新選組紀行⑧ 新選組の晴れ舞台そして転落の始まりの地 池田屋跡地(京都府 河原町三条) | 夢の続き・・・

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江戸幕末。

幕府の権威が衰える中、欧米諸国の外圧により鎖国から一転、

開国したことで、太平の眠りから覚め、日本のあるべき姿を巡って、

国中で様々な思想が対立していた。

京都は江戸と並ぶ政治的中心地。

それゆえ京都には、多くの者が集まり、陰謀渦巻く街となっていた。



三条河原~四条河原あたりを歩くと、幕末の志士に関する史跡があちこ

ち目に付く。

三条大橋も歴史がある実に美しい橋。



このあたりは宿屋や商業地。そして祇園などの花街も近く、

ずいぶん賑やかだったようで、その分、幕末の志士たちの会合の場や

一時のアジト的な場所にしていた者も多かったようだ。



例えば、家で言えば、坂本龍馬とともに暗殺された土佐の中岡慎太郎、

長州の麒麟児 木戸孝允、新選組の拷問により長州の陰謀を吐いた

古高俊太郎の拠点もこの辺りであった。



また会合や一時の仮の拠点とした宿(例えば池田屋や近江屋)も多く、

このあたりで日本を動かす陰謀が数々巡らされたんでしょうな。



その為、この辺りでは追うものと追われるものあり。

当時だから当然命のやり取りだ。

だから坂本龍馬・中岡慎太郎、佐久間象山や大村益次郎をはじめマイ

ナーな人も含めて暗殺の石碑が目に付く。

(近江屋:坂本龍馬、中岡慎太郎最期の地)




当時ここは実に殺人事件が頻発する危険な場所だったんですな。
だから新選組も駆け回り、パトロールをしていたようだ。

真の武士に憧れ、己の剣のみを頼りに、名もなき若き百姓や浪人たちで

結成された新選組。

そんな新選組が世にその名を轟かす。まさに夢の晴れ舞台が「池田屋」

ではないだろうか?


先日、その池田屋跡地を訪ねた。


(池田屋跡地)





時は18646月。

新選組が長州と繋がっていた近江の商人 古高俊太郎を捕縛。

激しい拷問から長州の過激なテロ計画を聞く。

見方にもよるが、明治の英雄たちも、後に倒幕を成功させていたから英

雄であって、当時の政権側(幕府側)からみると、立派なテロリストな

んですな(笑)

風の強い日を選び、御所に火を放ち、将軍や京都守護職だった会津候を

急襲して殺害し、更にはどさくさに紛れて御所から帝を拉致して長州に

連れて行くというとんでもないテロ計画。

近々長州をはじめたとした攘夷派志士がこのテロ計画の会合を行うこと

を新選組は古高の供述から知る。

ただ、その会合場所がどこかは特定できていなかった。



不逞浪士を一気に討伐できる千載一遇チャンス。

そこで新選組は会津藩に援護を頼むも、動きが鈍い。

このチャンスを逃しかねない事態に、近藤勇はリスク覚悟で単独での決

行を決意する。

近藤は土方歳三や井上源三郎らと新選組を三分して三条河原町周辺の宿

を片っ端から調べていく。



たまたま近藤隊が池田屋で会合しているのを発見。



10名ほどいたが逃げ場を塞ぐなど人を配置する為、中に切り込んだの

は、近藤勇、沖田総司、永倉新八、藤堂平助のたった4人ほど。

だが驚くほどの腕前だ。20数名のところに切り込んだものの、この4

23時間の激闘で負傷は追うが、皆生存。

沖田はドラマなどではここで結核による喀血がよくあるシーンだが確証

はない。


後に土方隊も合流して、この若者たちが長州の陰謀を粉砕。

残された資料によれば激闘の中、吉田稔麿、宮部鼎蔵ら大物含む11名を

斬殺や自刃にて討ち取り。

その後の掃討戦で出席者のみならず、関与したもの含めて数名を処刑、

20数名を捕縛したそうな。

一方新選組も、先日紹介した壬生寺で埋葬されている3名の犠牲者が出

た。


新選組は大手柄で、全国にその名を知らしめ、隊士の武士としての

待遇がUP。

近藤らは幕臣として認められるようになっていく。


その一方でこの事件により多くの志士を失った長州らの恨みを新選組は

一心に受けることになる。

この事件により新選組は絶頂期を迎えるが、転落の始まりでもあった。



そんな池田屋はその後、宿主が長州に協力した罪でとらえられ、獄死。

営業は停止され間もなく廃業。

後に別の経営者が旅館を立ててしばらく営業するもののこちらも廃業。

まあ、考えても見れば、大量殺人現場だった場所の宿なんて行きたくな

いのは当然の心理だな(笑)



その後、パチンコ店やらいろいろと姿を変えて現在に至っている。

当時を偲ぶものはなく、石碑と説明書きのみが若き新選組隊士の戦功を

今に伝えている。



現在この地に立っているのは居酒屋だ。

その名も「池田屋」。




なかなか新選組ファンの心をくすぐるうまい商売だ。

京都最後の夜だったので、ここで飲んでみた。

中は、池田屋名物 階段落ちのような長い階段があり、

内装もこっている。

若い女性店員が隊士の羽織来ている。これが中々かわいい。

隊士と全く関係ないが、名前が入ったメニューも笑える。



龍馬最後のシーンで有名な軍鶏鍋などなかなかおいしかった。

値段も手ごろなので、新選組ファンは楽しめると思う。



池田屋跡地 新選組隊士が真の武士として世に出るという夢を実現

させた場所だ。

少なくとも1864年当時、新選組は明らかに正当性という光が当たる場所

にいた。




新選組紀行① 新選組隊士が眠る街 会津(福島県 会津市)

http://blog.goo.ne.jp/ssh219/e/060b6dc61445d1d7b4058fff27614fac



新選組紀行② 土方歳三最期の地  一本木関門(北海道 函館)http://ameblo.jp/ssh219/entry-11956748874.html



新選組紀行③ 天才剣士 沖田総司永眠の地 専称寺(東京都 元麻布)

http://ameblo.jp/ssh219/entry-11994380699.html



新選組紀行④ 永倉新八 新選組への想いが詰まった街 板橋(東京都 板橋)


http://ameblo.jp/ssh219/entry-12000231681.html


新選組紀行⑤ 新選組 夢実現のスタート地 八木家壬生旧屯所跡(京都府 壬生)

http://ameblo.jp/ssh219/entry-12039173270.html


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http://ameblo.jp/ssh219/entry-12039945210.html


新選組紀行⑦ 試衛館派最初の犠牲者 山南敬助と謎の女性が眠る 光緑寺(京都府 壬生)


http://ameblo.jp/ssh219/entry-12047268806.html