長谷川一夫が東宝移籍にからむトラブルで、暴漢に左の頬を切られたのが話題を呼んだことがあった。その黒幕だったのが後の大映の社長・永田雅一だったという話には驚いた。『二枚目の疵(きず)』(矢野誠一著・文藝春秋社)にあるのだが、のちに長谷川一夫は大映の映画で海外の賞など多くを得たことを思えば、なんとも驚く話ではないか。
『映画主義者・深作欣二』(立松和平著・文春ネスコ)は、『仁義なき戦い』をはじめ多くの強力なエネルギーを発するような作品を手がけた深作欣二の話だが、これが単なるヤクザ映画として片づけられないものが底に流れていることを書いている。息子の深作健太は、俳優の高倉健と菅原文太から一字ずつとった名前だそうで、その健太が深作が途中で倒れて遺作となった『バトル・ロワイヤルⅡ』を引き継いで撮った話で結ばれている。
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