアウェーサポーター席以外のところに座っていることを見ることはまずありません。アウェーユニフォームを着ているとホームサポーターのちょっとガラの悪い輩に絡まれたり、最悪暴力を振るわれたりする可能性があります。また、私の友達が、試合終了後にスタジアムの外に出て周りにたまたま相手チームのサポーターがいたにもかかわらず、それに気づかずついつい応援しているチームの応援歌を口ずさんでしまったところ、前を歩いていたいかついオヤジに難癖付けられた、と言う経験をしたと言っていました。

とはいえ、イギリスでサッカーは観客の需要が高い分入場料も高めなので、スタジアム内部は基本的には安全です。サッカー場にフーリガニズムが吹き荒れていた時代は、過去のものになったと考えてくれて差し支えありません。基本的に周囲への配慮を忘れずにいれば、いかつく見えるような人達でも危害を加えることはありません。ただ、彼等を刺激するスイッチのありかが日本の人達より若干違うということ、そして一度刺激してしまうと面倒くさいことになってしまうということを覚えておく必要はあります。

他に注意しておくべきことは、服装です。イングランドのサッカーシーズンは晩夏から春ですが、ロンドンでは冬場(11月後半から3月上旬)にかけては、日中の気温が10度前後あれば暖かい方です。ロンドンはイングランド南部なので、もう少し北の地域で見るのであればもっと寒くなります。イングランドのスタジアムはスタンドの上には屋根がしっかりかかっていますし、日本のような暴風雨になることは非常にまれなので雨にぬれる心配はあまりないのですが、やはり防寒対策はしっかりされた方がいいと思います。私はサッカーを見に行くとき、下はインナーの上にズボンをはき、上はインナー、長そでシャツ、パーカー、コートは最低でも着ていきます。寒い日はもっと着込みます。

イングランドのスタジアムは、確かにスタンドがピッチに近くて臨場感は抜群ですし、スタンドの傾斜もしっかりとついているので眺めがいいところがほとんどです。雨が多い国なので屋根もしっかりとついていて、上述のスタジアム内でのパッションも含めてイングランドならではの雰囲気を味わえます。ですが、それはメインスタンドやバックスタンドの、比較的中央寄りの位置からピッチを見渡せる位置に座った時の話です。ピッチの両端に位置する席などはピッチ側を向いていなくて結構見づらいですし、何よりも嫌なのが、屋根を支える柱が客席のど真ん中を通っているスタジアムが多いということ。後ろの方の、値段が安めの席に座ってしまうとこの柱が視界に入ってとにかく邪魔ですね。現在のイングランドのサッカー場事情を考えると、席を選ぶ余裕はそんなにないのですが、できればこういったところは避けたいところです。

4. スタジアムから帰る
試合が終わってから公共交通機関が混む、ということは日本でもよくありますが、イングランドの場合はそれに加えてサッカーサポータの品性のなさに困らされます(苦笑)。勝ったチームのサポーターは、周囲の迷惑を顧みず電車の中で大声で歌って騒いでのお祭りです。

こういったイングランドのサッカーサポーターの実情の良し悪しを述べるのは差し控えます。けしからん、と思われる方もいらっしゃると思いますし、この傍若無人さが生むエネルギーがいいんじゃないか、と感じられる方もいらっしゃるでしょう。要するに、その人の好みの問題です。イングランドサッカーの傍若無人さがどうしてもダメで、それでも何かスポーツを見たいというのであれば、ラグビーの方をお勧めします。上流階級を中心に発展したスポーツなので、応援は激しいですが挑発的ではありません。公共交通機関においても概ね品行方正です。

私が行ったことがあるところであれば個々のスタジアムに関しての詳しい情報を載せていますので、よろしければそちらをご覧ください。

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