会社で非違事案が発生したが、処分しないまま長期間が経過した後に懲戒処分を行った。この場合の懲戒処分の有効性が問題になります。懲戒事由発生から長い時間が経過した後に懲戒処分がなされると、権利濫用とみなされ無効と判断される可能性があるからです。

 

長期間経過後の懲戒処分の有効性が争われた有名事件に「ネスレ事件」があります。従業員が上司に暴行を加えたので、会社から警察へ被害届が出されたのと、検察庁に告訴されたという背景があります。最高裁で会社の行った懲戒処分が無効とされたのですが理由は、次の通りです。

①不起訴となったのに今更(7年も経過しているのに)諭旨解雇という重い処分を科す合理性が見いだせない

②時間の経過により企業秩序は回復している

 

捜査結果を待ってから処分を下すということはよくあることですが、あまりに時間がかかっている場合はその結果を待たずに処分を行うことを検討しなければなりませんね。