本日も引き続き三石先生からの引用です
コレステロールの第二弾です
以下引用
・コレステロールを善玉・悪玉に分ける、ことの危険性。
コレステロールは、肝臓でリポタンパクというタンパク質に包まれます。宅配便のパッケージみたいな状態で血液の中を流れて、必要なところに届けられます。
このリポタンパクというパッケージには、いくつか種類があります。その中でもしばしば問題にされるのが、俗に「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLと、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLです。つまり、この「善玉」と「悪玉」は正確にいえばコレステロールそのものの種類ではなく、コレステロールを梱包したパッケージのことなのです。
LDLが肝臓から発送されてコレステロールを、必要とする組織へ運ぶのに対し、HDLは例えば、血管壁などで余ったコレステロールがあると、それを元の肝臓へ持って帰る役割を担っています。往路のLDLにはコレステロールが多いのですが、復路のHDLには少なく、代わりにレシチンが多いのです。HDLは回収した、コレステロールをLDLに戻すこともやってのけています。
そもそも血中コレステロールを目の敵にするのは、動脈硬化や心臓病などの促進因子という考え方があるからですが、LDLに対してHDLの割合が多ければ問題は生じません。
それがHDLを善玉と呼ぶ由縁ですが、LDLも、HDLも、それぞれに任務を果たすために存在していることを忘れてはいけません。必要とされるからこそ、わざわざ梱包して丁寧に運んでいるのです。
コレステロールが体にとって問題になるのは、このパッケージが壊れてしまった時です。血管の中を移動中に「活性酸素」という有害物質にぶつかると、リポタンパクが酸化されて梱包がほどけてしまうのです。活性酸素については第二章で詳しく説明しますが、とりあえずここでは、がんを含めた様々な病気や老化の原因を作り出すタチの悪い物質だと思っていてください。リポタンパクという宅配便は、活性酸素という暴走族と衝突すると、積み荷の酸化したコレステロールを血管中にばら撒いてしまうのです。
すると今度はマクロファージという掃除機のような細胞が登場して、散乱した荷物を自分の中に取り込んで片付けようとします。しかし、酸化されたリポタンパクの数が多すぎると、マクロファージの働きだけでは間に合わなくなります。そこで「助っ人役」を演じるのが、血管壁にある平滑筋の細胞です。この平滑筋細胞やマクロファージがコレステロールを取り込むことによって生じるのが、アテローム「粥状隆起」と呼ばれるものです。
アテロームは、脳梗塞の原因になる厄介ものです。その厄介ものを調べたところ、中にコレステロールがたまっていた。それで、コレステロールが目の敵にされるようになったのです。
これまでの説明でお分かりの通り、問題はコレステロールではありません。活性酸素によってリポタンパクが破壊されて、コレステロールが本来の流通経路からこぼれてしまうことが問題なのです。
コレステロール自体は必要な物質なのですから、それを減らすことを考えるより、リポタンパクが破壊されない方法か、あるいは破壊されて、ゴミになってしまったコレステロールを「体外に出す方法」を考えるべきでしょう。
「悪玉」と呼ばれるLDLも、正常に運ばれている限りは体にとって貴重な物質です。
リポタンパクを守るためには、活性酸素という悪党を退治してくれる物質を、摂取すればいいのです。そういう物質を総称して、私は「スカベンジャー、掃除屋」と呼んでいます。
詳しくは後述しますが、要は、食べ物から摂る栄養が解決の鍵を握っているのです。
では壊れてリポタンパクから、放り出されてゴミになったコレステロールは、どう処理すればいいのでしょうか。体内の不要物は、大便か尿に混じって排泄されるのが普通です。ところが水に溶けないコレステロールの場合は腎臓で処理できないため、胆汁に混じって捨てられます。
ただし、それには条件があります。レシチンという物質と一緒になった時に、コレステロールは胆汁として出て行ってくれるのです。HDLが「善玉」と呼ばれるのは、最初からこのレシチンをコレステロールと一緒に用意していることも一因です。梱包がほどけても、直ぐにレシチンがコレステロールを道連れにして体内から出て行ってくれるのです。
一方のLDLもレシチンは持っていますが、少量です。しかし、レシチンは卵の黄身や大豆などの食品に含まれており、外から調達すればよいのです。これを充分に摂取していれば余分なコレステロールは適切に処理され、アテロームも発生しません。
大事なのはコレステロールの種類ではなく
常にレシチンを体内に取り込んでおくこと
が重要であるみたいです( ´艸`)