図書館を使えば、新聞は地方紙を除いてほとんど全紙が読めるし、週刊誌、月刊誌なども同じ。しかも5冊までなら普段は2週間借りられるが、暮れから正月にかけては10冊まで3週間借りられる。
そこでこの暮れから正月にかけて世田谷区立の図書館3館のそれぞれから合計30冊借りて読書漬けである。
酒の本は10冊ばかりだが、その他で興味深く読んだ何冊かを挙げておく。
『父吉田茂』(麻生和子)の著者は、現副総理の麻生太郎の母親であるが、この和子の実父が吉田茂。吉田茂は駐英大使などだったことからヨーロッパの暮らしも長い。和子は酒を5~6歳のころから飲んでいた。その和子の目から見た政界の裏話などが面白い。麻生太郎がクレー射撃でオリンピックに出たというのも、この母親がやっていたことの影響である。
『すっころび仙人の人生論』(鈴木清順)。この本は20年ほど前、何度か会って鈴木さんと面識のあったことから読んだことがあったが、久しぶりに再読して痛快な人間味に惚れ直した。
『あぐり流夫婦関係親子関係』(吉行あぐり)。昔NHKで連続ドラマになったことがあった。それより以前には市ヶ谷駅の近くで吉行淳之介にインタビューしたことがあった。『驟雨』で芥川賞を取った後のことだが、その時の吉行の酒の話をたまたま雑誌に書いたことで、昔を偲んでこの本を読んでみた。
『陽のあたるオヤジ』(大沢在昌)。この人の略歴には慶応大学中退とあるが、実際には出席せず学費も納めなかったので退学させられていた。それにしてもなかなかの書きっぷりで、飲食をはじめいろんな面で痛快な作家だ。
なるほど、紫綬褒章を受けるだけの役者は違うな、と思わせる『旅の途中で』(高倉健)や『高倉健インタビューズ』は俳優高倉健の深みがよく出ている。
この他、書きまくっている北野武の本や月刊誌のバックナンバーなども併せて30冊、いやーよく読んで満腹感の正月休みでした。