リストラや闘病、ネグレクト、DV…
生活困窮に陥った理由はさまざまでしょうが、生活保護受給者に共通しているのは人生の絶望を味わったことのある人たちということではないでしょうか。
しかし、SSSの施設には、そんな絶望を乗り越え、自立を目指して前向きに努力する人たちが多く入所しています。
29歳で職場を退職して以来、なかなか定職に就くことができずにいましたが、62歳になった今、自立に向けて動き出しています。
その原動力は「ずっと交際している人との結婚資金を貯めたい」という強い想い。
しかし、ここに至るまでの道のりは決して平たんではありませんでした。簡単に振り返ってみたいと思います。
生活困窮に陥った最初のきっかけは、20代の頃に勤めていた職場での人間関係がうまくいかなかったこと。
自暴自棄になったYさんは退職した後、「お金がなくなったら死のう」とコツコツと貯めていたお金をすべて使い切るほど、遊びまくります。
そして冷蔵庫も財布もからっぽになったある日の朝9時。果物ナイフで手首を切りました。
何とか一命をとりとめたYさんでしたが、そこから何年も生き残ってしまった不自然さを感じながら、毎日を過ごすことになります。
当時、父親と同居していたYさんはその頃のことを「生き残った恥があるし、親に世話になってる負い目もあるし、とても窮屈な毎日でしたね」と振り返っていました。
そんな生活を10年ほど続けていましたが、父親の退職を機にYさんはホームレスの道を選びます。
誰にも干渉されることのない自由な日々。同じ境遇の仲間たち。
「全然大変じゃなかったよ。人と会話もできるし、毎日たっぷり眠れましたね」とホームレス時代についてイキイキと語るYさん。15年ほど、ホームレスとして暮らしました。
楽しい毎日だったといいますが、そんな毎日がカラダに良いはずがありません。55歳を迎えたYさんの手は、ある日突然震えが止まらなくなってしまったといいます。
その後、統合失調症と診断されたYさん。入院を余儀なくされましたが、通院と投薬で症状をコントロールできるようになったため、退院。その後、以前に炊き出しの際にもらっていたSSS職員の名刺を頼りに、SSSの無料低額宿泊所へ入所となりました。
現在は、入院時に知り合い、5年間交際している恋人との結婚のため、自立を目指している最中。人生の目標を見つけたYさんは、とても輝いて見えました。
どんなことでも人生の目標を持つことが、最も明るく自立に向けて動くことができる道なのではないでしょうか。
詳しくはこちらをご覧ください。
更新日:2019.03.13
「結婚資金のために働きたい」
自分を“死にぞこない”と称する男性が描く夢
当事者インタビュー:Yさん(男性・62歳)