部屋の温度に
盗まれる前に 郵便受けに入っている新聞を 読む
朝日が上がり 部屋の温度が上昇する前に読む
部屋の温度は
新聞からインクの匂いを消し
書かれている文章から ロマンも迫力も書いた記者の意気込みも
みんな消す

天気のいい朝は
ベランダのサッシを全部開けて
サッシの傍に傷だらけの木の椅子を運び 新聞を読む
ベランダに 咲いた花についた朝露が
花に吸われる前に 読む
花の匂いと バリバリした新聞紙のインクの匂い
それとお気に入りの 音楽をかけ
お気に入りに ブレンドした熱い珈琲を飲む


そういう時
時々 視線を感じる時がある
僕が花を長く見つめている時のように
ベランダの花は 僕を長く見つめているのだ
犬や猫が 無垢な目で僕を見るような目で
僕を見つめている
そういう時
川に流れている木の葉が 川の石に捕まった時のように
僕は 何も言えない

あと何日
エアコン無しで 快適な時間を部屋で 過ごせるのだろう?
僕には とても貴重な時間だ
で、
外出の予定にない日は この時期
なるべく出かけないように している
たとえ 朝方まで起きていた日も
朝 なるべく早く起きるようにしている
ニーチェの書いた本の「善悪の彼岸」に
(狂気は個人にあっては 稀有なことである)
と、書かれてある
ある意味
僕の気まぐれも 稀有なことかも しれない

上野の美術館の 横の広場で
いろいろな アーチストが 楽器を演奏してたり
ダンスを踊っていたりする
最近 ダンスに少し興味を感じている
銀座に出かけたとき
時々 数分だけ寄る場所がある
スカラ座の横にある ダンスホールだ
数分だけ 踊っている人たちを見
勧誘される前に エレベータで下に降りる
幸いまだ 誰にも気ずかれていない


パンに不自由しながらも 戦時中でも パリの詩人は恋したように
踊りたい衝動を抑えても 絵も描けるし写真も撮れる
美術館にも行けるし 映画館にも コンサートにも行ける
ビールの泡は コップから 流れたらもう泡は消えている
せめて夢の中で 好きな音楽をかけ
踊るかな・・・


洪自誠 さえ
酒を飲む時 微酔を 好んだのだ
今夜は月も出そうもないな
ポケットの中に 6ペンス あるのになぁ~

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