20歳だった私が国際線のCAになった頃
世界は平和だったのだと
やっと気付くことができました。
旅行者は世界中の殆どの場所に
気軽に楽しく安全に行くことができました。
海外を旅することは今ほど情報がなく
ときには危険なこともあったし
価値観や文化の違いに悩みました。
でも今思い出すのは
嫌悪や憎しみや暴力の記憶ではありません。
異国の地で見ず知らずの私を
救ってくれた親切や思いやりばかりです。
砂漠で喉が渇いたときに
たった一杯しかないコップの水を
見ず知らずの旅人に「一緒に飲もう」
と差し出されるようなそんな体験です。
それに伴う臨場感や五感の記憶は
永遠に心に刻まれていて
消すことができません。
旅行は自分の目と耳でしか
感じられない五感が体験するリアリティです。
一方ネットの情報だけを鵜呑みにして
不安と恐怖が創り出す想像力は
極端な方向に世界を
偏らせ、遠く、狭く、小さくしています。
怒りや憎しみを煽るだけの
歪んだフィルターで
勝手に想像する世界ではなく
自分の目で世界中のひとたちと
安心や安全や優しさの中で
心を重ねる日が一日も早くまた来てほしいです。