ハンディキャップから見えるもの -3ページ目

ハンディキャップから見えるもの

齢51歳、独身。

重度の腎不全により人工透析を開始せざるをえなくなった。

闘病の備忘録。

入院8日目

午前中に透析。

針をを刺す痛みが日を増して強くなる。
毎回針を刺すヶ所が同じヶ所なので、固くなってきてるからだろうか?
看護師さんに話してみたら、針を刺すヶ所に1時間前に麻酔テープを貼り、痛みの緩和させることが可能だと教えてくださり、次回その麻酔テープを試すことになった。

2日前に、淡々と告げられた胃カメラと大腸内視鏡を受けるか受けないか、全く頭が回らず判断が出来ない。…結果で血便出てるわけだし、その原因は突き止めた方が良いのは、理としては解る。
でもどちらの検査も始めてで、原因もそうだけど、検査を行うことにも不安がある。
周りから聞こえてくるのは、どちらもしんどいという情報。

主治医は、受ける受けないどちらでもと、自主性煽ってくるし、寝起きの時点では7:3で受けたくないが勝っていた。

透析中、機械の確認で巡回に看護師さんが来て、
胃カメラと大腸内視鏡の検査をやっておいた方が良いですよ。と枕元で言ってきた。
正直に、現在受けたくない気持ちの方が勝ってます。と伝えると
今回の入院にあたり、透析をする上で処方箋や治療方針を決めていく為のスキニングの意味もあるので、やっておいた方が良いです。
とマジ顔で言われてしまう。

金曜日は唐突に言われた時は、恐怖心が先に立ち渋ってしまったが、
2日が経ち、看護師さんの真剣に教えてくれたこともあり、ちゃんと検査を受けて血便の原因明らかにしておいた方が良いんだろうなぁ。
…悩みどころだよなぁと5:5の気持ちで揺れ動く。

姉と一緒に、さいたま市から父方の叔母が面会に来た。
パーソナルスペース広目で親戚づきあい苦手なもんで、当たり障りない会話でも気を張ってしまい気疲れが半端ない。

一応姉に、胃カメラと大腸内視鏡検査の件を相談してみると、
入院してる間にやっておいた方が、何かが見付かったとしても、入院中で迅速に対応して貰えるのだから‼
と一喝され、3:7でやらなければならないのだなぁと気持ちが傾く。

午後にリハビリが、2コマが立て続けとなる。
1コマ目は、ストレッチ多め
2コマ目は、筋トレ多めのメニューで、両方とも歩行が入る。
2コマ目で、歩く際に右腰が右側に流れてしまい、左ケツの筋肉が支えきれなくて痛むのではないかと、現時点での歩行の癖の修正点として、右腰が流れない様右腰に力を入れて左ケツの負担を減らす歩行の練習をする。

もちろん、反り腰なので、骨盤の位置なども意識しながら。

リハビリで病室フロアの廊下を、歩行練習していたら、進行方向に主治医が居た。
この時点で、
このタイミングは胃カメラと大腸内視鏡の検査をやった方が良いと、外濠を埋められてる感じがして、だったら駄々こねてないで検査受けようと覚悟を決め、主治医とすれ違う際に検査を受ける事を伝える。

勝手に両方の検査を1日でやるもんだと思っていたら、検査の予約が多く一番早くて、大腸内視鏡は今週、胃カメラは来週とバラバラに。

決めたとはいえ不安が無くなったわけではないので、まとめて一気にやれれば不安も一気になくなるのに、うまくはいかないもんだ。

血便の原因が重たい病気じゃなければいいなぁ。







入院7日目

本日日曜日。

日付が変わり、トイレに行く。
金曜日のリハビリ頑張り過ぎたのか、腰と左ケツが動く時だけと痛かったのが、横になっていても疼くようになる。年齢も年齢だから、1日置いての筋肉痛であることを祈るが、違ったらどうしようと不安も出てくる。

朝6時頃目覚めると、顔に浮腫を感じ鏡を見ると、やはり顔が変形していた。
ちょっと水分摂取が多くなっているからなのか、自分の身体に合った調整を試していかないとならなそうだ。

動くと怠さを感じる程度。それ以外は、とても穏やか。

イヤホン付けてYouTubeを観ていたら、いきなり俺のベッドのカーテンがひらいて、上半身裸のおじいさんが笑顔でこっちをみてる。

突然にあり得ないシチュエーションに思考が追い付かない。
おじいさんか何かを話し掛けているが、イヤホンをしていたので聞き取れず、イヤホンを外して恐る恐るもう一度伺ってみると、
「これ貼って」
とおじいさんが背中を向ける。
そこには肩甲骨辺りに貼り掛けの湿布。

状況が飲み込めなかったが、取り敢えずおじいさんの指示通り貼るのを手伝い終わると、おじいさんは笑顔で出て行いった。

なぜこのシチュエーションが生まれたのか考察してみた。

おじいさんとしては、ナースコール押して看護師さんが来るまで待たされるのや、
ナースコールで「湿布を貼って欲しい」と些細な用事で呼んでしまう申し訳なさから、自分で貼り始めたが、自分1人では出来ない。
となり隣りの人に頼んじゃおう。
となったんだろうなぁ、と。

だが、大部屋とはいえカーテンでパーソナルエリアが担保されてる患者に、手伝わせるのかはどうなんだろう。という思いもある。

看護師さんに遠慮か、患者に遠慮か。
些細な用事なだけに、なかなか塩梅が難しい。

個人的な反省としては、俺がパーソナルスペース広目の人間なので、突然距離縮められるのが苦手な事もあり、おじいさんの対応を真顔で手伝ってしまった事。

最初、カーテン越しで声かけてくれたらなぁ…内容も内容なので、余裕をもって笑顔で対応できたのになぁ。
上半身裸で、カーテン内に入って来ちゃっててたからなぁ…。

おじいさん、ごめんなぁ。






入院6日目

今日は土曜と言うことで、透析もなくリハビリもない。意外とスケジュールがつまってた日々だったので、ゆっくり出来るのはありがたい。

リハビリで、腰回りが筋肉痛なのか、とても重く、痛みが鋭くなっている(鈍く全体的に痛かったのが、痛みのヵ所が明確になりだしている)。

朝食を終えまったりとうたた寝し、溜まった洗濯物を病院内に併設しているコインランドリーで洗濯しようと、リハビリがてら行ってみる。
歩いていると、やはり腰の痛みが強く力んでしまい、力みから呼吸を止めてしまって、息切れしてしまう感じがある。

洗濯物を洗っている時間を使ってリハビリで習ったメニューを遂行。
肩甲骨のストレッチ
椅子に座っての腿上げ
基本が反り腰の為、骨盤を反らせないで腿上げするのが、なかなか難しい。

姉から
国保から社会保険の扶養で加入出来る可能性があるから、実印とマイナンバーカードを月曜日に取りに行く。
役所で書類揃える際に、本人の委任状が必要になるから、用紙への署名をして欲しい。
退院したら生活がどうなるか判らないのだから、今のうちに働いていた職場の源泉徴収票を送って貰い、手元に置いて年末調整に備えなさい。
とミッションを授かる。

新しいミッション増え、月曜日からまたてんやわんやだなぁ。






入院5日目


 朝からてんやわんや。

父方の叔母が月曜日に面会に来たがっていると姉からの連絡が入る。


透析が月水金の週3回、そして本日より今後の透析の時間帯が、午前から午後に変更になったと朝の検診で言われる。


面会の時間帯も午後になるので、見事にバッティングしていて、しかもその月曜日に面会する予約の締め切りが今日まで。


親戚付き合いが苦手な俺は、姉に病院のスケジュールを伝え、やんわりと諦めて貰える方向に話を持って行くのだが、

叔母の性格を考えろ。

叔母の行動力を考えろ。

心配して貰えるだけ、幸せと思え。

取り敢えず看護師さんに、こちら側の現状を伝えなさい。

と説教をされる。


朝食後に看護師さんに、しぶしぶこちら側の諸事情を伝えると、取り敢えず調整出来るか判らないが、時間を下さいとのことだった。


午前中にリハビリが1コマ入った。
ベッドに座った状態での筋トレ、ストレッチ

昨日のリハビリでの筋トレが効いたのか、股関節というか、腰周りが筋肉痛になっている。


歩行は、病室のフロアを1往復(たいした距離ではないのだが、息が上がってしまう。)
基本が反り腰なので、意識して反らない様にして歩行。
歩行の際、左足を軸にして右足を動かすと、腰の部分が筋肉痛とは別の強ばった痛みがありとても痛い


13:10透析スタート。
血液検査もあるとのことなので、両腕に針が刺さる。

本日の透析、水の排出が3キロ。
止血を、自分で行ってみる(1ヵ所はバンド、1ヵ所は2本指で、血管にストレス与えないように押さえる)。
力加減がなかなか難しい。

透析が終わり病院に戻ると、看護師さんより月曜日は何とか調整出来て午前に透析となり、面会に関してのバッティングは解消された。

それ以降は午後枠となるので、なるべく透析日を避けて下さいと担当の看護師さんから説念を押される。

検便の結果が血便になっているため、胃カメラか、大腸カメラでの検査を主治医より言われる。


主治医の淡々と伝えてくるスタンスが、聞いている側としてはとても怖い。
また何かが見つかるのではないか、それがまた治らない病気なのではないかと、不安だけがつのる。








2025年(令和7年)9月4日。


F総合病院にて、最後の血液検査と貧血改善の為の注射。

そこから9月26日まで、慣れない引っ越しの準備と片付けを、浮腫で動かない身体で休憩を挟みながらしなくてはならない。


日を追うごとに、浮腫も酷くなりどんどん動け無くなり、寝床から立ち上がるにも休憩と気合いが必要で、トイレに行くだけて息が切れてしまう。

小をするにも立っていられず便座に座り、便座から立ち上がるのにも休憩と気合い。


浮腫がひどすぎて、下向けない。

仰向けに寝ると胸が圧迫されて苦しくなるし、顔もかなり浮腫で変形して、目も開かなくなり出す。


追い討ちをかけるかのように、

26日に引っ越しで姉一家へ引っ越して、Tメディカルセンターに入院までの2日間がまた、慣れない環境もあいまって、しんどさに輪を掛けてたかもしれない。


食事をすると浮腫が酷くなり呼吸がし辛くなるので、食事や水分の摂取を控えて症状が落ち着くのをただ堪えることしか出来ない。

食事も1日1食になり、食事をすればまた浮腫むの繰り返しで…相当しんどかった。


そんな中にも僅かな喜びがあり、体力的にもヘロヘロだった時にお世話になったのが

ガリガリ君である。

氷がゆっくり溶ける事で水分の多量の摂取を押さえてくれ、糖分と氷の咀嚼で食欲の方も満たしてくれた。

もう入院1日前は胸、腹の圧迫がしんど過ぎて、食事せずに多少でも浮腫が収まるのをただ祈り、布団に横になり堪えるのみだった。

腎不全の末期症状。
徐々に進行するから悪化しているのが判断し辛い病気。
浮腫くらいと甘く考えていると、悪化すると喉も肺も圧迫されて呼吸が出来なくなる。
 
人工透析という大きな決断を迫られるなか、精神的にも追い込まれて、思考する余裕もなく、ただただこの苦しさから逃れたいとしか思わなくなっていた。