第15章 廃屋(中篇その18)
注意 ホラー要素あります(汗)
和泉守兼定が男審神者の前まで歩いてきた。
「諦めるにはまだ早いんじゃねぇのか?てめぇはまだガキだ。此処で諦めたら、お終ぇだからな」
女子高生に振り向き話した和泉守兼定。
「…」
女子高生は何も答えない。
「てめぇ…此の子の将来を台無しにするつもりかよ?ふざけんじゃねぇ…っ!」
和泉守兼定が女子高生を見ながら話した。
「主と呼べ。和泉守兼定。此のガキに将来は無い。理由は至って簡単だ。既に進路は決まってるんだろ?就職か?進学か?どっちも選べない奴には将来なんて無ぇよなぁ…?はっはっはっは!諦めろよ?お前はなれない…はっはっはっ…はーっはっはっはっは!」
男審神者は笑いながら話した。女子高生は顔を歪めて震え出した。今にも泣きそうな顔だ。
「てめぇ…っ!…しっかりしろ!此奴の言う事なんか信じるな!」
和泉守兼定が女子高生の肩を掴み、正気に戻そうと揺すった。
「諦める…?なれない…?なら…?」
「こうするしか無ぇだろなぁ」
女子高生に質問された男審神者は親指を立てた手を首に当て、その手を横に動かした。その仕草を見た小狐丸は驚いた。
「…!まさか…!」
それに続いて大和守安定も驚き、
「えぇっ?!だ、ダメだよ!早まっちゃ!」
と女子高生の身体を掴んで話した。
「何でそんな事言うんだよ?あんた…血も涙もない奴…!」
加州清光が男審神者を責め立てる。
「はっ、人を傷つける物のお前らが言う台詞か?」
「ぐっ…!」
男審神者には逆らえない立場の刀剣男士だと気付いた小狐丸と大和守安定、加州清光、和泉守兼定。
「はっはっはっは!はーっはっはっはっは!はーっはっはっはっは!はーっはっはっはっは!」
男審神者の高笑いが本丸内に響く。
「…もしもの話なんて…ありえないけど…」
女子高生が話し始めた。
「ああ…だろうなぁ…其れが如何した?」
男審神者は女子高生を見下ろした。
「もし、私と小狐丸が出会わなかったら、今頃、どうなってたのか…」
「そうだなぁ…姉貴は…?!…まさか…!」
「えっ?姉貴って…?」
女子高生が男審神者が言った一言に気づいた。
(しまった!)
男審神者は慌てて口を押さえた。
「やはり、そうであったか。お前の事はもう主とは呼べぬ。彼女を殺めたのは紛うことなき、お前であったか…小狐丸が幼子のような性格に変わり果てたのは…あな恐ろしや…神を喰らったか…」
「三日月宗近…!」
男審神者は三日月宗近を見て狼狽えた。そして、
「小狐丸!貴様!此のガキを殺せ!」
と小狐丸に抜き身の刀を渡して命令した。小狐丸は女子高生を見つめた。
(嗚呼…こんな幼気な子を…斬らねばならぬのでありますか…?私には…)
女子高生に見つめられた小狐丸は半泣きになり、
「出来ませぬ!」
と男審神者の命令を拒否した。
「チッ、使えねぇ奴だ!」
男審神者は舌打ちした。女子高生は背後をチラ見した。男審神者には気付いてないが、山姥切国広が頷き、書類を渡している。
「…小狐丸はそんな事出来るわけないじゃないですか…可哀想な事しないで下さい…」
「何だ、其奴を見逃すのか?」
「違う、そうじゃない…」
女子高生はそう言いながら封筒を渡した。
「何だ?俺宛か?」
男審神者は封筒の封を切って中の書類を見た。
「…通告書…『貴方は貴本丸の審神者としては不適格と認定させて頂きました。よって、貴本丸の閉鎖という法的措置を取らせて頂きます』…?ふざけんじゃねぇ!何でこの書類…!…この書類、偽物だな?」
「否、本物だ」
「山姥切国広…!いつ、受け取った?」
「皐月頃だが?」
「…」
「これで分かっただろう?あんたは終わりだ…此の本丸は…近々閉鎖する…」
「クソッ…」
男審神者はガックリと項垂れた。そして、時の政府が男審神者を捕縛した。
「後は我々に任せて下さい」
「あい、分かった」
「…これで…良かったのですか…?」
「〇〇ちゃん…ありがとうございます…」
小狐丸は女子高生にお礼を言って、武士のお辞儀をした。
「こうして、我々は彼の娘と別れたので御座いまする…」
「これで…思い残す事は無い…」
「俺達の話、聞いてくれてありがとうね…」
「湿っぽくなっちまったけどな、悔いはねぇよ」
「では…さらばだ」
刀解の儀式に耐えた小狐丸、三日月宗近、加州清光、和泉守兼定、山姥切国広がだんだんと光の欠片となり、消えて行った…
続く