エミル・ムウィナルスキ(Emil Młynarski)映画音楽の様なマイナークラシック音楽 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Emil Młynarski – Wikipedia, Polski

 

エミル・シモン・ムウィナルスキ(ムイナルスキ)

Emil Szymon Młynarski(1870-1935)

 

北ポーランドのスヴァウキ(Suwałki)に近い、

リトアニアのキバルタイ(Kybartai)生まれ

ヴァルシャヴァ(ワルシャワ)(Warszawa)歿

 

サンクト・ペテルブルクで、

レオポルト・アウアー(Leopold Auer)にヴァイオリンを学び、

作曲をアナトリー・リャードフに学び、

楽器法をリムスキー=コルサコフに学ぶ。

 

ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

(Orkiestra Filharmonii Narodowej w Warszawie)

の初代音楽監督を1901-1905年務める。

ワルシャワオペラハウス(Opera Warszawska)

の音楽監督を1919-1929年まで務める。

ペテルブルク、オデッサ、マスクヴァ(モスクワ)、ロンドン、グラスゴー、

フィラデルフィア等で指揮者活動。

 

こちらに詳細な解説があります(英語)↓

Culture.pl EN | Emil Młynarski

 

【主な作品】

ヴァイオリン協奏曲第1番ニ短調(Koncert skrzypcowy d-moll op.11, 1897)

交響曲「ポーランド」ヘ長調(Symfonia F-dur "POLONIA" op.14, 1910)

歌劇「夏の夜」(Opera "Noc Letnia", 1913)

ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調(Koncert skrzypcowy D-dur op.16, 1916)

 

私がムウィナルスキの交響曲のCDに出会ったのは、1992~1994年頃。

彼についてはよく分からない事が多く、1994年に目黒の図書館で

「ポーランド音楽史」という本(白水社だと記憶していたのだが、

改めて検索してみたら、『雄山閣出版』のしか出ない。しかも、

『雄山閣出版』版にはムウィナルスキが出てなかったような・・・。

記憶とはいい加減なものである)を読んでみたものの、

指揮者としてしか紹介されていなかった。

「イギリス音楽の復興」(著:マイケル・トレンド、訳:木邨 和彦、旺史社)で、

ハミルトン・ハーティが

指揮者としてしか紹介されていなかった状況に似ていると思った。

まあ、この本を著した人は作曲もしていたとか知らなかったのだろう。

 

指揮者としての活躍の方が大きかったせいなのか?作品数も少ないようだ。

指揮者としてのみ紹介されていたのだから、当然と言えば当然だと思う。

 

Wikipediaでは、パヴェウ・コハィンスキ(Paweł Kochański)

我が子同然に立派な音楽家として育て上げた、とある。

パウル・コハンスキ(Wikipedia, 日本語)

 

現在、交響曲のCDは手に入れにくい状態だとは思うが、

ポーランド・ムザ(Polskie Nagrania Muza)のサイトでは、恐らくだが、

ポーランド語が分かって尚且つ

クレジットカードによるネット購入に抵抗が無ければ、

直接購入が可能のようだ。

Emil Młynarski - Violin Concerto / Symphony in F Major, "Polonia" - Polskie Nagrania

 

Amazonは、当然マーケットプレイス。

Amazon | Mlynarski;Violin Conc.No.2 | Kulka, Warsaw Npo, Kord

 

 

 

ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調(1916)

Ⅱ Koncert Skrzypcowy D-dur op.16

 

 

平均的な3楽章制。

内容も、後期ロマン派の作風。

私の主観的な感想だが(毎回そうだけど)、ロマン派好きにとっては、

退屈さを感じないメロディの多い良質なヴァイオリン協奏曲と言えると思う。

技巧的な聴かせどころもそれなりにあり、

独奏ヴァイオリンとオーケストラとのバランスもよく取れていると思う。

第1楽章(Allegro moderato)は、メイン(顔)としての主役的な雰囲気。

やはり、終盤付近にはカデンツァもある。

第2楽章(Quasi notturno. Andante)は、

夢見るようなうっとりする美しい緩徐楽章。

緩徐楽章は、時として退屈感を感じるものがあったりするが、この第2楽章は、

時に激しい描写もあり、起伏に富んでいて、退屈させない。

第3楽章(Allegro vivace)は、

早いテンポでネアカな旋律がせせこましく奏でられる。

個人的には、昔何処かで聴いた様な

「音のデジャビュ」を感じる旋律が多くある。

終盤付近の、如何にも映画のハッピーエンドっぽい所は特に必聴!!

独奏ヴァイオリンパートは、かなり難易度が高いと思う。

 

 

 

交響曲ヘ長調「ポーランド」(1910)

Symfonia F-dur op.14, "POLONIA"

 

 

同じ表題の交響曲を、

同郷の作曲家兼ピアニストのパデレフスキ(Paderewski)も書いている。

しかも、前年(1909年)である。

意識したのであろうか?

 

以前、パデレフスキの交響曲「ポーランド」を紹介した時、

「怪獣映画音楽」の様だ、と紹介した。

が、対してムウィナルスキの交響曲「ポーランド」は、

「ハリウッドのコメディ映画やアクション映画の音楽」の様だ、と感じた。

大雑把な括り方かも知れない。

でも、 最初っから聴いていてそう感じたのだ。

 

「映画音楽」とか、或いは、

20世紀前半頃のアメリカ大衆音楽とでも言えばいいのか?

ラインダンスの時とかに流れる様な感じの昔の軽い音楽とでもいうのか

(上手く説明できない)。

そんな雰囲気を感じた。

 

「ポーランド」と銘打ってあるものの、

一般的平均的なポーランドのイメージとはかけ離れている様な気がする。

ポーランドの民謡にそれっぽいフレーズでもあるのだろうか?

「ポロネーズ」「マズルカ」位しか知らないのでよく分からない。

 

パデレフスキのは、

ポーランドの歩んだ苦難の道を描いているのだなあというのが

何となく分かるのだが、ムウィナルスキのは、何だかよく分からない。

とにかく、コメディ映画やアクション映画のBGMみたいなのだ。

 

でも、それはともかく、メロディそのものは表情が豊かで聴き所の宝庫で、

退屈さを感じさせない。

その上、ノリノリな気分にさせられる。

ムウィナルスキは、人の心を掴む旋律を作り出す名人ではないのか?

更に、昔何処かで聴いた様な感じの「デジャビュ」なメロディが

やたらと多く出てきた不思議な曲でもあった。

 

第1楽章(Andante)は、後に主要な主題となる旋律が序奏として

陰鬱的にもの悲しげに登場するのだが、それが終わると、

妙に明るい20世紀前半頃のダンスホール辺りで奏でられる様な、

コメディ映画のテーマ曲の様な旋律が出て来て、

「本当にポーランドなのか?」と驚かされる。

緊張感のある激しい描写なんかは、

如何にもアクション映画のBGMに使えそう。

映画音楽を交響曲にした様な感じ。

終止音も、如何にもハリウッド映画の

ハッピーエンドを彷彿とさせる感じで終わる。

第2楽章(Adagio)は、もの悲しくも美しい追悼曲(エレジー)の様な感じ。

瞑想的な旋律が6:00台頃に出てきたりもするが、

激しく慟哭している様な描写もあり、表情の起伏は激しい。

7:40頃に出てくるフルートによって奏でられるメロディがとても印象的。

妙にネアカな軽いノリの可愛らしい旋律である。

如何にも、曇っていた空がいきなり晴れた、みたいな。

第3楽章(Presto)は、

如何にも登山を描写しているような雰囲気だが、テンポが速い。

「ヤッホー!!」という掛け声を彷彿とさせる旋律も出てくる。

めまぐるしく速い旋律だが、やはりこの楽章も、「何処かで聴いたような」

「デジャビュ」な旋律が沢山出てくる(あくまで私がそう感じているだけ)。

第2主題は落ち着いた旋律だが、やはりこの旋律も「デジャビュ」!!

とても印象深いメロディ。

第4楽章(Moderato)は、出だしの重ねられたホルンが、

如何にも昔映画か何かで聴いた様な不安げな旋律。

もの悲しげ且つ不安な要素を感じさせる陰鬱な旋律が、

段々と激しさを増していくのだが、それが徐々に明るい雰囲気に変化していき、

ヒーローサウンドっぽいカッコよさを帯び、力強く奏でられ、一旦休止する。

そこまでが、恐らく序奏。

その後、荘厳な雰囲気の如何にも

映画のハッピーエンドに使用されるBGMとしか思えない旋律が出てくる。

これらの旋律が、めまぐるしく入れ替わり立ち代りしていく。

単純に、「分かりやすい感じの映画音楽が好き!!」

という人にはまさにツボかも知れない。

「音のサービス精神旺盛」とでも言えばいいのか?

そんな言葉がこの曲にはよく似合う。

終盤付近は、涙もろい方だったら、恐らく感動で泣くかも知れない、

如何にも感動のハッピーエンドな旋律!!

 

Emil Młynarski PNCD 074.jpg

 

ムウィナルスキ「交響曲」「ヴァイオリン協奏曲第2番」

演奏:ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

(Orkiestra Symfoniczna Filharmonii Narodowej w Warszawie)

ヴァイオリン:コンスタンティ・アンジェイ・クルカ

(Konstanty Andrzej Kulka)

指揮:カジミェシュ・コルト(Kazimierz Kord)

【PNCD 074】1990

 

 

 

【追記:2019/3/23】

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