オウム(თუთიყუში, 1989)グルジアのアニメーション | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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鸚鵡(一変身の年代記)

თუთიყუში (ერთი მეტამორფოზის ქრონიკა)


【脚本・監督】(სცენარის ავტორი და კინორეჟისორი)

メラブ・サラリゼ(მერაბ სარალიძე, Merab Saralidze)

【その他のスタッフ】

I・バラノヴァ(ი. ბარანოვა, I. Baranova)

V・カロサニゼ(ვ. ქაროსანიძე, V. Karosanidze)

G・シュブリゼ(გ. შუბლაძე, G. Shublidze)

【スタジオ】(კინოსტუდი)

グルジア映画(ქართული ფილმის)

【制作年】

1989年



თუთიყუში_2.jpg


თუთიყუში 1989


თუთიყუში_3.jpg


これ、何か色々と凄い内容です。


最初は、キリンの様なバイコーン(角が2本のユニコーン)が

優雅な音楽に合わせて歩き回るのですが、

突如現れた二本足の豚の一群に蹂躙され、

気付くと羽の生えたロバ(?)に退化(?)。


それでも尚めげずに優雅な音楽に合わせてまた歩き回るのですが、

今度は二本足の亀の一群に蹂躙され、

気付いたら羊に退化(?)しているという、

何だか諷刺的なものを感じさせるものがあります。


その後、他にも色々な動物の集団に襲われ、

最終的には鸚鵡にまで変化するのですが・・・。


このアニメーションが作られた時は、

ソビエト連邦が未だ崩壊していませんでした。

崩壊の直前です。

人間性を無視したソビエトの政治体制を暗に批判しているのでしょうか?

直接的な表現は、検閲が通らなかったり身の危険性があったと思うので。

侵略された挙句に、人から思想を与えられるだけで

自分ではものを考えない様に精神改造される事に対する、

痛烈な批判精神はとても伝わってきました。


グルジアの名作SF映画『キン・ザ・ザ』も、

暗にソビエト社会を批判しているのではないかと言われています。

自由主義陣営を批判している内容だと当局に見做されて

検閲が通ったのではないかと言われていますが、

いずれにしても、社会主義も自由主義も

射程に入れているっぽい奥の深い映画ですね。


デザインとか内容とか、とてもグッとくるものを感じます。

キリンとバイコーンの合体って、とても良いなと思うんですけど、

何気に思いつかなかった。

このアニメーションを最後まで見てみると、キリンの二角獣というのは、

文化の深さや多様性、人間性等を表しているのだなあと思いました。

キリンのバイコーンが踏みにじられる場面は、ショッキングですよね。

鸚鵡が何の暗喩なのかは、分かりますよね?


二角獣(バイコーン)については、当記事の直前の記事で取り上げた

ラトヴィアのアニメーション『Ragainītis, Mūziks un Bubesīte 』の

紹介記事を書いている時に初めて知りました。

奇遇ですね。

私はこのアニメーションをたった今知ったばかりなんです。


【追記 2019/7/18】

副題を翻訳

メラプ → メラブ

1番目と3番目の画像追加