皆さんこんにちは!

ロケットプロジェクト所属,4年生の鳥馬です.

 

今回お話するのは,新入生教育の一環で毎年行っている気球試験のお話.気球試験に用いる放出機構をお手伝いさせていただいた話をしていこうかなと.

「ロケットプロジェクト所属と言いながらなんで放出機構を?」という話ですが,これには浅い理由がありまして…

 

 

 

放出機構って?

 

 そもそも放出機構,もとい気球試験ってなんだって話からしないといけませんね.
 
 SSSRCの新入生が受ける新入生教育は,約半年かけてCansatと呼ばれる模擬人工衛星を作ることで「ものづくり」の流れを体験するというものです.Cansatを作る際にはまずミッションを自分たちで考えて,そのミッションを達成できるようなCansatを作るわけですが,ミッションが達成できるかどうかを試験するのが今回お話しする気球試験というわけです.
 
 気球試験とは,気球を用いてCansatを50mほど上空まで運び,そこから落下させます.Cansatにはパラシュートが取り付けられており,それによってゆっくり地上に着陸した後,何らかのミッションを行います.
 つまり,Cansatを中に入れて,上空で放出するための放出機構が必要になるわけです.
 
 毎年気球試験をやってるってことは放出機構もあるんじゃねぇのかという話なんですが,今年は色々事情があって無くなってたんですよね(ロケットプロジェクトがロケットのパラシュート試験をするために放出機構を解体して使ったとか使ってないとか・・・

・・・そんなこんなで,当時のロケット責任者である僕が放出機構を作らなければいけなかったわけです.

 

放出機構の設計

 では,僕が考えた放出機構の3D CADを見ていただきましょう.

 

図1 放出機構のCAD

 

 ハイ放出機構です.今回意識してることは主に下二つ

 

  • Cansatの大きさが変わっても使いまわせること
 
  • 扉を開けるために使うサーボモーターにあまり荷重がかからないこと
 
 一つ目は,箱を二段構えにしてCansatを入れるためだけの箱を作ることで対策.内箱のサイズを変えるだけでCansatのサイズ変更に対応できます.
 
 二つ目は以下のような仕組みを作ることで解決しました.サーボモーターを上に置きたいがためにめんどくせぇ仕組みになっちゃいました.扉が開こうとする荷重を巡り巡って「支え」が受けてくれるので,サーボに負荷はかからないはず.
 
図2 放出機構の仕組み
 

 

実際に作っていくぞ!

 

 では早速作っていこうということですが,これまた色んな問題が発生するわけですね.全部書いてるとキリがないのでザっと書きましょう.

 

  • コストばかり気にして外側の筒をプラスチックのゴミ箱にした結果,ゴミ箱が完全な円筒ではないためゴミ箱を切り貼りして筒を作る作業が入る
 
  • 3Dプリンターで作る部品を作り直す羽目になったが,そのタイミングで3Dプリンターが壊れたため,失敗した部品を手作業でいじって作り直す
 
  • 3Dプリンターが壊れたため内箱が印刷できなくなり,ちょうどよいサイズの箱を探し回る羽目に
 
  • 切り貼りして筒を作ったせいで径が少し小さくなり,上の蓋が入らなくなったためプラ板,ネジ,テープを駆使して上に取り付ける
 
 行きあたーりばったり♪ ツギーハギーだらけの♪ 放出機構~♪(ミックスナッツ風)
 
 こんなザマでも4年間SSSRCで働けるんだから,「SSSRCなんか大変そう…」と思ってる君たち!大丈夫だぞ!俺もこんなんだからな!
 
 そんなこんなで放出機構が完成しました。こちらです。
図3 完成した放出機構の様子
 
 不完全なマスキングテープと上の方のテープべた張りが作っている時の僕の焦りを表現しているようです.ほんとはデザインに拘りたかったんですけど,全然時間ありませんでした(こだわってもオシャレにはならんだろとか言わない).
 

 

まとめ

 

 こんな感じのグダグダな放出機構でも,出来上がっちまえばちゃんと動作はするもんです.気球試験本番ではちゃんと放出機構の役割をしっかり果たしてくれました

 

 

 というわけで,放出機構の話でした.

 

 さて,12月20日(土)から,SSSRCの各系による1年間のまとめラッシュが投稿されます!

 ぜひお楽しみに!

 

 鳥羽爽馬からでした!

 

 

 

 

※こちらの記事はJLCPCB様の提供でお送りいたします

 またもやご支援をいただきました

近頃肌寒い空気が漂う様になり外を出るのも億劫な時期ですが、団体内におけるPCBの需要はとどまることを知りません!そんな中、今回も高品質・低価格なサービスを提供されている基板製作会社のJLCPCB様よりPCBのご支援をいただいています!私たちの試験に欠かすことができないPCBをすべて提供していただいていることを思うと感激の念でいっぱいです!

 JLCPCBとは?

 

ここで改めて、私たちがいつもお世話になっているJLCPCB様がどのようなサービスを提供しているのか、ご紹介させてください。

驚異的な「低価格」と「製造スピード」

JLCPCB様が世界中のユーザーから支持される最大の理由は、その圧倒的なコスパ迅速な対応力にある!

なんと、標準的な仕様の2層基板であれば、5枚で2$からという、個人が趣味で作ってみたいなというレベルでも気軽に利用できちゃいます!

また、製造スピードも非常に優れており、最短3〜4日という短期間での製造を可能とすることで、注文したPCBへの熱意が冷めぬうちに作業を進めることができます。

※国外からの発送となるのでその分の送料と配送時間はかかってきます。

 

基板製造だけじゃない! 「部品実装サービス (PCBA)」も使える!

自分で部品をチマチマはんだ付けするのって大変だとおもいませんか?

 大量の小さい抵抗だとか、チップ部品とか…。

JLCPCBの「部品実装サービス (PCBA)」を使えば、基板を製造するついでに、部品を自動で実装してくれます!

  • 手間が激減!: 面倒なはんだ付けから解放される!

  • 高密度実装もOK!: 手はんだじゃ難しい細かい部品もプロの機械でバッチリ!

 

JLCPCBを使い始めるためのステップ

 

初めての人でも大丈夫! やることは極めてシンプル。

  1. 基板の設計データ(ガーバーファイル)を作る: KiCadとかQuadceptで設計したデータを出力する。

  2. JLCPCBのサイトにアップロード: サイトのオーダー画面にファイルをドラッグ&ドロップ!

  3. 仕様を選ぶ: 基板の色(緑、赤、青、黒など)や厚さ、枚数などをポチポチ選ぶ。

  4. 注文・支払い: あとは待つだけ!

 

 今回発注した基板について

電流計測やスイッチング、電子ヒューズなどなど色んなPCBをご支援いただきました!

これでついに試験に取り掛かれると思うと待ちきれません!

私は受け取った勢いあまって早速一枚はんだ付けしちゃいました!細々した抵抗とコンデンサのせいで気が狂いそうになったので次からは全部実装してもらうことも視野に入れてます!

 

 

 最後に

驚くべきことに、海外発送なのに発注から手元に届くまで僅か1週間程度、まさにコスパ、タイパを兼ね備えた世界レベルのメーカーだと実感できます。

 

これからJLCPCB様を使ってみたいという方

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 【白鷺祭OPEN LAB.】第77回白鷺祭11/2(土)モデルロケット打ち上げ!

 

日に日に秋が深まる季節となり,本格的な冬が始まります.

みなさまいかがお過ごしでしょうか?

インフルが流行っているらしいので何卒体調にはお気をつけてください.

 

 

お疲れ様です.

最近は寒すぎて,オフトゥンから出れず,何度も授業に遅刻しかける(している)B2の岳山です.

 

先日,11/2(日)に,我々SSSRCは毎度のごとく白鷺祭OPEN LABに参加しました!!

ただ,今回は場所の確保が難しく,展示はなしでモデロケの打ち上げのみを行いました.

 

今回は,モデロケ製作秘話,当日の話なんかをしたいなーと思います.

 

 

 

  【モデロケ製作秘話】(半分モデロケ講習みたくなってます

 

恒例の,B2のモデロケ講習も兼ねたロケットづくりをやはり今年も行いました.

昨年とは違うのが僕しか作ってないことなんですが...怒

何十回の夜を過ごして,得られたのは7機のモデロケでした.

みんなは徹夜なんかせず健康的にモデロケ作るのやで...

 

 

ちょっとここからまじめな話.

 

設計段階で主に気にしなければならないことは,

 

「高度」「落下分散」「姿勢安定性」

 

なんですね.

 

「高度」は,機体質量(メイン),搭載モーター,射角(風もあるけど)

「落下分散」は高度に加え,風速,風向,パラシュートの展開タイミング,

「姿勢安定性」は,機体重心と空力中心の位置関係と機体の形(空力中心が決定される)

が支配的です.

設計,シミュレーションではこの辺を考えないとだめダメ駄目.(ほかにもあるやろうけど)

 

 特に落下分散と姿勢安定性はお客さんの方に行ってしまうのは避けたいのでここはマストで考えないといけない.

 

搭載モーターは,基本Estes Rockets(店の名前)のA8-3を用いて,B6-4も使ってます.

 

図1 実際に用いたエンジン(A8-3)

 

 モーターの形式について,アルファベットは力積 [N・s]を表しており,一つアルファベットが進むと倍(Aは2.5 [N・s] Bは5.0 Cは10.0等々)になります.前者の数字は平均推力[N],後者の数字は延時時間 [s](バックファイヤまでの時間)を表してます.

 -D型モータもしくは搭載モータ質量が20 g以上なら、都道府県知事の火薬類消費許可が必要です.-(ファン!ファン!JAXAより引用)

 やる人はおらんやろうけど,-モデロケのモータそのものを作成したり,既存のモータを解体したり改造することは火薬類取締法で禁じられています.-(ファン!ファン!JAXAより引用)

 -また,打ち上げに際しては,航空法の制限を受けます.申請などが必要ない高度は,空港の周囲9 km以内では150 m以下,それ以外の場所では250 mに制限されています.これ以上の高度にロケットを打ち上げる場合には,最寄りの空港の空港管制官にノータム(NOTAM)という飛行通知書を事前に提出しなければなりません.-(ファン!ファン!JAXAより引用)

 

Estesのモータの成分は調べてみても出てこなかった...だれか教えて!

 

 話戻すけど,落下分散はオープンロケット回してくれい!!

姿勢安定性は

「全長安定性(Fst)」「全径安定性(Cs)」

を見ないといけない.

 Fstは重心と空力中心の位置の差の絶対値をロケットの長さで除したパラメタ.Csは機体直径で除したパラメタ.

 前者のパラメタは0.1-0.2に収める!後者は0.5-1.5に収める!基本的に値が大きくなると機首が迎角を小さくしようとするモーメントが大きくなる.けど大きくしすぎると逆に迎角を小さくしようとするモーメントが強くかかりすぎてしまうからよくないらしい(って偉大な先輩が言ってた)

 

正確な重心位置,空力中心はノーズコーンの形状,フィンの形状等々理論計算によって求められますが,(詳しいことは各自調べてもらいたい!エクセルとかで自分で計算するもよしおれはやらない)オープンロケットでは自動的に計算してくれますやったね.

 

 実際に設計して作ったらスイングテストして(重心位置に紐括り付けて,半径2-3mぐらいブンブンハローユーチューブする)ちゃんと機首が進行方向(円の接線方向やね)向いていたら合格.途中で姿勢が崩れたら不合格やり直し.

 

 そして,やっとぼくが作成したロケットの話に戻ります(変な話に突き合わせてしまってごめん)

チューブは(胴体のこと)アポロやマーブル,コーヒービートで作ってます.

 

図2 美味しくいただきました

 

 意外と簡単な材料で作れるんやな.

そして,実際に設計してノーズコーンとフィンの3Dモデル作って印刷して出来上がった第一号機がこちら!!

 

図3 第一号機完成

 

 あとは実際に作るうえでの注意点を少し話そうと思います.ノーズコーン,フィンを作成するうえで設計段階ではチューブとの固定方法についてある程度考えておく必要があるということです.例えばノーズコーンを固定する方法は下の図のように,アポロの先端にはめるだけの余分の長さを設計段階で考えておく必要があったり(その分質量,重心が少し変わる)

 

図4 CADによるノーズコーン3Dモデル

 

 あとは,フィンとノズル部分との固定も考えないといけなくて,自分の場合はスリットを入れて,そこにフィンをはめられるようにしていて,その際に円筒を作ってその周りにフィンを固定している感じなります.下の図を見てもらえればわかると思います.自分は設計段階でこの円筒部分の質量も考えられていませんでした.(何も知らない)

 

図5 CADによるフィンの3Dモデル

 

 

 

これを見ている人がどんな固定方法を用いるのかはわかりませんが設計段階で固定を考えてしまわないガチ(ガッチガガチにやっちゃっていいよ)です.しかし,ここを考えておかないと作成段階で手が止まってしまったり,作ったものが実際と全然違うものになってしまいます.いい設計とは実際に作ることも想定して初めてできるものなのです.

 

あとは僕の失敗談としては,エンジン固定ですかね.下の図のようにエンジンにテープをぐるぐる巻きにして無理やりアポロの内径ギリギリにしてぎゅうぎゅうに詰めてエンジンを固定しました.

 

図6 エンジン固定

 

 エンジンの向きがおかしく固定してしまったり,固定が甘かったりするとそもそも噴射方向はおかしかったりでどれだけ姿勢安定するロケットでもあらぬ方向に飛んでしまったり,最悪お客さんの方向に飛んでしまいます.それだけは避けなければなりません!!なのでここはちゃんとしましょう.ビニールテープを巻いているのですが,この巻いているビニール分の質量を考えられていませんでした.(反省やね)

 

 あとはロケットを塗装してかっちょいいロケットを作ろうと気が向いてしまって,塗装分重くなるんですよね(あたりまえ)その分も全く考慮されていません(あかん)

 

(かっこいいんだけどね...)

 

 

図7 打ち上げ前夜,準備完了の子どもたち

 

 これ読んでる人は,この辺の話を見返しながら良いモデロケ作るんやで!!!

 

 僕は多分来年の2026年の白鷺祭でもモデロケづくりの監督やります.よろしゅう.

 

 

  【当日の話】

 

 当日の話していきます!

 

 

 グラウンド付近の道に下の看板をもった呼び込みの人を見た方もおられたかもしれません!(打ち上げをすべて見られた方もおられるかもしれませんが看板のロケットは打ち上げてません( ´∀` )) 

 

 

図8 呼び込み用のポスター

 

 

 

当日の写真をいくつか貼っておきます.初めの写真は午後3時の部のロケットです.先輩がランチャー間近にスマホを置いて取ってくれた写真です!!めちゃくちゃいい写真ですよね!!お気に入りの一枚です.


図9 ランチすぐのロケット(かっこええね)

 

 あとは,打ち上げシーケンスが完了するまでの前説を行っている僕の写真でも載せておきます.超意欲的な未来有望なお子様の良い質問に頑張って対応している様子です.

 

図10(a) 当日の様子 

 

図10(b) 当日の様子

 

 下の写真からでもわかる通り,大盛況でした!!!

 

図11 当日の様子

 

 

今年のOPENLABはなんやかんやありつつも大成功で終わりましたね!!

これもひとえにイベント委員の先輩方,イベント委員ではないもののすごく働いてくれた方たちのおかげです.この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います.どうも本当にありがとうございました!!!

 

来年もまた頑張りましょーー!!ほなまた.