二宮金次郎 | 沸点36℃

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他愛のない日常と歴史散策、主観

2020年12月6日「二宮金次郎」鑑賞


オッパがずっと観たいと言っていた非劇場公開作品なんですが、コロナで延期されていてやっとやっと観ることが出来ました


私は二宮金次郎(報徳)ってまんが日本むかし話に出てくるような架空の人物だとずっと思ってました(汗)し、薪を背負いながら本を読んでる姿の像からは「勤勉で親孝行の人」のイメージ、山縣有朋の時代あたりから政治利用されてたイメージ

この間亡くなられた半藤一樹さんの何かの本に、二宮金次郎像の持っている本には教育勅語の一節が刻まれているものもあったと書かれてあったので、私の中では二宮金次郎って何者?ってだけでした

学校の校庭の隅に薪を背負った金次郎の像があっても誰も、先生すら教えてはくれなかったもの


オッパは山口県生まれの横浜育ち
金次郎は小田原で生まれ育っているので、神奈川県では案外身近な存在なのかもしれない
全国に設置されている銅像の中で二宮金次郎が千体以上とダントツなんですが、その中でも出身地である神奈川県が一番多いらしいです
それからオッパのような職業の人達には、二宮金次郎の報徳思想が事業経営する上で参考になったりするんだそうですよ

二宮金次郎の映画、非劇場公開作品…なんだか教育映画みたいで気がノらなかったんですが、暮れの忙しい時にと思いながら(苦笑)観に行きました


あまり知られていない半生を描いた伝記映画…私だけが知らないのかもしれないけど、まぁ期待せずに観たんですが、素晴らしい内容でした


大人になって金次郎が何を成したのか、がメインなんですが、江戸時代後期の時代背景や藩との主従関係が丁寧に再現されていて見応えがあり、金次郎のアイディアと信念に何度もグッときましたし、その手法は今の時代にも十分通じるように思います

それから、真面目一直線な姿はまるで金次郎そのものが教材のように感じました


北関東を中心に荒廃した村々を立て直し開拓、その数は600以上にものぼるという
私の故郷の周辺も金次郎にお世話になってたんですね
捨て身で復興に関わり、国をも変える偉業を成し遂げる姿からは農政家というより、なんだろう、改革の指導者って感じ


また、聡明で気丈な嫁役の田中美里さんの演技も素晴らしかったです


他俳優陣も総じてかなりの迫力で演じられていて鬼気迫るものもありました


農村の風景も素朴なんですが美しく、ちょっと寒々しい色合いも北関東っぽさが出ていてよかったです


そういえば、ながら歩きを助長するとの理由で金次郎像が撤去する動きがありましたが、今は消えてしまった論理や精神を示しているこの作品を観たら、如何に頓珍漢な見当違いの行いだったか気が付くのではないでしょうか


新潟県村上市の小学校の金次郎像は薪を背負わず、わらじを差し出しているそうですよ
金次郎は幼少時代、病気がちの父に代わって川の堤防工事を引き受けたんだけど、一人前の仕事が出来なかったため、わらじを作り配った逸話があって、それがわらじの像のルーツなんですって
金次郎の代表的な教えとして「至誠」「勤労」「分度」「推譲」の中の「推譲」にあたるんですね


映画にはもうひとつ、福島県の相馬、飯舘、浪江地区など原発事故で被災した地域への思いも込められているそうです
あの辺りの地区は約160年前、金次郎の弟子だった富田高慶が10年20年かけて金次郎の手法で命がけで復興させたところらしいです

そういえば金次郎役の合田雅吏さん
何処かで見たなぁと思ったら


超力戦隊オーレンジャーのオーブルーだったんですね!
戦隊モノをまともに見るのはオーレンジャーが初めてで、毎週楽しく観てました~


2019年6月1日公開
映画「二宮金次郎」
監督/五十嵐匠
原作/三戸岡道夫・二宮金次郎の一生(栄光出版)
脚本/柏田道夫
出演/合田雅吏、田中美里、成田浬、他
上映時間/113分



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