ビールが高かった50年前の話 | 山本祥一朗の酒情報

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月刊「文藝春秋」新年号は、高倉健の最後の手記が話題を呼んでいたが、この人は酒をあまり飲まない人だった。
それよりも同誌の戦後70年記念として各界の著名人が書いたエッセイが面白い。石原慎太郎が「芥川賞は私が有名にした」と題して昔の話を書いているが、その中で一橋大学の学生寮にいた時の酒の話が出てくる。

ビールは高くて手が出ない。いつも日本酒の冷酒が多かった。一人が百円ずつ出し合って四人で360円のトリスを買い、お釣りで柿の種なんか買っていたのである。
弟の裕次郎は慶應に行っていたが、その彼女が銀座のホステスをしていたので金もあり、それにたかって飲んだこともあるという。

今から思えばビールが高くて手が出ないというのはウソのようだが、私の年賀状にも書いたように、私は慎太郎より四歳下であるだけに実感としてよくわかる。