テミン   君は一体・・・


何を隠してるの・・・いま一人でどこに向かってるのよ


もう!



またテミンが抱え込んでいるんじゃないかと心配だ


弟のように思っているのに何も言わずに走って行ってしまったこともなんだかさみしく感じるよ


テミンのお母さんの最後に見た姿も、一緒にいたのが誰なのかも気になる

とにかく私の中はもやもやでいっぱいだ












あれから4時間、いまだにテミンは帰ってこない・・・

はぁ・・・




「ゆき~ご飯食べていくでしょ?」



「・・うん、もうちょっとテミン待ってみるよ」



さっきから心配でテミンのケータイに電話するけど全くつながらない


・・・・ばかテミン!





あたりは薄暗いけどテミンの母の形跡を訪ねようと近所をぶらぶら歩いてみる





私って弟思いのいい姉じゃないか  少しは感謝しろ、ばかテミン・・・・



テミンのおばさんがよく買い物をしていたスーパーを見たり、デパートを覗くが・・・全く情報がない・・・

従業員もみんな様変わりしていた・・・


トボトボと家路に向かって歩いているとふと見慣れた公園が



あっ  最後にオバサンを見た公園だ!!

公園内を歩き何かヒントはないかと見渡すけど・・・何もわからない



てか私はオバサンのことを知らないし・・・幼すぎて優しいオバサンだなぁって記憶しかない・・・






ゆるーくウェイブのかかった柔らかそうな髪、  テミンをもっときれいにした美しい顔

目を細めて微笑む顔      今のテミンの笑顔にそっくり




歩き疲れた私はあのころに戻ってブランコに乗ってゆらゆらと思考の波に揺れていた






テミン   テミナ・・・   今何をしてるのよ  私はテミンのために無い頭を使って探してるんだよ~

どこで何を・・・







不意に、ゆらゆら揺れていたブランコが止まり

暖かい手に肩を抑えられた



「全然ユキは変わらないね・・・フフフ」



うん?

この声は




振り返ると目を細めて私の頭に手を置く長身の男性







「・・・・ミノ?」




彼は目を細めたまま、大きくうなずいている













私は全然眠れなかった。
テミンはベッドの下ですいすい寝ている。
ここに引っ越して来て3年。この家には初めて来た男だ。
もちろん弟みたいな存在だけど...でも寝ている姿はかわいいなー
ベッドからころころ下に落ちて自然に横で寝ようかな...みたいなことを
考えながら私もいつのまにか眠っていた。

"...나...나...누나!!!!"
"으으으응...졸려... 으아아아악!!!"
私は本当にベッドから落ちた。目の前に男の顔があったからだ。
テミンはベッドの上に上がって私を起こしていた。
びっくりした...そうか、昨日テミンは家に泊まってたのだ。

"누나 오늘 토요일이니까 회사 안 가지? 사이타마에 가자"
"사, 사이타마에 왜?"
"왜냐니… 우리의 만남이 시작된 곳이잖아. 가서 추억여행을 해 보자"
"그, 그래…"
そうだ。そこは私たちが出会ったところ。そして、テミンがお母さんと過ごした最後の場所。

"나도 마침 이번 주말에 사이타마에 가족을 만나러 가려던 참이었어^^"
うそだ。 12時まで寝て起きたら東方神起のDVDを見るつもりだった。
でもなぜか今、平和な私の日常が変わっていきそうな気がした。

”정말? 잘 됐다^^ 사이타마에서도 나 재워줄거지? 누나 방에서 자면 되겠다
누나 어머니의 맛있는 밥도 먹고싶다♡"
こいつ、ご飯狙いかよー.ー

"아무튼 잠깐 기다려. 씻고 간단하게 아침 먹고 나가자"
"응♡”

私たちは池袋駅へ向かった。私の故郷は埼玉の熊谷。とにかく暑い都市だ。この暑い都市でなにが起きたのか…
湘南新宿ラインに乗ってちょうど席が2つ空いていてそこに座った。
熊谷に着くと最初なにをすればいいのかを考えた。熊谷に行ったっていきなりテミンのお母さんに会えるはずもない。
いろいろ考えてる内に私は居眠りをした。普段なにも考えないから
少し考えただけで眠くなるんだ…
誰かさんの肩がすごく気持ちいい…

`누나 미안해… 어제 나 때문에 많이 피곤했지? 지금은 나한테 기대어 자`
내 어깨에서 잠들어 있는 누나를 보며 나는 생각했다.
누나 조금만 기다려줘. 내 안의 이 일만 해결하면…
나는 누나의 머리에 내 머리를 기댄 채 눈을 감았다.

熊谷駅に着いてまたバスに乗った。東京の景色に見慣れたせいか、この町の景色が
自分の故郷なのになぜか不慣れに感じられた。
家のバス停で降りて歩きながら私は言った。
"우리집에 들러서 짐 놓고 나오자. 우리 엄마한테도 인사 드릴거지? 어디부터 갈래?"
"미안 누나, 누나 먼저 집에 가 있어. 난 좀 들릴 데가 있어. 금방 갈게"
"어디 가는데?"
"어 그냥… 잠깐 편의점 들렀다 갈게!!"
"편의점이라면 아까 쿠마가야역에서 가지 그랬어"
"그러게… 미안 누나"

テミンはいきなり足の方向を変えて反対側へ走った。私はボーとして彼を見つめた。
そしたらテミンはがらっと振り向いて叫んだ。
"누나 먼저 들어가 있어!! 금방 갈게!!!
누나 집 정도는 아니까… 걱정마. 미아가 될 일은 없을테니까!!!"
そして小さな声で
"한번도 잊은 적 없었어…"

そして彼は走って行った。最後の言葉は実は全然聞こえなかった;;;
私はふゅーとため息をして彼を止めるのを諦めた。そして6ヶ月ぶりに家へ向かった。

”ただいま”
”あら、どうしたの?連絡もなしで。なんかあったの?”
私は荷物を置いた後ソファに体を投げながら答えた。
”ううん、なんにもないよ。自分の家に帰って来ちゃだめなの?”
”でも不思議。最近久しぶりにこの家を訪ねてくる人が増えた気がして”
”なんで?誰か来た?”
”10何年前に隣に住んでたテミン君って覚えてる?あの子が1週間前くらい前に来てたのよ”
”そ、そして?”
テミンが?なんで?
”別に。日本に来たから挨拶に来たんだって。あなたの住所を教えてほしいと言うから教えたけど連絡なかった?”
もうすでに一緒ですけど。じゃ、隣に引っ越しして来たのは偶然じゃなかったんだ。
”連絡はなかったよ。もうすでに一緒に来てるよ”
”あら、そう?じゃ、あの子は今どこにいるの?とりあえずお茶飲む?”
”うん。ありがとう。あっ、そういえばテミンのお母さんと仲よかった?”
”ふむ…普通だったのかな?一緒に買い物に行ったことはあるけど...でもあの夫婦は仲よかったね”
”えぇぇぇ?なに言ってんの?私公園でめっちゃ喧嘩するところ見たことあるよ。あのおばさん、夫婦喧嘩して家出したんでしょう?”
”あら、そう?外で喧嘩するような夫婦には見えなかったけど…”
お母さんはあんまり気にしないような様子でポッドに水をいれ火をつけた。

12年前、あの日も40度近い真夏の日だった。私は学校からの帰り道をいつもと違う道で帰った。
私は憂鬱なことがある時その道をよく走った。あの見慣れてない風景、私がいつも歩いている道と違って
違う形で生きているあの町、違う風景を見るとなぜか勇気をもらえた。よく覚えてないけど多分あの日も憂鬱なことがあったんだろう…
その道にあった小さな公園で私はおばさんを見つけた。
そういえば、男の顔は夏の日差しに隠されあんまり見えなかった。私はずっとそれがリーおじちゃんだと思った。
でも確かに喧嘩をするような語調だった。内容はあんまり聞こえない。
おばさんは泣きそうな声だった
"……된 거예요… 모르겠어"
私は夫婦喧嘩を立ち耳しちゃいけない気がしてその場を去った。
そして次の日



おばさんは消えた。



・・・・そうか・・・・・テミン・・・そんなつらい思いを抱いてまた日本に・・・・



あんな幼かったテミンが私の知らないところでいっぱい苦しんで、傷ついて・・・

本当の弟みたいなテミンが苦しんでいたのにそうとも知らずに



私は頭からテミンが消えていた・・・




テミンごめんね、たくさん苦しくて、つらかったでしょう、




きっと私が想像している以上に幼いテミンがさみしさを抱えもがき苦しんできたんだ



・・・そう思うと、涙が止まらなくなって抑えようとしても止まることはなかった・・・










・・・・「ヌナ・・・・ヌナ泣かないでよ・・・せっかく久しぶりに会えて、僕本当にうれしんだよヌナ・・・」





「テミン、ごめんね。つらいのはテミンなのにヌナが泣いたってしょうがないのにごめんね」




下を向いて泣き続けている私の背中にふわっと暖かさが降りてきた

そしてその暖かい手は私の頭をなでた



「ヌナありがとう、僕のために泣いてくれて」そう言ってテミンは屈んで私の顔を覗き込んでいる



「見ないで・・・顔ぐしゃぐしゃだから」




「いいんだよ、僕はどんなヌナだって大好きだから・・・」



「いくら弟でも見られたくない顔はあるんだよぉ・・っひく」まだ泣き止まないまま洗面所へ駈け込んだ・・








・・・・・・・・・弟かぁ・・・・・・なんかわかんないけど弟って言われてもやもやするな・・・・・

なんだろうこの気持ち・・・・・・・








ガシガシ顔を拭きながら戻ってきたヌナはさっきとはうって変わってすっきりした顔で



「テミナ!今日はうちに泊まって行きなね


久しぶりに会えたんだし私の知らなかった時間を取り戻したいの!


何があったか、何がつらかったのか、何がうれしかったのか、今何が好きなのか


何でもいいから全て吐き出して!!!!


で、明日からヌナと一緒にお母さん探そうよ!!!!」



うんありがとうヌナ!!1



・・・・って・・・・えっ・・・・ヌナのおうちに僕が泊まるの・・・



どうしようかと、もぞもぞしていると



いつの間にやら用意していたらしく

「テミナ、お風呂すぐ沸くからテミナから入ってきてよ。出てきたら髪乾かしてあげ~る♪」

ってルンルンしながらヌナにお風呂場に入れられてしまった・・・・・



・・・・ヌナ・・・・僕もう赤ちゃんじゃないんだよ・・・・



「テミナお湯大丈夫~」とヌナの声




えぇいどうにでもなれとお風呂に入る僕・・・








ルンルン♪テミナかわいいなぁ~ぷくぷくほっぺ~さらさらヘア~私の弟テミナ~

妹みたいな弟テミナ~フフフ~♪




ヌナがさっきからわけわからない歌を歌って髪を乾かしてくれてる・・・

・・・もう妹ってなんだよ~ほっぺもぐりぐりしないでよ・・・



僕の意識は疲れと安心感でそこでなくなっちゃった・・・・




                                     by Y