金賞受賞については、10年余りに渡った記録を自分で足を運んで書いたが、一つの蔵元で7蔵が、2年続けて金賞を受賞した例は、月桂冠をおいて他にない。
そのことについて、当時の製造責任者である栗山一秀さんが語っている記事がある。これは私が監修した「吟醸酒の研究」(中央公論社)というムックの中に収めた話で、栗山さんは「つきぢ田村」の当時の社長・田中暉昭さんと対談した中で語っている。
なにしろ平成5年、6年と連続して金賞を7つの蔵で得たのだから、快挙といっていい。
月桂冠では、伏見に多い越前杜氏を使っていたが、他の丹波、丹後、但馬から秋田の山内杜氏など、全国から多くの杜氏を集めた。それぞれに技を競わせたのである。栗山さんいよると、世界のソムリエを120人ばかり招いて日本酒をきいてもらったところ、吟醸の人気が高く、次いで生酒と古酒で、燗した酒はうけなかったという。そして日本酒には透明感がある、ともソムリエは言ったとか。
なお、その栗山さんは高浜虚子の「古壺新酒」という言葉をひいて、伝統的な技術の中にも新しい技術を加えることが必要だという話を、副社長時代の平成3年に「日本醸造協会誌」(6月号)の巻頭に書いている。カットはその時の題字である。
