社員を雇う際、入社してからの本人の能力の確認等の理由で一定期間を試用期間とする場合は多いと思います。試用期間とはいえ正社員として入社させた場合、思ったほど能力が無いなどの理由で試用期間で解雇するというのは本当に難しいです。

このような事情から、試用期間を有期契約にしておき、能力や適性がないと認められた場合に、契約期間満了で会社から去ってもらうことができるのでしょうか。実際に契約期間満了だからといって雇止めの予告を行っても、納得いかないと主張する労働者はいます。

 

試用期間を有期契約にしておく労働契約のことを「試行雇用契約」と言いますが、これは認められています。ただこういう契約の結び方をしたからと言って、すべての事案で契約期間満了で契約が終了するかというと決してそうではありません。有期契約とする趣旨や目的で判断されます。

 

最高裁では「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は「契約の存続期間」ではなく、「試用期間」であると解するのが相当である。」と判示しています。

 

試行雇用契約を結ぶ場合、

・適正判断のための有期労働契約で契約を更新することは無いこと

・適性が認められなければ契約満了で契約が終わること

・適正が認められた場合は別途無期労働契約を結ぶこと

以上を就業規則や労働契約書などで規定しておくべきでしょう。