「ユダヤ人大富豪の教え」
一体何度この本を読んだんだろう。
読み返しては反芻し、読み返しては反芻した。
当時の自分に必要なエッセンスが1行1行に詰まっているように感じた。
プライドだけは一人前で、「このままだと他の人と同じように就職してしまうことになる」、と焦りと絶望感に覆われかけていた私にはその本の内容が希望の光に見えた。
「そっか!起業すればいいんだ!」
そう思った私はすんなり就職活動を辞め、SNSを使って色んな人にDMを送った。
DMを介し、いろいろな人に直接会うのだが、どの人もいまいちパッとしない人が多かった。
特にそれが際立っていたのは悪質なネットワークビジネスの会員だった。
(注:世の中には真っ当な活動をしているネットワーカーもいるらしい。会ったことないけど)
きっと私は格好のカモに見えたんだと思う。
「幸せな経済自由人なりたい。不労所得がほしい!」なんて公言しながら血眼になって会員を募集しているネットワーカーたちに突進していくバカはそうそういない(笑)
そんな私はネットワークビジネス会員達に当然ながら激しい勧誘にあうことになった。
「月7桁キミならいけるよ!」
「次世代のリーダーにキミならなれる、そんな器がある!」
「今、このグループは数あるグループの中でも一番の成長株なんだ。ここに出会えたキミはラッキーだよ!」
いくらはじめは「どうせみんなに言ってるんだろ」と冷静に判断できていた私も、何度も何度もおだてられているうちに激しい勧誘に抗う術を失っていった。
プライドが高く、心の中は虚無感でいっぱいの私は当然、そんな激しい勧誘や誘い文句にしっかり流されて入会してしまったのだった。
だけど、ネットワークビジネス会員達は美辞麗句を並べつつも一緒に行動してみると本当にお金に苦しそうだった。
苦しい自分たちを誤魔化すかのように「セルフイメージをあげよう」なんて言って高級ホテルのラウンジでお茶一杯だけしか頼まず毎日長時間たむろしていたりしていた。
はっきり言ってこの人たちホテルにとってはこの上ない迷惑なんじゃないの?
っていうかこの人達全然経済的に自由じゃないし!
そう思った私は当然すぐに離れることになる。
「何がいけなかったんだろ。本に書いてあるような人に全然会えないじゃん」
ベッドの上でゴロゴロしながらどうすれば「ユダヤ人大富豪の教え」に書いてあるような「幸せな経済自由人」に会えるんだろう、と思いを巡らせていた私の頭にふと、ある考えがよぎった。
「そうだ、本田健さんに会いに行こう!!!」