会社で金品が無くなった等の理由で従業員に所持品検査を実施することがあります。従業員が盗んだとは考えたくはないかもしれませんが、正常な秩序維持のためには行わなければならない場面はどうしても出てくるでしょう。しかし、無条件に認められるものではなく、適法とされるにはハードルの高いものです。なぜなら所持品検査は従業員の人格やプライバシーを侵す問題を孕むからです。

 

所持品検査が適法とされるのは四つの要件が必要とされます。

①所持品検査を必要とする合理的理由があること

②検査の方法及び程度が妥当であること

③制度として画一的に実施されていること

④就業規則等明示の根拠が存在すること

 

所持品検査で有名な判例で「西日本鉄道事件」があります。この裁判は従業員の人格的利益の尊重と会社の利益を考慮して、所持品検査が適法とされるための四つの要件を示しました。そしてこれらの要件が満たされれば、検査を受忍すべき義務があるとされました。

 

またこの判例によると、会社が所持品検査を実施する場合、就業規則に根拠を置き、画一的に実施するものでなければなりません。就業規則に根拠のない所持品検査を実施して違法とされ、従業員からの慰謝料請求が認められた判例もあります。