美談で済ませる訳にはいかない話。 | stockracerの雑記録

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 福島第一原発の事故後の処理作業に関連する、海江田万里・経済産業相の発言が波紋を呼んでいる。


「現場の人たちは線量計をつけて入ると(線量が)上がって法律では働けなくなるから、線量計を置いて入った人がたくさんいる」

「頑張ってくれた現場の人は尊いし、日本人が誇っていい」

「勇気のある人たちという話として聞いた。今はそんなことやっていない。決して勧められることではない」


                以上、asahi.comより引用


 この発言は、酷すぎる。

字面の通り解釈したとしても、十分に問題発言で、事実なら、朝日の報道にもあるように、労働安全衛生法という法律違反にあたり、責任の所在の追及や補償問題も絡む大問題だ。

だが、この発言を聞いて、僕を含む多くの人は、違うことを考えたのではないか?

この、一見美談とも取れる発言内容の裏に、何があるのかを、既に多くの国民が見抜いているのではないか。

僕の考えを、書いてみる。

あくまでも、報道を踏まえた上での、私的な見解であることを記しておく。


 海江田氏の発言を言葉通りに受け取るなら、現場の作業員の有志が、決死の覚悟で、高濃度の放射線の中での作業に自ら立ち向かった事になるが、こんなこと、僕は絶対に信じない。

放射線の危険度について、事故後、マスコミで報道されている程度以上の知識を持っているなら、この決死隊のような作業に自ら参加することなんて、到底ありえない。

僕が、作業員なら断固拒否する。

なぜなら、事故直後から、現場の放射線量があまりにも高いので、作業員確保のために、浴びてもいいとされる基準値を、科学的な根拠もなく何度も切り上げてきたという事実があるからだ。

その切り上げられた基準値内の放射線量でも、かなりの危険度があるはずなのに、線量計を自ら外して、高濃度の放射線に長時間さらされながらの作業に進んで参加する者などいるはずがない。

彼等が、この困難な状況下での作業に当たらなければならなかったのは、自らの意思とは関係のない、現場の末端の作業員ではどうすることもできない理由があったはずだ。 


 事故処理に当たる作業員は、東電の社員もいるが少数で、多くは下請け・孫請け、一部報道では7次請けの作業員もいたという。

不景気に、大震災・原発事故と、下請け業者にとっては、厳しい経営を余儀なくされる事態が続いている。

そんな中で、取引先の東電及び関連会社から、事故現場での作業を要請された場合に断れるのか?

契約打ち切りなどを盾に、高濃度の放射線下での作業を強制・強要されたことも、十分考えられるのではないか。


 又、現場の作業員の中には、作業内容や作業環境によって、自分の健康に悪影響があったり、怪我をする危険性が高い場合があるということについて、異常なくらい無頓着な人が多い。

以前のブログにも書いたことがあるが、僕が若い頃、アルバイトや社員として働いた作業現場でも、そういう感覚を持った人に沢山出会った。

彼等は、作業員は、命令された仕事を淡々とこなして行けばいいのであって、不満があるからといって、会社に意見するなどという考えを一切持たないのだ。

だから、化学薬品などで体調を崩しても、自分が勝手に病気になったと思い、作業現場や機械の安全性に疑問を持つこともなく、怪我をしても、自分のミスだと思いこむ。

そんな、お人よしといってもいい彼等を利用して、放射線の危険性や被爆から身を守るための、十分な説明もせずに、危険な事故現場での作業にあたらせたということが、必ずあったはずだ。

そうでなければ、既報のように、事故現場で防護マスクを外したり、上半身裸になるなどということは起こり得ないではないか。

更に、(不当につり上げられた後の)基準値を超える放射線を浴びた、多くの作業員と、連絡が取れなくなっていると報じられているが、国も、東電も、あえて力を注いで探そうとはしていないだろうし、彼ら(作業員)自身、自分が大量に被曝しているという自覚もないのだと思う。

正に、権力による強制と使い捨て、こんな馬鹿げたことが許されていいのだろうか。


 このように、権力を振りかざして脅しをかけたり、知識のない者を騙したりという手段を用い、拒否できない状況を作り上げ、危険な作業を強制されたというのが実態ではないのか?

その作業の過程で、命令の一つとして、線量計を外して行け、というのがあったのではないかと想像する。


 僕のこの考えが、もし当たっているなら、監督官庁のトップである海江田氏が、この件を美談で片付けようをすることには、大きな違和感を感じる。

勇気をたたえて持ち上げた相手を、実際には、脅しと強制で従わせていたとすれば、絶対に許されない。

直接現場で命令したわけではなくても、大臣として、知らなかったでは済まされない。

その上、「今はそんなことやっていない。決して勧められることではない」と発言することで、責任逃れまでしていることになる。

これは、海江田氏の発言を文字通りに取っても、僕の考えのように解釈しても、そのどちらでも当てはまる。

結局最後は、保身か……。


 真実はいったい、どこにあるのだろうか?

いや、真実を公開する義務と責任が、政府と東電にはある。

原発事故に関しては、マスコミもステークホルダーの一員とされているために、僕のような一般人は、何をどう判断すればいいのか非常に難しい。

とにかく、最初にやるべきは、政府と東電が、被ばくした作業員を探し出し、健康チェックを行うことだろう。

誰か、すっきりさせてくれないかなぁ!


 では、また。